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中学野球小僧

中学生のための野球専門誌。創刊2号の特集は『高校野球でヒーローを目指せ!』と『秋の新チーム発足版:中学野球テクニカル』。プロ野球選手の体験談や野球がうまくなるための技術を写真やイラストで紹介。



隔月刊(偶数月10日)、A5判、204頁、1,200円
白夜書房

スポーツ外傷・障害評価ハンドブック

StarkeyとRyanの両氏の執筆による“Evaluation of Orthopedic and Athletic Injuries”の手引書として出版された“Orthopedic and Athletic Injury Evaluation Handbook”を翻訳したのが本書である。携帯に便利なハンドサイズで作成されている。
400頁を超える本書では、広範囲にわたる臨床整形外科とスポーツ傷害の検査を実施するうえで必要とされる適切な知識と技術の説明に加え、評価課程にある問診、視診、触診、関節可動域テスト、靱帯の(ストレス)テスト、スペシャルテスト、神経学的テストを系統的に、かつ詳細に解説している。各節では、各部位ごとにこれらのテストの実施方法や一般的なテスト変法、テスト陽性の意味に触れているほか、頭部傷害、熱中症、心肺能状態、皮膚病も網羅しており、付録として上肢と下肢の反射テスト、筋長の評価、下肢の機能テストも紹介されている。持ち運びが容易なうえ、充実した内容の一冊である。(H)



Chad Starkey・Jeff Ryan著、中里伸也監訳、A5判 421頁、2005年5月20日刊、3,675円
ナップ(03-5820-7522)

介護と建築のプロが考えた「生活リハビリ」住宅

バリアフリーという言葉はすっかり定着し、その意味を知らない人は少ないだろう。だが、ではそのバリアフリーはいかにあるべきかとなるとよくわからない。
この本は副題として「バリアフリーは間違っている」と記されている。著者の三好氏は、特別養護老人ホームの生活指導員となり、その後理学療法士の資格を取り、85年に退職、現在は「生活とリハビリ研究所」を開設している。もう1人の著者である吉眞氏は、県立宇都宮工業高校建築科で建築学を学び、吉眞建設株式会社を設立、本格的木造住宅を数多く手がけ、日本の建築文化を受け継ぐ職人が絶えないようにと、在来工法も重視している。
三好氏は、車椅子が実は段差に強いこと、スロープは上りも下りも脳卒中の人には危ないことなどを挙げ、「介助が大変だからバリアフリーとか、介護対応型など、何か理想に近づけるのではなく、これまでのやり方があり、それをいかにして継続するかをまず考えるべき」という視点を提出する。
吉眞氏はもっと根本の木の家のよさを建築という立場で語っていく。住居や環境となると当然、建築家の出番である。「そりゃ、そのほうがいい」という住む立場で納得できる発言が多い。介護は介護する側も大変だが、される側の身になってこそであろう。住宅の見直しはとても重要と知らされる。(S)



三好春樹、吉眞孝司著、A5判 140頁、2005年4月30日刊、1,680円
雲母書房(03-5331-3343)

健康運動プログラムの基礎

健康運動を科学的に考えるうえでの一助となるこの本は、中京大学大学院研究科運動生理学研究室にて研究をまとめた研究者が博士論文を基礎にして執筆したものを、同研究室の北川教授が編集している。副題は『陸上運動と水中運動からの科学的アプローチ』。北川教授が執筆した第1章「健康と運動」に始まり、第2章以下、陸上運動と水中運動の2部構成によってまとめられている。 本書では、「健康とは身体的、精神的および社会的に完全に良好であって、単に疾病や虚弱ではないというだけではない」という1946年に作成されたWHOの定義に触れ、運動を身体的側面からだけでなく、精神的、社会的側面を含めて考えるべきだと主張する。加えて、ストレッチ体操やマラソンなどが社会一般ではその特性が理解されずに混同されている点を挙げ、体力への理解も健康づくりには不可欠であると記している。 運動をするうえで、まずは個々人が必要とする体力、理想とする健康をしっかり把握する必要がある。本書が示す科学的な根拠は、身体、精神の両面を向上させる健康づくりに役立つものとなるだろう。(H)



北川薫編著、B5判 123頁、2005年6月13日刊、2,310円
市村出版(03-5902-4151)

