「運脳神経」ってなに? そんな疑問をもつ読者も多いのではないだろうか。
まず、この運脳神経というのは、もちろん造語。著者は運動神経という言葉が意味する誤解や誤った考えを避けたいということから「運脳神経」と言う。この「運脳神経」とはなにか、その運脳神経を鍛えるためのワークがこの一冊にまとめられている。
第1章では「運動が好きな子は勉強も得意! 東大合格を目指すなら運動から」というタイトルがつけられ、子どもをもつ親は思わず手にとってみたくなる。ちなみに東大大学院教授の著者は「東大入試に体育を導入しよう」と本書で主張する。
勉強も運動も「頭」つまり「脳でする」ものであるから、脳を鍛えれば勉強も運動もできるようになる。そのためには、運動だけでも勉強だけでも運脳神経は育たないので、運動も勉強もできる脳を育てよう! ということである。スポーツ科学界の第一人者が語る、文武両道の子どもを育てるためのノウハウ。豊富なイラストとわかりやすい文章で書かれている。運動と学習能力は切り離せないという大事なことを教える一冊。(T)
帯に「運動ができる子どもは勉強もできる」「文武両道」とあるように、著者の深代氏は運動ができることと勉強ができることは深く関連しているという。そのうえで著者は、運動を基本動作から鍛えようと提唱する。走り方、跳び方、投げ方などについて、スポーツバイオメカニクスなどの研究から得られた知識を話題として織り交ぜながら解説している。
そして、スポーツ万能になるために大切な「動きの素」は、体幹によるとして、反動動作、反射、捻り、ムチ動作をどのように感じ、利用するかについても解説している。
イラストを用いた「運脳神経」を鍛えるための身体を楽しく動かすワークや、身体のことをより深く知るための問題も掲載されている。簡単な言葉を用いているものの、実際には専門的な内容が多いと感じる。しかし、理解できないというのではなく、わかりやすく伝えるための工夫が感じられる。
深代千之著、A5判、180頁、2009年5月25日刊、1,575円
ラウンドフラット(03-3356-5726)
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