アメリカスポーツ医学会(ACSM)ガイドラインの第5版。1975年に第1版が発刊されて以来、臨床医学者と体育科学者の専門職の両者にとって有益な情報が提供されてきた。
従来より「運動負荷試験」と「運動処方」に焦点をしぼり、体育科学側に重きを置いた内容となっている。専門家達による調査、レポート、出版物から引用されたデータも今まで以上に記載されており、運動の指導的立場にある方々にとって現場で活かせる一冊となっている。また、わが国が力を入れている高齢期のQOL改善にも本書に含まれた運動処方などがますます重視されるようになっている。そして著者たちの願いは机上で使うことより、現場・実地のポケットブックとして用いられることであり、大きさ、内容ともコンパクトにされている。
現在では情報が氾濫し、ネットや書物などで情報が容易に入手できる。だからこそ大切なことはその情報を自分の中で整理し、アウトプットできるかどうかだと思う。とくに現場で働く人間にとって「知ってる」より「できる」ことの方が大きな意味を持つ。本書は現場で日々試行錯誤している指導者たちにとって、現場に持っていきたい一冊となっている。
(磯谷貴之)
アメリカスポーツ医学会 編、日本体力医学会体力科学編集委員会 監訳
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