運動も勉強もできる脳を育てる 「運脳神経」のつくり方
深代 千之
学生時代は運動が得意なほうでもなく、ボールの投げ方やバットの振り方、受身の取り方がよくわからなかった。“運動神経がない”という簡単なコトバで終わらせていた過去の自分。そのときに、この本に出会っていたら、どうなっていただろうと勝手に想像しワクワクしていた。
タイトルにある「運脳神経」とは著者がつくった造語である。普段の生活で行う動きやスポーツのときに行うダイナミックな動作など全ての動作は脳が司っている。また、運動神経は誰にでもあり、“運動神経がない”ということはない。しかしながら、過去の私のように誤った言葉の使い方や意味の捉え方をしている人がいる。「運脳神経」にはそういった運動神経という言葉が意味する誤解や誤った考えを避けたいという著者の願いがこめられている。
運脳神経をつくるルールやバランスチェック、実践方法が記載されている一冊。
(大塚 健吾)
出版元:ラウンドフラット
(掲載日:2011-12-13)
タグ:教育 トレーニング
カテゴリ トレーニング
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いじらない育て方
元川 悦子
スポーツライターである著者が、遠藤保仁がどのように育てられたのかについて、彼を育てた両親、チームのコーチたちへのインタビューをまとめている。
「国際経験は子どもを大きく変える」や「希望の進路は最大限サポートする」といった、コーチが選手を、親が子を育てるときの29のヒントが書かれている。
その中には「子供の成長だけが(親の)自己実現になっていないか?」といった保護者への問いかけもなされている。必ずしも親やコーチだけが育てる側ではない。我々指導者側も育ててもらっているということが感じ取れる一冊となっている。
(大塚 健吾)
出版元:日本放送出版協会
(掲載日:2012-02-07)
タグ:サッカー 教育
カテゴリ 指導
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Age-Defying Fitness
Marilyn Moffat Carole B.Lewis
著者のMarilyn MoffatとCarole B.Lewisの2人は、Physical Therapist(以下PT)である。
“良い習慣は良い姿勢をつくり、良い姿勢はあなたの痛みを少なくし、今以上のエネルギーを与えることでしょう”この言葉に集約されるように、よりよく年を取るための大切な要素として、「姿勢」「筋力」「バランス」「フレキシビリティ」「持久力」の5つを挙げている。
本書はそれぞれの5つのカテゴリーを各章ごとにわけ、アセスメントとエクササイズの紹介をしている。日常生活の姿勢が悪い状態でトレーニングをしてもよいパフォーマンスが発揮できないことは言うまでもない。そういった点でも5つの要素のうち姿勢が最初に取り扱われているのは自然な流れだと思う。
(大塚 健吾)
出版元:Peachtree Pub Ltd
(掲載日:2012-02-17)
タグ:エイジング 姿勢 トレーニング
カテゴリ トレーニング
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日本人が知らない松坂メジャー革命
アンドリュー・ゴードン 篠原一郎
2006年4月カンザスシティロイヤルズの本拠地カウフマン・スタジアムにいた。興奮と緊張さめやらぬスタジアムは…寒い。観客のほとんどはニット帽、手袋、ジャンパー、さらには毛布を持参してかけている人たちもいた。
とてつもなく寒い中、お目当ての選手があらわれた。
日本時代の青と白のユニフォームからグレーと赤色に変わったユニフォームに袖を通した、背番号「18」が登場。大きな歓声とは対照的に、静かに落ち着いて見える一人の日本人ピッチャーがマウンドに姿を現した。松坂大輔投手(ボストンレッドソックス)である。松坂投手は、マウンドに向かうとき、3塁線を片足(右足でとび、左足で着地する)で飛び越える動作を必ずすることに気づいた。彼にとってこの動作には一種の願掛けの意味を持つのだろうかという思いで彼の行動ひとつひとつを観察していた。
試合終了後にESPNを偶然目にして、彼は試合中に笑っていた。この笑みが意味するのは本人にしかわからないだろうが、余裕があったのか? 心の底からベースボールを楽しんでいるのか? 相手のレベルの高さにゾクゾクするというような意味での笑みだったのか?
