この「スポーツ外傷学」全4巻で約1300頁になるが、現在の我が国におけるスポーツ医学の書籍で最も充実したものと言えるだろう。
第28号でも記したが、主として日本体育協会スポーツ診療所に関わってきた整形外科医、理学療法士をはじめ、トレーナー、トレーニング指導者などが執筆、医師のみならず、スポーツ医療全般に関わる人にとってまさに「座右の書」となっている。
『概論」の序で黒澤氏はこのシリース独自の目的についてこう記している。
「まず、スポーツによる外傷を専門に研究する学問を『スポーツ外傷学』と命名し、従采整形外科、腹部外科、胸部外科、内科、形成外科、眼科、泌尿器科、婦人科、リハビリテーション等々の専門にとらわれない命名とした・・・・・・従来あいまいに使われていた外傷、障害(はたまた傷害)という言葉に代わって、1回の外力で生じる病態を急性外傷、軽微な度重なる外力によって徐々に引ぎ起こされる病態を慢性外傷とできるだけ呼ぶことにした。第2に、スポーツ外傷治療のゴールはスポーツヘの復帰と定めて、そのために必要な事項は全て記載しようと意図とした。・・・・・・第3には、スポーツ外傷の予防という内容をできるだけ盛り込むようにしている。・・・・・・」
全体は2色刷りで、多数コラム的な内容も収録されている。
この全4巻を手にすると、日本の「スポーツ外傷学」はこのシリーズで1つの頂点を極めたという気がする。
それだけの成果であり文句なくおすすめしたい。
黒澤尚、星川吉光、高尾良英、坂西英夫、川野哲英編
B5判 I:326頁、IV:480頁 2001年4月15日刊 I:9,000円+税、IV:12,000円+税
医歯薬出版(株)
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