誰でもわかる動作分析 私もこれで理解できました
小島 正義
この本の著者である小島氏の職業は作業療法士。小島氏は「まえがき」で、地球上の生物は、「ある法則」に基づいて動いており、生物の動きはその「ある法則」で説明できると言う。ただ、物理学や運動学、人間工学の用語を用いると、とたんに難解になる。
そこで簡単に「よりわかりやすく」理解できるようにまとめられたのがこの本である。たしかに読み進めていくと、頁を専門用語が埋めることもなく、実にわかりやすく、イラストを豊富に使い、身近な事柄を例にあげて説明されている。たとえば、ハンマー投げと砲丸投げの動作からわかった「反対の法則」など、思わず、「なるほど」とうなずいてしまう。
序章と最終章を含め、全11章でまとめられ、各章の最後には、まとめが記されている。さらに「実習」の頁があり、読むだけでなく、実際にその法則や動作を体感することもできる。スポーツの動作解析というよりも、小島氏が作業療法士という立場から、人間の動作という点に重点を置いているため、介護やリハビリ、高齢者の動きといった面から説明されている。
動作分析を読み解く「法則」を理解すると、日常の動きだけでなく、もちろんスポーツ動作も理解できる。スポーツの指導にも活かせる。「動作分析は、むずかしそうで……」という方。「私もこれで理解できました!」
2008年9月10日刊
(田口 久美子)
出版元:南江堂
(掲載日:2012-10-13)
タグ:動作分析
カテゴリ スポーツ医科学
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誰でもわかる動作分析
小島 正義
難しいことをやさしく教えるには、相当な知識が必要である。人にものを教えたことがある人ならわかるはずである。
私は理系の人間ではない。したがって、「物理学」「運動学」「人間工学」などは苦手中の苦手である。しかしである、ほんとうに驚くべきほどスムーズにこの本は読み進むことができたのである。
「生物の動きは『ある法則』で説明できる」という。「ある法則」とは「重力」のことだ。「重力」と言っても難しく考える必要はなく、その力はいつも同じ方向に向かっているということ。つまり、重力の方向は必ず下向き(地面方向)であるということを覚えておけばよい。そこさえ頭にいれておけば、あとは「フーン、なるほど」「ああ、そういうことだったのか」のかの連発。そして、「動くことっていろいろと理にかなってるんだなぁ」という著者の思いと同じものを感じるのである。
著者は作業療法士であるので介護に携わる者はもちろん、スポーツに携わるコーチ、選手、トレーナー、トレーニングコーチ、はたまた力仕事に関わる人たち、とにかく「人間の動き」について興味のある方ならどなたでもお勧めしたい本である。とくに、私のように理系はどうも苦手という方にはありがたい。
(森下 茂)
出版元:南江堂
(掲載日:2012-10-16)
タグ:動作分析
カテゴリ 身体
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誰でもわかる動作分析II
小島 正義
動作分析というと、画像を撮り比較分析する手法が多く、設備や機材がないと難しいイメージがある。実際の動作分析で最も大切なことは、「動作をみる」ということだ。動作を見るポイントは、なかなかわかりづらく職人的な気がする。この本はそういった考えを払拭する「動作を見るポイント」が誰でも理解できるように書いてある。
著者である小島氏は作業療法士で、千葉・柏リハビリテーション学院の先生であり、ホームヘルパーの養成課程の講師でもある。前著『誰でもわかる動作分析 ―私もこれで理解できました―』の著者でもある。その続編としてこの本が刊行された。
氏が学生を指導する中で伝えにくい「クラインフォーゲルバッハの概念」をわかりやすく説明するために考えだした「やじろべえの法則」「反対の法則」などさまざまな法則が書かれている。これらの法則を理解すると、動きの本質を理解することができ、調整力、バランス、スタビライゼーションなどをより深く理解することができる。また、介護技術にも利用することができる。
前半部分で、知っておくとよい身体の構造、解剖学用語の説明、動きの法則が書いてある。動作分析をする前の座学といったところである。後半部分で、椅子からの立ちあがり動作を例に、チェック表を用いての記入方法や動作の見方など、動作分析の手法が書かれている。前半の座学に対して、後半は実技に相当する内容が書かれている。本書を読み終えると、動作分析ができるようになっている。
スポーツのスキル指導は、言いかえれば動作指導である。スポーツ障害の予防・治療も動作指導が多く含まれるようになってきた。さまざまな分野で動作についてのより深い理解が必要とされる。今までに、一見して動きの良し悪しを見抜き、適切なアドバイスを送る一流のコーチや指導者、医療関係者に会ったことがある人も多いだろう。そんな人たちに見えている世界がここに書かれている。病院の現場のみならず、動作に関わるスポーツの世界や介護技術に関わる人など、幅広く読んでもらいたい本である。
(服部 哲也)
出版元:南江堂
(掲載日:2012-11-15)
タグ:動作分析
カテゴリ スポーツ医科学
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