テクニックはあるが、「サッカー」が下手な日本人
村松 尚登
日本のサッカーが上手になるためのヒントを求めてスペインへ単身乗り込んだ著者。テクニックはあるが、サッカーは下手な日本人という評価に対して、どのようにして活路を見出したのだろうか。本書は、スペインでの生活を織り交ぜながら書き上げた、コーチという立場からの問題提起である。
「戦術的ピリオダイゼーション」を理論的根拠とし、サッカー選手をサッカーの中で鍛えていくことがの必要性を実感に基づいて訴えている。サッカーのゲームをどのように分析するかという点において複雑系の枠組みを取り入れて考えているのが特徴。「バタフライ効果」(チョウの羽ばたきが別の場所で嵐を引き起こすように、予測不可能な効果を発揮することのたとえ)を期待し、締めくくっている。コーチング領域において意義ある提案である。
(当初は講談社ランダムハウスより刊行、現在は武田ランダムハウスジャパン)
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:武田ランダムハウスジャパン
(掲載日:2009-12-10)
タグ:サッカー
カテゴリ 指導
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テクニックはあるが、「サッカー」が下手な日本人
村松 尚登
本書のタイトルは多くの理論に縛られがちな日本スポーツ界の急所を的確に抉っている。スポーツに限らず技術や理論の追求は日本のお家芸とも言える。そして革新的なモノを生み出しているにもかかわらず、それを使いこなせずに、逆に使われてしまうことも。
著者の松村は日本の大学卒業後、プロを経ずに単身スペインに渡って経験を積んで現在は名門FCバルセロナでスクールコーチとして未来のスターを育てている。いや、本書の表現を借りるなら「選手が自ら育つ環境を整える」作業をしている。“カンテラ”と呼ばれる育成下部組織の充実があればこそ、バルサのトップチームはカンテラあがりの選手が軸にいることで、国外のスター選手を集めても(時に失敗はあるものの)バルサらしさは受け継がれている。
その方法は緻密な計算による計画(ピリオダイゼーション)によるものであるが、その中心にあるのは計算でも計画でもなく“サッカー”なのである。もちろん400億円にも及ぶクラブ全体の年間予算があればこそできるものもあり、そのまま日本サッカーやスポーツに当てはめることはできない。なればこそ、本書の中から各自のジャンルに応用できる部分を見つけ、最適と思われる方法を創造できるかが読者の指導力の見せどころとなるのであろう。
(当初は講談社ランダムハウスより刊行、その後武田ランダムハウスジャパン。現在は、同名の書籍が河出書房新社より刊行されている)
(渡邉 秀幹)
出版元:武田ランダムハウスジャパン
(掲載日:2012-10-16)
タグ:サッカー
カテゴリ 指導
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