SPORTS もうひとつの風景
佐藤 次郎
スポーツには、見ている人に大きな感動や夢、希望、大きく言えば、人々に生きる力を与えてくれる普遍的な価値があるように思えます。なぜ見ている人を魅了するのか、いろいろ考えても答えは見つかりません。本書では、各スポーツで活躍する選手や指導者、関係者の一人一人に、スポットライトを当て、日頃、見聞きしない話が書かれています。
栄光の陰には、大きな挫折や不運な出来事がある中で、その自己と真摯に向き合い、現実に起きたことを、未来へ向けて挑戦していく姿が多く取り上げられています。本当に強い人間になっていく人は、「筋書きのない人生を、自分自身の可能性を信じて努力していける人ではないか」と、多くの実体験を通して語られているように思えます。現場で指導されている方々が読まれることで、目標や夢を諦めない大切さを伝えられるのではないでしょうか。スポーツを通して努力していくことの大切さが伝わる一冊だと思います。
(辻本 和広)
出版元:東京新聞出版部
(掲載日:2012-10-16)
タグ:挑戦 人生
カテゴリ スポーツライティング
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逆風満帆
朝日新聞be編集部
本書は、第1章「頂点からの転落、そのとき自分は…」、第2章「挫折の中から自分の可能性を切り拓く」、第3章「逆風あればこそ見えてくるものがある」、第4章「たゆまぬ努力と職人魂で1つ上をめざす」、第5章「逆境でも自分を貫く強さが人を惹きつける」によって構成され、各分野で活躍する20名の人物が登場する。
私たちは活躍する人物を見ると、順風満帆に人生を歩んでいるように見える。しかし実際には、外からは見えない陰の努力やさまざまな思いが存在する。さまざまな苦難に遭遇しながらも、その過程で前向きに取り組むことで状況を打開しているのである。見ているようで見えていなかったことや、気づかないでいたことを本書から感じ取れる。そして、多様な角度からものごとを見ることで、スポーツに関わる私たちにも多くのヒントを得ることができるだろう。
本書のあとがきには、次の1文でまとめられている。「ほんとうに大きな困難を克服して今の地位に辿り着いた人たちは、実に冷静に自分を分析していました。自分の失敗や逆境を見つめ直して、他人に率直に語れる人というのは、やはり一流の人だと実感しています」ということである。本書は、謙虚な姿勢や心が大事であり、それが後になって、自分自身に返ってくることを教えてくれる。
(辻本 和広)
出版元:明治書院
(掲載日:2012-10-16)
タグ:アスリートの言葉
カテゴリ 人生
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強いだけじゃ勝てない
松瀬 学
1974年に関東学院大学ラグビー部監督に就任した当時は、関東リーグ戦グループ3部のチームであった。部員は8人、ボールやグラウンド、ゴールポストもない。以来30年余り、どん底のスタートから大学日本一の座に至る道のりが書かれている。「強いだけじゃ勝てない」とあるように、春口監督のラグビーにかける情熱と人間力が、選手や周囲のスタッフ、学校関係者に伝わり、チームがつくられていくヒューマンドラマが読み取れる。
指導者であれば、毎年よいチームづくりや強いチームづくりを実現していくうえで、何をすべきなのかを考えるだろう。本書からは、チームづくりに必要なこと、選手の素質を見抜く力、チームが発展していく中での春口監督自身の指導者としての成長も感じられる。また、さまざまな苦難・困難な出来事を乗り越えていく過程で、真の強いチームとは何かを考えている様子がわかる。
関東学院大学ラグビー部の逸話の中に「涙の雪かき」がある。試合では、グラウンドに立っているレギュラーメンバーだけで戦うのではなく、そこに立てなかったチームメイトの存在や思いがあってこそ生まれるチームの結束力の大切さを学ぶことができるだろう。また、ラグビー指導者のバイブル的名著、大西鐡之祐監督の「ラグビー」にある一節に春口監督は感動したことが書かれてある。それは、「ラグビーとは、人間と人間とが全人格の優劣を競うスポーツである。しかも15人の人格が形成するひとつの新しい超人格的チームが15人の結集される力にある何者かが加わって闘うとき、はじめてそこに相手にまさる力が生まれるのである」という1文であった。そこには、「1人はみんなのために、みんなは1人のために」の精神の大切さが目には見えない力となることを理解できるだろう。
春口監督は、ある年の慶応との決勝戦に敗れたとき、「強いだけでは駄目だ。いいチームじゃないと。周りから応援され、愛されるチームじゃないといけない」と思ったという。
ラグビーのみならず、さまざまなスポーツ種目の指導者、関係者に読まれることで、日々の私達の環境に感謝する気持ちや周りの人達の支えなくして、スポーツは成り立たないことを再認識することができるだろう。誰かが何とかしてくれるのではなく、自らの現場や足元からスタートしていこうという勇気がもらえる1冊である。
(辻本 和広)
出版元:光文社
(掲載日:2012-10-16)
タグ:ラグビー 組織論
カテゴリ スポーツライティング
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筋力トレーニング スポーツ動作別プログラム
川島 英博
著者のプロフィールを見ると、窪田登氏に筋力トレーニング指導を受けたと記してある。わが国の筋力トレーニングにおける社会的認知度や学術レベルにおいて、尽力されてきた専門家は多くいるであろう。その中でも、草分け的存在であり、まだ、世間から誤解や偏見がある中において、この分野を開拓し、筋力トレーニングの実践指導と研究活動の両面で、社会活動してきた窪田氏である。同氏より、直接、筋力トレーニングの教えを受けた知識と、著者ご自身が指導者として歩まれたキャリアの中で培われたノウハウを元に、筋力トレーニングの基本から、各スポーツへの応用例が独自の視点から紹介されている。
本書の構成内容では、各身体の部位におけるトレーニング種目の紹介があり、その筋力トレーニング種目のフォーム、解剖図と、各トレーニング動作時のポイントが説明されている。また、スポーツ動作と筋力トレーニング種目における主要な動きとの関係も紹介されているのが特徴である。
著者ご自身の実践と理論の融合と、現場での豊富な経験が本書に込められている。基本的な筋力トレーニングの考え方から、応用、そして、スポーツパフォーマンスに結びつけていく考え方が理解できる。様々な競技レベルにあるアスリートやコーチ・指導者・トレーナー・スポーツ関係者の方々にとっても、現在のトレーニングを考えるうえで何かのヒントを掴める一冊であろう。
(辻本 和広)
出版元:日本文芸社
(掲載日:2014-02-10)
タグ:トレーニング
カテゴリ トレーニング
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