実際にスタジアムに行くことによって感じること、連日放送されるスポーツニュースを見ることでしかわからないこと、そして、書籍を読むことで知ることができること。
ボストンレッドソックス松坂大輔の一挙手一投足、それをとり囲む日米のメディアと日米ファン。レッドソックスの試合の全米ネットワークや日本での放映権、選手たちの番組出演の際の収入はどうなっているのか。文化や地域にとらわれないスポーツのある生活の大切さと意味。まだ「知らない」ことを知るきっかけになるのでは。
(大塚 健吾)
出版元:朝日新聞社
(掲載日:2012-10-15)
タグ:メディア スポーツビジネス
カテゴリ スポーツライティング
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Swimming Drills for Every Stroke
Ruben J. Guzman
著者のRuben Guzman氏はレクリエーションレベルはじめ、高校、大学、競技などさまざまなレベルで18年以上のスイミング指導をされている。
本書は9つのchapterからなり、全部で91のドリルが記載されている。
1 息つぎと蹴り方
2 手で水をかぐ動作
3 背泳ぎ
4 自由形
5 平泳ぎ
6 バタフライ
7 自由形と背泳ぎのときのターン
8 その他の泳法のときのターン
9 スタート
見開きの左のページはそのドリルをする目的、ドリルの方法、フォーカスポイント、ワンポイントアドバイスが細かく記載されている。一方、右のページは手書きのイラストで動きをイメージしやすくなっている。
スイマーのために書かれているが、プールの中のドリルだけではなく、プールサイドや陸上でのドリルが記載されているため、アスレティックリハビリテーションやアクティブレストでも活用ができる。
著者はUCLAのバスケットボールコーチのJohn Wooden氏のシステマティックなアプローチ方法に影響を受けていて、「コーチはわかりやすいカリキュラムをつくれることやさまざまな状況に応じて柔軟に対応できることが必要だ」と述べている。他競技のコーチから影響を受けていることもあり、ドリルだけではなく、コーチとしての資質に関しての記述もとても興味深い。
(編注:本書は英語で書かれています)
(大塚 健吾)
出版元:Human Kinetics
(掲載日:2012-10-16)
タグ:水泳
カテゴリ 運動実践
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疲れたときは、からだを動かす!
山本 利春
全く疲れない、疲れを感じないという人はいるのだろうか?
そういう人は、疲れにくいカラダを手に入れていると言えるのかもしれない。練習や試合、日常生活で蓄積された疲労をコントロールし、ベストパフォーマンスを発揮するための手助けとなるアクティブレスト(積極的休養)。キーワードは「パッシブ(他動的)」ではなく「アクティブ(能動的)」。
Jリーグやプロ野球などのプロスポーツで実際に行われているアクティブレストの方法が紹介され、ストレッチングやアイシング、ジョギングのやり方がイラストつきで丁寧に説明されている一冊。
(大塚 健吾)
出版元:岩波書店
(掲載日:2012-10-16)
タグ:アクティブレスト
カテゴリ 運動実践
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DANCE Anatomy
Jacqui Greene Haas
著者のJacqui Greene Haas氏はピラティスインストラクターであり、アスレティックトレーナー。著書は9つの章から成り立っています。
1 ダンサーの動き
2 脊柱
3 肋骨と呼吸
4 コア
5 肩甲帯と腕
6 骨盤と股関節
7 脚部
8 足首と足部
9 ダンスのためのカラダ全体のトレーニング
1章は骨や関節の動き、骨格筋(主働筋、拮抗筋、共働筋、固定筋)の説明の他に動きの基本面(矢状面、前額面、水平面)やメンタル面、コンディショニングにおける原則(オーバーロードの原則、特異性の原則、ウォーミングアップ&クールダウンの重要性など)などが記載されていてトレーナーの方にとってはよい復習になりそうな内容になっています。 2章から9章に関しては、各章ごとの筋肉の名前や関節の動きの説明と一つのエクササイズに対して見開き1ページでじっくり説明がされています。
左側のページはエクササイズのイラスト(主働筋が色分けされている)で右側のページが実際にそのエクササイズはダンスのどの動きで使われるのかというのがイラストつきでの解説。そのほかに、エクササイズの注意点やエクササイズのバリエーションの説明がされています。
著者は前書きで以下の言葉を残している。「筋肉がつくりだす動きをわからないままで、あなたはどうやって効率的なコンビネーションをやるんですか?」「間違った筋肉の使い方を続けることは、オーバーユースによるケガの原因になりますよ」
この言葉を聴くと、著書が少し専門的で難しいと(ひょっとしたら)思っているダンサーは身が引き締まるのでないでしょうか。
そして、トレーナーの方は著者のこの力強い言葉に共感を覚えるのではないでしょうか?
