Therapeutic Exercises Using Foam Rollers
Caroline Corning Creager
もともとはリハビリの道具として開発されたフォームローラー(ポリウレタン、またはポリエチレン製の円柱。我が国では「ストレッチポール」などが販売されている)であるが、近頃はスポーツの現場、治療院、介護施設、子ども向けの教室など、さまざまな場面で目にする機会が増えた。本書ではフォームローラーを使ったさまざまなエクササイズを紹介している。
エクササイズは各肢位別に章立てられている。各章は、エクササイズごとに、目的、写真、説明、注意点(禁忌)の各項目が1ページにまとめられている。エクササイズによっては初級者向け、上級者向けが紹介されていて、アスリートや患者の状態に応じて難易度を選択することもできる。また、最終章では、ケーススタディとして、実例を取り上げている。
以上が本書の流れであるが、フォームローラーを用いたエクササイズ以外にもPC作業が多い職場向けのアドバイスも紹介しているので、目・肩・腰の疲れなどVDT症候群に悩まされることが多い現代の労働環境改善の参考になる。アスリート、リハビリ患者のみならず、さまざまな立場の人の健康管理に本書を役立ててほしい。
(編注:本書は英語で執筆されており、ブックハウス・エイチディによる訳書『フォームローラーエクササイズ』の原著である)
(西澤 隆)
出版元:Executive Physical Therapy Inc
(掲載日:2012-10-16)
タグ:エクササイズ ストレッチング
カテゴリ 運動実践
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聴き上手が人を動かす
清水 隆一
多くの人は上司や指導者といった立場の人から、経験や価値観を考慮しない「押しつけ」をされたことがあるだろう。私自身もそうした経験談をよく耳にする。
本書では「観る」「聴く」「行動を促す」を「人を動かすための三つの法則」と位置づけて、部下や選手、子どもたちに「押しつけ」の指示を与えて管理するのではなく、「意欲を引き出して、能動的にし、創造的でチャレンジ精神旺盛な人を育てること」へとつながるコミュニケーション法を具体例とともに紹介している。
私自身も、後輩・部下として上司や先輩の指導を受けた経験があり、最近はトレーナー・上司として選手や後輩の指導に当たることもある。それぞれの立場で相手に対して「なんでこの人は?」と疑問や不満を感じることも少なくない。
本書の内容を実践し、上下関係に限らず周囲とのコミュニケーションを改善するための手引きとしたい。
(西澤 隆)
出版元:ベースボール・マガジン社
(掲載日:2012-11-02)
タグ:コミュニケーション
カテゴリ 指導
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ロード競技トレーニング ホビーレーサーからトップアスリートまで
ヴォルフラム・リントナー 安家 達也
副題に「ホビーレーサーからトップアスリートまで」とあるように、さまざまなレベルの競技者に向けてのトレーニング法を紹介している。
どのレベルでも共通しているのは、現在の自分の状態を把握し、目標の設定をすることから始めることだ。ただし、現状把握も目標設定も、願望に強く影響された主観的なものではなく、客観的な根拠を伴っていることが重要である。
本書では、根拠となる基準の求め方、目標設定、達成後の再設定など、トレーニングプラン設計の重要性を解説している。ロード競技の競技力向上に必要な要素、条件をカバーしている一冊と言えるだろう。
(西澤 隆)
出版元:未知谷
(掲載日:2013-03-18)
タグ:自転車 トレーニング
カテゴリ トレーニング
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FIGHTING FIT
Adrian Weale
本書は英国陸軍特殊部隊(Special Air Service)で採用されているトレーニングを紹介したものである。タイトルこそ“FIGHTING FIT”となっているが、決して戦場で勝つためのトレーニングばかりを取り上げているのではなく、自分の身体を知ること、健康的な食事、ケガの手当てなど、内容は多岐にわたる。
前半部で以上のことを踏まえた上で、後半部では戦場を想定した実戦訓練(山岳地帯、森林、夜間の行動、野宿、携行品など)について書かれている。後半の戦場のサバイバル術は我々の日常生活になじみが薄いかもしれないが、前半部で取り上げているフィットネスの基礎知識、食事について、トレーニング計画など、自分をよく知り、よりよい習慣を身につけることで、体質改善を目指すうえでは大いに参考になるだろう。
とくにアルコールと喫煙が及ぼす悪影響については非常にわかりやすく書かれている。「軍隊式だから」と身構えることなく、生活の一部として取り入れてほしい。
(西澤 隆)
出版元:Chapmans Publishers
(掲載日:2013-09-20)
タグ:サバイバル 軍隊式フィットネス トレーニング
カテゴリ トレーニング
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タイ式マッサージ タイ式伝統医療の理論とテクニック
Richard Gold 医道の日本社編集部