危ない!「慢性疲労」

書名は「慢性疲労」だが、「慢性疲労症候群」についても詳しく述べられている。「慢性疲労」は自覚的症状が半年以上続いていても、日常生活には特に支障をきたさないもの。一方の「慢性疲労症候群」は疲労を併発する他の疾患がなく、日常生活を送るのが極めて困難な疲労感が6カ月以上続いているもので、1984年にアメリカ・ネバダ州で集団発生した原因不明の病態に対して命名された比較的新しい概念だそうだ。
これといった病気がないので、さぼっているとか、怠けていると思われることもあるが、元気で働いていた人が風邪を引いたあとにかかることもある。専門家でないと診断も難しいようで、「特に異常なし」と言われるものの極度の疲労感は続く。
日本では、1991年に厚生省の慢性疲労症候群研究班が発足、世界をリードする研究が行われてきた。特に、1999年から始まった本書の著者である渡辺、倉恒氏らの「疲労の分子・神経メカニズムとその防御に関する研究」はパイオニア的研究として国内外から注目され、2005年2月には日本で第1回の国際疲労学会が開催される予定である。厚生省疲労研究班が1999年に調査した結果では、疲れやだるさを感じている人は59.1%、そのうち疲労感が6カ月以上続いている人が35.8%だった。この本で基本的知識を持っておきたいものだ。(S)



倉恒弘彦・井上正康・渡辺恭良著、新書判 210頁、2004年10月10日刊、714円
日本放送出版協会(03-3780-3339)

ストレスに負けない脳

副題は「心と体を癒すしくみを探る」。そもそもストレス反応は「闘争か逃走か」反応とも呼ばれ、緊急事態など状況の変化に対応することができる防御機構の1つである。しかし、ストレスが溜まる、あるいはストレス状態が慢性的に続くと有害になり、病気を悪化させてしまう。本書では、緊急に反応する防御の作用に「アロスタシス」、悪影響を及ぼす作用に「アロスタティック負荷」という言葉を当て、ストレスについて脳科学の視点から解説している。
第8章「ストレスに負けない生活」では、アロスタティック負荷を経験する必然性はないと語ったうえで、からだに危害を加えるものではなく保護的に働かせる方法として、運動、ヘルシーな食事、快眠、適度のアルコール、禁煙などを挙げている。不規則な生活や人間関係などが負の影響を与えるストレスの原因なることは間違いないが、その結果陥りがちな暴飲・暴食、睡眠不足は、さらにアロスタティック負荷を招くことになる。
序文を書いたスタンフォード大学のサポルスキー博士が「いい本は健康にいいという非還元主義的な事実があるが、本書はまさにそれに当たる」と評しているが、本書を通して健康になった気分になるから不思議である。(H)



ブルース・マキューアン エリザベス・ノートン・ラズリー著、星恵子監修、桜内篤子訳、四六判 292頁、2004年9月15日刊、2310円
早川書房(03-3252-3111)

乳幼児期の健康

西日本法規出版発行による健康福祉シリーズの第2弾。身体、こころ、運動機能の発達から、歯科保健、安全対策、生活習慣まで、乳幼児期の子どもの健康について様々な角度から考察されている。早稲田大学教授の前橋明氏が監修、洗足学園短期大学幼児教育科専任講師の田中光氏が編著した一冊。
「最近の子どもは……」と不満を言うことが口癖になっている方もいると思うが、著しく変化しているのは子ども自身ではなく、置かれている環境であると言えるだろう。乳幼児期であっても、両親が共働きであるなどの家庭事情があれば、「食卓にレトルト食品が並ぶ」「夜型の生活を強いられる」など健康に育つとは言いがたい環境を受け入れざるを得ない。
子どもの都合に合わないことが増えていて、その結果が身体とこころに現れているのは事実である。しかし、誰が、何が悪いと考える前に、子どもに何が起きているかをまず知る必要がある。本書では、問題点を指摘するだけでなく、子どもを健康に育てるために必要な情報を数多く紹介している。(H)



前橋明監修、田中光編著、A5判 220頁、2004年11月20日刊、2625円
西日本法規出版(086-255 -2181)

