一流の逆境力 ACミラン・トレーナーが教える「考える」習慣
遠藤 友則
サッカー好きなら読みやすい。ACミラン全盛期のあの選手達がこんなことを考えて、練習、試合、大会に挑んでいたのかと思いを馳せながら読むことができてお勧めだ。
本書の著者はACミランでメディカルトレーナーを16年も務めていた遠藤友則氏。ACミランというサッカーの名門チームはプロの中でも群を抜くプロ集団である。そこでトレーナーとして関わることができるのも限られた者だけなのは言わずもがなである。そこで、一流のトレーナーが一流の選手を見て、何が一流なのかと考察され生まれたのが本書なのである。
「目の前の小さな仕事を疎かにせずに、人が嫌がる仕事をただ一生懸命にやっていた」
「自分自身がよい評価をしていないのに、他人から評価される場合は、最終的に崩れる」
「自分の頭で考える時間を大切にすること。誰かから教わると、教えられたことは上手にできるけれども、それ以外のことに対応できなくなる」
本書に書かれた一文であるが、サッカーやトレーナーに限らず、どんなことにも共通する。努力すれば成功するとは限らない。しかし、成功する者は努力していた。こんな言葉を聞いたことがある方もいるのではないだろうか。この言葉は努力の必要性をうまく表現している。だが、その努力にも成功者の努力の仕方と、そうでない者の努力の仕方に分かれてしまうのではないだろうか。少なくとも本書では成功者と言える方々の考え方に触れることができる。最初にもお勧めしたが、サッカー好きなのであれば、もしくは運動指導や健康管理に興味があり、難しそうな成功哲学書や自己啓発本を読もうと考えているのであれば、本書を入門書として読んでみてほしい。
(橋本 紘希)
出版元:SBクリエイティブ
(掲載日:2016-06-18)
タグ:サッカー トレーナー
カテゴリ 人生
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限界の正体
為末 大
人間生きていれば、誰しも壁にぶつかることはある。かくいう私もしかり。そんな時にはつい他人と自分を比較したりして、己の未熟さを痛感して強烈な敗北感にどっぷりと浸かる。「ここまでか。これが自分の限界か」と、フウーッと溜息を漏らすこともあったりして。
限界の正体とは何だろうか。私はそんなこと考えるような哲学的な男ではないが、著者は現役時代より長年スポーツに関わってきた中で、ある一つの仮説にたどり着いたと言う。
「限界とは、人間のつくり出した思い込みである」
「人は、自分でつくり出した思い込みの檻に、自ら入ってしまっている」
と、いうことらしい。
限界といえばイメージ的に壁とかハードルにたとえられることが多いが、著者は限界が壁やハードルのように眼前のみに立ちはだかるものではなく、あらゆる側面から立体的に立ちはだかるものとして「檻」と表現している。それから、私達が限界だと感じていることは、自らが作った‘思い込み’に縛られているだけかもしれないと言っている。例を挙げれば、日本人はメジャーリーグでは通用しないというかつての野球界の常識も、野茂英雄選手の活躍によって今じゃ完全に過去のものとなっている。結局、自分で限界を決めてしまっているのではないだろうか。
では限界の檻から抜け出すにはどうしたらいいのか。それについて、この本に書かれている。本書はいわゆる自己啓発本かも知れない。他の同類の本に見られるようなお馴染みのフレーズも見られるが、「なるほどね」と思わせる箇所もある。著者自身の性格が文章に反映されていて興味深い。選手のみならず、ごく普通の社会人にとっても、目標を達成するヒントとして参考になるだろう。
(水浜 雅浩)
出版元:SBクリエイティブ
(掲載日:2017-03-27)
タグ:限界
カテゴリ 人生
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<坂バカ>式 知識ゼロからのロードバイク入門
日向 涼子
私は以前、神奈川県と東京都の境にある多摩川の近くに住んでいた。当時、趣味が欲しいと考え手にしたのはスポーツバイクで、それにまたがり多摩川の河川敷を走ったり、数十㎞離れた横浜駅や東京駅、終いには丸一日かけて長野までツーリングを楽しむほどだった。本書を手にした時は、すでに自転車を手放した後だったが、また乗りたい気持ちになったのが率直な感想だ。
著者の初めてスポーツバイクを手にした話から、ロードバイクのレースに出るようになった経緯など、面白おかしく書いてあり、堅苦しく読むものでなく、ロードバイクを楽しんでいる女性のブログを読んでいるようだった。
女性目線から男性サイクリストに向けた意見、アドバイスがあり、女性が男性に期待する事が学べ、トレーナーとして読んだ私は、女性のお客様に接する時に気を付けようと勉強になった。
オススメのトレーニング場所が記載されているが著者の住んでいる東京都周辺の情報だけなので、他の地域の方は参考にならないだろう。また、オススメのレースは参加しての感想もあり、出場を検討している人には良いアドバイスなりそうだ。
運動にあまり興味のなかった著者が、ゼロからのスタートでロードバイクを楽しみ、レースでも活躍するレベルになっている。この結果を、他の運動をしていない方々にも経験してもらうにはどうすればよいのか、本書からヒントを得ることができそうだ。
(橋本 紘希)
出版元:SBクリエイティブ
(掲載日:2017-11-04)
タグ:自転車 ヒルクライム
カテゴリ 運動実践
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野球の科学 解剖学、力学、統計学でプレーを分析!
川村 卓
外遊びと言えば野球(ごっこ)だった時代は終わり、日本の子どもたちはさまざまな種目、さまざまな楽しいことに囲まれている。筑波大野球部監督が野球の魅力を再確認してもらおうと、野球の「なぜ?」「ホント?」を説明していく。ピッチング、バッティング、統計の章に分け、科学的知見をわかりやすい言葉で紹介する。フルカラーで写真やイラストも多く、目を惹く。「速い球を投げるには」「ホームランを打つには」といったことに的確に答えられるかどうかは、コーチングにもつながっていく。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:SBクリエイティブ
(掲載日:2021-05-10)
タグ:野球
カテゴリ スポーツ医科学
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