金哲彦のランニング・メソッド
金 哲彦
本書は、ランニングが持つ本来の楽しさを味わってもらい、ランナー人口を増やすことに重きをおいた内容となっている。その楽しさを味わうためには、身体が軽く・疲れない走り方=「正しいフォーム(姿勢・動き)」が必要であり、その必要性が一貫して書かれている。疲れが出たら、ウォーキングに戻るものの、正しいフォームを忘れないように気をつけること。痛みが出たら、フォームに問題があるので、正しい動き・姿勢に気をつける。など、「正しいフォーム」を徹底して教えてくれる。ほかにも、ランナーへのボディケアとして自分の身体に興味を持ってもらい、生活スケジュールにも工夫を入れるコツが掲載されている。
これは、健康のための入門書ではなく、コーチの視点から書いた入門書であるが、中・上級者も一見の価値のある内容となっていることは間違いない。一過性のブームに終わることなく、マラソンを生活の一部に取り入れて、マラソン人口を増やしていこうとする著者の気持ちのよくわかる一冊となっている。
(上村 聡)
出版元:高橋書店
(掲載日:2012-10-11)
タグ:ランニング
カテゴリ 運動実践
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コアパフォーマンス・トレーニング
Mark Verstegen Pete Williams 咲花 正弥 栢野 由紀子 澤田 勝
動きは、身体の中心である「コア」の部分から始まる。このコアを「動作と生命の構造的なピラー=支柱」と呼び、手足の動きよりも先に動き出すため、動作の基礎である「コア」から始まるトレーニングを7つのユニットに分けて記載したものが本書である。
最近はやりの、「体幹トレーニングのハウツー本」ではなく、何のための体幹トレーニングであるのか、目的がぶれることがない。体幹を鍛えることが目的でなく、一貫して「パフォーマンス・アップ」に向けたトレーニング内容となっており、トレーナーとして見失いがちなところをしっかりと押さえているのはうれしい。
また、CD-ROMがついており、トレーニングを正面・横から見ることができるのでイメージがつきやすいうえに、トレーニング中のポイントや感覚がすべてにわたって記載されており、正しい肢位をとれるよう、細かいところまで気を配っている。
初心者には感覚をつかめるようになるまで難しいかもしれないが、トレーナーやコーチ、選手には、ぜひとも読んでもらいたい一冊である。
マーク バーステーゲン、ピート ウィリアムズ (著)
咲花 正弥、 栢野 由紀子、澤田 勝 (翻訳)
(上村 聡)
出版元:大修館書店
(掲載日:2012-10-13)
タグ:体幹 コア
カテゴリ トレーニング
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時計の針はなぜ右回りなのか 時計と時間の謎解き読本
織田 一朗
人々は「昼夜にかかわらず」「天気にかかわらず」「場所にかかわらず」時を知る方法に考えをめぐらせてきた。その結果が、日時計であり、水時計であり、火時計であった。時計の進歩ははかりなく、機械式時計の発明はすべての点で画期的であった。にもかかわらず、われわれはどれほど「時」について知っているのであろうか。本書は、さまざまな「時」に関する疑問について答えてくれる。
スポーツの分野に「時計(計時機能)」がフィールドで使われることになったのは1820年代であるという。すでにスポーツにはなくてはならない計時機能であるが、「時」を「計る」ことと、「判定」するということは、同じことであるのか。あまり考えたことのないこの問題について考えさせてくれた一冊である。
(上村 聡)
出版元:草思社
(掲載日:2012-10-13)
タグ:開発 時計
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツの法律入門
入澤 充
これまで、スポーツ分野に関する危機意識は薄いものであった。しかし、近年のスポーツのプロ化に伴い権利への意識、法律への意識が高まってきている。こうした中で、最近では、法律の基礎知識を身につけなければならない時代になってきていると言えよう。
スポーツには、そのものの競技特性によっては怪我をすることも当然ありうるコンタクトスポーツ・コリージョンスポーツもある。したがって、スポーツ活動中の怪我は簡単に予測できるものではなく、ルールにのっとってプレイしていても起こってしまう怪我もあるということだ。これには当然、本人の責任もあるわけだが、学校、スポーツクラブにおける、または指導者、トレーナー、コーチにかかわるケガや事故などは、本人だけでなく所属する組織・協会の責任も免れない。そういった中で、危機管理に対する対応が現在求められていると言えよう。
本書は、そんなリスクマネジメントを分かりやすく事例で示されており、最後には用語説明がされているため、入門書という言葉通りの理解しやすく読める本になっている。たとえば「OBによる練習中の事故の責任」、「ケア後に悪化したことによるトレーナーの責任」など、気になる事例がたくさんある。ぜひ一読して、今後の業務に役立てていただきたい。
(上村 聡)
出版元:山海堂
(掲載日:2012-10-13)
タグ:スポーツと法
カテゴリ 法律
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