毎年暮に発行される白書の最新版。総論、生存、保護、発達、生活、講演録の大項目からなり、グラフ、表などの資料とその分析で構成されている。
冒頭、編集委員長の野井真吾氏は、今年ほど、「読者の皆さんの『子ども理解』が一層深まりますように!」との想いから本書を刊行したことはありませんでしたと述べている。いじめ、虐待、不登校、自殺、誘拐殺人、子どもを取り巻く環境悪化の報道は社会不安をももたらしている。
「保護」の「E.心」の項目では、長期欠席(30日以上)について、小学校では59,315人から59,052人にわずかだが減少、しかし、中学校では127,621人から128,562人増加。中学校では1975年あたりをU字の底に年々増加している。病欠は減り、不登校が増えている。
暴力行為は、小学校で2000件台の大台に乗ってしまった点に注目される。
いじめでは、85年、小・中・高で155,066件だったのが翌年66%の急減、その後も一貫して減少傾向。しかし、白書は「文部科学省の報告と、現状の諸矛盾は明らかにされなければなりません」と記している。
子ども虐待では、児童相談所の虐待相談処理件数が、全国で33,408件から34,451件とやや増加。
薬物乱用では、中学生・高校生の覚醒剤事犯の補導が11.6%から18.2%に増加している。
以上は、白書に収められたデータのごく一部でしかないが、子どもの世界は大人の世界の鏡でもある。どこまでこれらのデータを読むか。本書の随所の収められたショートコメントも重要である。(S)
子どものからだと心・連絡会議編集・発行、A4判 176頁、2006年12月9日刊、2,100円
ブックハウス・エイチディ(03-3372-6251)
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