これから何か運動をしていこうと考えている人に対し、自転車の魅力を歴史から始まり、運動生理学、栄養学、力学などを通じて紹介している。各項目とも必要なことだけをポイントを押さえて解説しており、力学についてはとくに縁のない人でもわかりやすいように図をうまく利用して解説されている。
どのようにトレーニングをしていけば体力が向上するかというトレーニング理論はあまり紹介されていないが、1つ面白いトレーニングが紹介されている。それは力を音に変換し、フィードバックを行う方法で、非常に独創的な発想だ。トレーニング中に音程や音量が変化すればトレーニングをしている本人は嫌でも気がつく。数値といった視覚ではなく、聴覚で認識させることにより、効果的にペダリングの質の改善をすることが可能になる。
本書はあまり運動に対して知識のない人でも一通り目を通すことで、「自転車とはこういうものなんだ」と普段乗っている自転車に対しても見方が変わるかもしれない。
競技だけが自転車の世界ではない。キャンプなども含めた旅の移動手段や自転車そのものに乗ることを楽しむなどさまざまな目的がある。本書を足がかりにして、自分なりの自転車との関係を築き上げてみてはいかがだろうか。
(澤野 博)
前田寛・石橋健司・岡内優明 共著
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