スポーツ現場で知っておきたい薬の話
原田 知子
本書は薬剤師でありながら全米公認アスレティックトレーナー(ATC)である原田氏が長年にわたりまとめた書籍である。『スポーツ現場で知っておきたい薬の話』というタイトルだが、一般の方も知っておきたい薬の話についてまとめている。本書では大きく3部に分けて記述されている。
第1部では、薬を使用する上で知っておくべき基本事項について紹介している。ここでは薬の正しい使い方や、薬の作用・副作用などについて細かく記述されており、誰もが知っておきたい内容である。
第2部では、状況に応じた薬の使用法について各論で紹介している。ここではスポーツ選手に関わりのある非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)から、中高齢者に関わりのある糖尿病薬まで、幅広く網羅されている。
第3部では、サプリメントやドーピングコントロールなど、その他の話題について紹介している。スポーツ現場における薬の扱い方など、すぐに活用できる内容となっている。
薬について各論で非常にわかりやすく記述されており、スポーツの有無に関係なく日常生活でも役に立つお勧めの一冊である。
(安澤 佳樹)
出版元:ブックハウス・エイチディ
(掲載日:2016-05-14)
タグ:薬
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ現場で知っておきたい薬の話
原田 知子
薬の話と聞くと、私自身も苦手意識が強まり、避けたい話題と感じてしまう。アスレティックトレーナーとして、スポーツ現場で活動しているときに非常に苦手な分野だった。今思うと、薬のメカニズムを本当には理解しようとせず、薬がもたらす身体への作用を自分の知識で説明することが難しいと感じていた、単純な苦手意識だったと稚拙に感じる。
本書、第1章にある「身体に対して何らかの効果をうたっているものはすべて医薬品とみなされ、薬事法の規制を受けることになる。」ということがさらにその気持ちを助長させていたのではないかとも感じたが、読み進めるとそうではなかったことに気づかされる。身体に何らかの作用を謳うことはスポーツの業界でも散見するが、必ずしも法の規制を受けているわけではない。医薬品も同様であることを丁寧に説明してくれている。
本書は薬の効果効能だけでなく、その薬を使用したときの身体反応や細胞レベルでの反応、いろいろな形で起こる相互作用まで解説してくれている。直接、薬とは関係のなさそうないわゆるトクホ(特定保健用食品)の話やジェネリック医薬品、食品の話など、アスリートに関係すると思われる様々な視点で解説してくれている。
また、コロナで話題になった、薬やワクチンができるまでの話など、通常聞けない専門書に書かれているような話を分かりやすく解説してくれている。さらに、薬の管理やドーピング、海外への持ち出し、特に他国への持ち込みなど、スポーツに携わるスタッフの非常に大きな問題を大変分かりやすく解説してくれている。
スポーツ現場で運動指導に当たる関係者の中でも、アスレティックトレーナーは医療関係者とアスリートの間でコンディショニング調整を行う必要がり、薬の話は知るべき内容であることは疑う余地はない。周知の事実として、ドーピングコントロールという概念が求められるため、アスリートが薬を服用する場合は、アスリートやアスリートを支えるスタッフは、一般的な効果効能以上に気を付けて服用しなくてはいけないということをさらに強く感じることができた。
それ以外にも最後に書いてくださった選手教育に関しての話は、指導者やアスリートに一番近い在存の親子さんたちにとっても大切なことであり、一番基本的なコンディショニング把握の一歩目になることが、本書を通して実感することができる。本書は薬のことについて質問を受ける可能性のある人にとっては、必携の一冊といっても過言ではないと痛感する。
(河田 絹一郎)
出版元:ブックハウス・エイチディ
(掲載日:2021-07-26)
タグ:薬学 ドーピング
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ現場で知っておきたい薬の話
原田 知子
アスレティックトレーナーに向けて薬について知っておきたい知識が満遍なく書かれている一冊です。
・薬の基礎知識
・症状別に薬剤について作用やメカニズム、注意事項について
・サプリメントやドーピングについてなど
のように、薬をテーマに様々な角度から解説してあります。
とくに症状別のところでは、それぞれの疾患について身体の構造から疾患発症の仕組みなどから詳しく書かれているため、薬がどのように作用しているのかが分かりやすい内容になっています。
内科疾患についてあまり学んでいない方々にとっては、テーマは薬ですが、この一冊で様々な疾患について発症から治療までの流れをつかむことができるので、その都度調べてみるのも面白いと思います。
薬を服用している人はどこにでもいるので、スポーツに関わる方だけでなく、一般の方やスポーツ以外の医療に関わっている方も読みやすく書かれており、いつでも手に取れるようにそばに置いておくと便利です。
個人的には、薬の詳しい知識を得るためと疾患についての復習に使える一冊です。
(山口 玲奈)
出版元:ブックハウス・エイチディ
(掲載日:2022-02-10)
タグ:薬学 ドーピング
カテゴリ スポーツ医科学
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