本書はタイの伝統医学のうち、身体的療法(ヌアッド・ボラーン)を取り上げている。
タイ式マッサージの特徴は、手技に足・膝・肘・前腕など術者自らの体の各部位を使う、マッサージオイルなどは皮膚に塗らない、ベッドではなく、床や低い台の上で行う、時間をかけてゆっくりと施術する、身体の治療を通じて肉体・精神・魂のバランスと調和をもたらす、などが挙げられる。
Section 1 ではタイ式マッサージの歴史や施術法に触れ、Section 2 では各部位・各体位・各手技を写真と禁忌の説明付きで詳しく解説し、治療への適用を学ぶことができる。Section 1 は割かれているページ数こそ少ないが、タイ伝統医学による患者へのアプローチ法やその思想について知ることができる。仏教の影響を受けたタイ式マッサージでは「愛に満ちた親切心」「慈悲」「人の身になって感じる喜び」「平静」の4つの神聖な心の境地を表現し、マッサージテクニックの多くは、瞑想やヨーガの実践を容易にするために開発されたという。
Section 2 は実際の手技やストレッチについて触れているが、解剖学などの説明はほとんどないので、全くの初学者が本書のみでマッサージをマスターすることは難しいと思われる。しかし、中級者以上が副読本としての位置づけで、施術の幅を拡げるためには大いに役立つだろう。
(西澤 隆)
出版元:医道の日本社
(掲載日:2013-10-25)
タグ:マッサージ タイ式マッサージ マッサージ 伝統医療
カテゴリ スポーツ医学
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フェルデンクライス・メソッド入門 力みを手放す、体の学習法
伊賀 英樹
本書によるとフェルデンクライスメソッドは、(1)環境の中で自分自身の機能的な気づきを発展させる学習システム、(2)人々に働きかけて、その人々の動きの能力の範囲を拡げ、気づきを高め、機能を改善させ、自分自身をもっと十分に表現することを可能にする、(3)自分自身全体を組織化し、忘れられた動きのパターンや行動を取り戻すために必要な学習をどのように促進するかという問題に対して直接的に向けられているものである、と定義されている。
つまり、フェルデンクライスメソッドは「自分自身の体への認識を深め、機能と動きを再教育するための学習法」である。そのため、一般的な医療行為のように、症状を治したり改善させることが直接の目的ではない。
フェルデンクライスメソッドのレッスンはグループで行うATMレッスンと、個人で受けるFIレッスンの2つからなる。
ATMレッスンは“Awareness through Movement(=動きを通じての気づき)”、FIレッスンは“Functional Integration(=機能の統合)”を意味する。
いずれも大きな動きや大きな力は必要とされず、ゆっくりと穏やかな動きで自分の身体の内部感覚と今までの習慣になっていた動きの癖を見直し、より楽で自然な身体の使い方に向けていく。ただし、ここにも正解はなく、動きを通じての気づきと学習の仕方を学ぶのが目的になる。
私もどうしても力んでしまう選手や患者に接することがある。彼らに「力を抜いて」「リラックスして」と声をかけても、自分の意志で入れている力ではないので当然、自分の意志では力を抜くことはできない。これは、スポーツやリハビリテーションに限らず、さまざまな場面であることだろうし、おそらく多くの人も経験があるはずだ。
私も実際の効果のない指摘するだけの言葉ではなく、無意識の緊張を緩めるための手法の必要性を痛感している。フェルデンクライスメソッドにはその可能性を感じるので、これからも関心を持っていきたい。
(西澤 隆)
出版元:BABジャパン
(掲載日:2013-12-12)
タグ:フェルデンクライス ボディーワーク
カテゴリ 指導
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うっかりドーピング防止マニュアル
遠藤 敦
本書は日本アンチドーピング機構(JADA)に認定されたスポーツファーマシストが、ドーピングの基礎知識、検査制度、禁止成分、ドー
ピング防止に関わる組織などについて丁寧に説明したものである。
世界でのドーピング検出数は1~2%なのに対し、日本では0.1~0.2%と格段に低い。しかも、日本ではほとんどが競技力向上のために故
意に禁止物質を使用したためではなく、「うっかりドーピング」によるものだという。「うっかりドーピング」はサプリメントに含まれる
成分、風邪薬など他の疾病治療のための薬、そして、時には食肉用家畜の肥育に用いられ残留した薬物など、気づきにくく、身近なところ
に原因がある。
本人が意図しない「うっかりドーピング」であっても、お目こぼしはなく、競技力向上目的のためのドーピングと同様に処罰の対象とな
る。ドーピングを意図しないから「関係ない」と軽視するのではなく、意図しないからこそ「うっかりドーピング」をしてしまわないこと
の重要性を説いている。
ドーピングに関して知っておきたい内容がわかりやすくまとまっているので、選手、コーチ、トレーナーなど、競技に関わるならば読ん
でおくことを強く推奨したい。
(西澤 隆)
出版元:
(掲載日:2015-06-12)
タグ:アンチドーピング
カテゴリ 指導
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