(編注:本書は英語で書かれています)
(大塚 健吾)
出版元:Human Kinetics
(掲載日:2012-10-16)
タグ:医学 解剖 ダンス
カテゴリ 身体
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克つための弓道 的に克つ、己に克つ
村川 平治
弓道の一連の流れ(弓を持ってたち、矢を放った後まで)である射法八節が写真つきで解説されている。
足踏みから残心まで8つのphaseからなっている射法八節。自分の動作がおかしいと思ったらその前の節に戻る、八節の後半の動きがおかしい場合は八節の前半に戻ることを著者は勧めている。それぞれの型に名前はあるものの、あくまでも一続きの動作であり、心技体の「技」の部分である。
著者の父が弓道家ということで、著者である村川平治氏の幼少期は弓道が身近に感じられる生活だった。「昨日当たって、翌日当たらないのはなぜか」や「日常の練習は試合のつもりで」といった心技体の「心」の部分にせまる記述や「試合数日前から直前の練習法」という「体」の部分は他の競技選手が読んでも参考になる。
また、弓具(弓、矢、弦)の性質や選び方、調整のアドバイスが写真つきで丁寧に解説されている。
(1997年の)弓道界の現状として中学体育連盟に弓道が加盟していないことで、中学校に弓道部が少なく、弓道部員も中体連に参加できない。そして弓道を高校や大学でやってきていても、社会人になってから弓道場がないことや公営の弓道場の使用時間などの関係で競技の継続が難しいとのこと。
著者は「本当に強くなりたいのなら、外にも目を向け、いろいろな人の射を見て、取り入れて行った方がいい」と語っている。弓道のプロ化を願っている著者の言葉はひょっとしたら以下のように解釈できるのかもしれない。“本当に弓道を普及させたいのなら、他の競技にも目を向け、いろいろな競技のシステムを見て、取り入れて行った方がいい”(あくまでも想像だが)
自分の道場を持ちたい。自分なりの「村川流」をつくりたい。著者の自分の夢への強い気持ちを表す言葉でしめくくられている一冊。
(大塚 健吾)
出版元:ベ-スボ-ル・マガジン社
(掲載日:2012-10-16)
タグ:弓道
カテゴリ 人生
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メジャー野球の経営学
大坪 正則
千葉ロッテマリーンズの優勝で幕を閉じた2010年のプロ野球。先日、優勝パレードの様子がテレビで流れていた。シーズン終了後はファン感謝祭や選手のトークショーなど球団独自の取り組みが行われる。それと同時に選手の契約改正が行われるシーズンでもある。今年も新聞ですでに目にした「保留」の文字は毎年のこと。選手にとっての収入は球団の支出なのだから、スムーズにいかないのがひょっとしたら“普通”なのかもしれない。
球団経営のための収入をどうやって増やし、球団を運営していくのか。コミッショナーや球団、選手会、そしてその他の機関のそれぞれの「仕事」とその仕事の関係性をメジャーから学ぼうという姿勢。そのために、「本書は読者が監督や選手の立場でプロ野球を観たり、勝ち負けで球団を応援するだけではなく、たまにはコミッショナーや球団オーナーの立場からリーグ全体を俯瞰し、球団社長になったつもりで球団経営を楽しむポイントを示唆している」と著者。
年棒やドラフト、フリーエージェントなどプロスポーツではない限り、少し離れた話になるかもしれない。しかし、施設内のサービスやファン向けの活動などといったプロモーションやマーケティングの話は学生スポーツやアマチュアスポーツの団体も学ぶことは多くある。そして、“感動や興奮や驚きを与える選手”のパフォーマンスの一部を担っているトレーナーの方たちにとっても「お金のはなし」は知っておいて損はないと思う。
(大塚 健吾)
出版元:集英社
(掲載日:2012-10-16)
タグ:野球 経営 メジャーリーグ
カテゴリ その他
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