養生の実技

「角川oneテーマ21」の1冊。副題は「つよいカラダではなく」。五木寛之と言えば『青春の門』や『風に吹かれて』また最近では『大河の一滴』や『他力』などでよく知られているが、二度休筆宣言し、龍谷大学で仏教を学び、現在は『百寺巡礼』という大きな仕事に取り組んでいる。
その五木氏が、新書でみずからの「養生観」を語ったのがこの本。文章の平明さの一方で、思索と経験の深さをみることができる。
弱いことや不安などを「悪いこと」として捉えない著者の言うことは世間とは逆のことも多いが、よく考えられた裏づけがある。
「歩くときは、あまり颯爽と歩かない。反動をつけずに重心の移動で進む」「中心は辺境に支えられる。心臓や脳を気遣うなら、手足の末端を大切に」「入浴は半身浴にする。体をあまり洗わないことが大事」「一日に何回か大きなため息をつく。深く、たっぷりと、『あーあ』と声をだしながら。深いため息をつく回数が多いほどよい」「あまり清潔にこだわっていると、免疫力が落ちる」「病院は病気の巣である。できるだけ近づかないほうがよい」
これらは巻末に収められた「わたし自身の体験と偏見による養生の実技100」からの引用。仕事に追われ、未処理のものが多い人には「やったほうがよい、と思いつつどうしてもできないときは、いまは縁がないのだ、と考える。そのときがくれば、やらずにいられなくなるのだから」というものもある。
気持ちが楽になる。からだを慈しもうと思うようになる。そういう本だ。最後に著者はこう言っている。「あす死ぬとわかっていてもするのが養生である」。(S)



五木寛之著、新書判 228頁、2004年12月10日刊、720円
角川書店(03-3238-8521)

中高年のためのフィットネス・サイエンス

放送大学教養学部教授で、(社)日本エアロビクスフィットネス協会会長、(社)日本ウォーキング協会副会長などを務める宮下氏が上梓した本。身体運動と健康とを結びつける『フィットネス』という概念を中心に、中高齢者に適した平均的な運動プログラムを科学的根拠に基づいて紹介している。
第1章「フィットネスの運動生理学的基礎知識」に始まり、「まずは、ストレッチング・エクササイズ」(第2章)、「手軽にできるウォーキング」(第3章)、「ランニングはほどほどに」(第4章)、「だれでもできる水中運動」(第5章)、「力強さの向上 レジスタンス・トレーニング」(第6章)、「肥満を予防し、減量を目指す」(第7章)と続き、第8章の「高齢者のフィットネス」で締めくくられている。
これから運動を始める、あるいは運動をしているが正しい方法がわからないという中高齢者には特に役立つ内容になっている。巻末にある用語解説がより知識を深めさせてくれる。(H)



宮下充正著、A5判 164頁、2004年12月10日刊、1680円
大月書店(03-3813-4651)

老人自立宣言!

70歳代末に『明るくボケよう』という本を書いた著者の最新刊書。「介護制度が整えば整うほど、老人自身がそれに見合った『自立の心』を鍛えておかないと、心身ともにひ弱な老人になってしまう」という著者は今80歳代半ばで、中国研究家でもあり、至るところに中国での経験や古典の話が出てくる。何十冊もの本を書いてきたなかで、この本が一番楽しかったとか。
「心身の衰えとともに、残念ながら身も心も他者の支えを必要としてくる。…だが、その現実のままに流されていたら『老い』のつらさは増すばかりだ。ここは人生の最後のふんばり、痩せ我慢の抵抗精神で『自立』をめざそう」(本書より抜粋)
そして、「やはり、老い方には五十代の準備体操、六十代の助走がものをいうようである」という。著者はこうして「老人自立宣言全文」を記すことになる。全6項目。一、感謝はするが甘えず、心の自立を忘れまい。二、身も心もシャキッとしよう。三、自分の体、自分が責任を持とう。四、好奇心を持ち続けよう。五、自信を持て! 自分にしかできないことがある。六、「死」に馴染んでおこう。
誰でも歳をとり、やがて死ぬ。できればこういう本を読むか書くかしてから旅立ちたいものです。(S)



村山孚著、四六判 246頁、2005年1月26日刊、1575円
草思社(03-3470-6565)

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