早稲田大学競走部のおいしい寮めし
福本 健一 礒 繁雄
人が生きていく上で、“食”は欠かせない要素である。近年サプリメントが多用されている中、出来れば毎日の食事から必要な栄養素を補いたいものである。しかも、その食事がおいしければ言うことはない。
これは誰にでも言えることだが、とくにアスリートとなるとその重要性はさらに増し、毎日の食事はトレーニングと同じくらい、いやそれ以上に大切な身体づくりの基盤となってくる。食事1つで競技成績が左右されるといっても過言ではない。しかし、摂取カロリーや競技特性そしてとくに試合前など、アスリートの食事はとにかく気を使う点が多い。そこに“味”までこだわるなんて、そんなことが可能なのだろうか…?
この本に紹介されている料理は、ただの“栄養満点メニュー”ではない。実際に、食べ盛り・伸び盛りの早稲田大学競走部の男子学生たちがその味・ボリュームともに満足し、しっかりと競技成績にもつなげている、まさに栄養と味と実績が三位一体となった“アスリート育成メニュー”なのだ。また、この本に載っているメニューたちは、親元を離れ競技に打ち込んでいる学生たちの心のよりどころにもなっている。そんな温かく、“誰か”のためにつくられているメニューをみていると、「食は楽しむものである」という“食”の根源が思い起こされる。
(藤井 歩)
出版元:主婦の友社
(掲載日:2012-10-16)
タグ:食 献立 寮
カテゴリ 食
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早稲田大学競走部のおいしい寮めし
福本 健一 礒 繁雄
You are what you eat(あなたは、あなたが食べるものでできている)。
この本の中の言葉だが、まさにその通りである。速く走り、高く飛び、遠くへ投げるためには、それに見合った身体が必要であるのは当然のことであるが、その人の活動量に必要なエネルギーの供給、それだけではなく快適な身体を維持し、疲労を残さない、そして何よりも心に栄養を与える、それが食の役割である。
早稲田大学競走部の寮監として食事の面で選手をサポートしている管理栄養士の福本健一さんは、アスリートと一般の方の食事は基本的には同じで、プラスアルファとしてエネルギー代謝や体調管理、ストレスや貧血対策などの選手が抱える身体の問題を意識して、食べる量やタイミング、質などを選手の状態に合わせて変えていくことが必要といい、強い心と身体をつくるごはんを目指している。
本書には栄養素と食品、必要なエネルギー量や栄養バランスだけではなく、実際に寮で選手が食べているメニューがたくさん紹介されている。見ていると本当に美味しそうだ。選手が「とにかく美味しい」「ご飯の時間が好き」と言っていることでもわかるように、競技のために「食べなくてはいけない」のではなく、自然に「食べたい!」と思う寮めしを理想にしている、と福本さんは言う。身体は資本。ぜひ参考にしてもらいたい本である。
(大槻 清馨)
出版元:主婦の友社
(掲載日:2012-10-16)
タグ:食事 献立 寮
カテゴリ 食
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体育会力
礒 繁雄
本書のタイトル・表紙や帯からは一般的な体育会で培われる能力に関するビジネス書のように思われるかもしれないが、早稲田大学競走部の礒監督による組織論である。著者が早稲田大学競走部の指導にあたってからの組織づくり、さらには今後変化していくであろう体育会の形について、惜しみなく書かれている。
冒頭で、「『体育会』は有機体に富んで、その中に生きる者たちによって常に少しずつ構成を変えていく有機体である」と述べているように、個々の選手の指導だけでなく、日本一の組織づくりに重きを置き、「個人」が育つ「組織」をつくるためのさまざまな取り組みが紹介されている。一般的な体育会のイメージである礼儀や上下関係などを徹底した上での著者の考えやプランニングが述べられており、心理学やバイオメカニクス的手法を用いた指導なども非常に面白い。途中、教え子であるディーン元気選手、ディーン選手の高校時代の恩師である大久保良正氏との対談や、高校時代の顧問である松本芳久氏の対談が盛り込まれており、著者の持論に至った経緯などが赤裸々に書かれている。
組織を強くするために体育会のノウハウが用いられることは多いが、個を強くする体育会のノウハウが書かれた本というのは非常に珍しいのではないだろうか。また上記のように本書は著者のオリジナルな考えがふんだんに盛り込まれており、読者が持論を構築していく上での大きな支えになるような一冊でもある。
(山下 大地)
出版元:主婦の友
(掲載日:2014-11-01)
タグ:陸上競技 組織
カテゴリ 指導
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体育会力 自立した「個」を育てる
礒 繁雄
2種類の「好み」
“ポジティブな好みとネガティブな好みが人にはある”。こんな意味のことを言ったひとがいる。ポジティブな好みとは、“こういうものが好き”という能動的なもので、“今日はカレーが食べたいね”“うん!イイね!”という明るい感じ。対するネガティブのそれは“○○ではないもの”“嫌いなものを取り除いたもの”が好きといった否定的で受動的な志向から好みが形成されるタイプで、“何が食べたい?”と尋ねられたら“美味しいもの”などと抽象的な答え方をして相手を困惑させるイヤミなやつだ。困ったことに私はこちらの人間だった。
ところが、そういうのに限ってプライドだけは高いから人付き合いは大変だ。自分を肯定するために、まずは相手を否定する。だから、ひとの短所を探し出しては、アイツのここが嫌いあそこがダメと否定して自分を正当化しようとするのである。自分より才能があって能力の高い人を否定するほど快感を覚えるから、日本中の、世界中のスゴいやつら全てをドンドン、トコトン、完膚なきまでに否定していったら…アレッ?…誰も?…私も?…いなく?…なっちゃったぞ!
気づき
イヤなやつを抹消すれば有能な自分が残ると思って頑張ったのに、やっとの思いでみんな消したら私という存在も認識できなくなってしまった。世界中の人が皆消えてゼロになっちゃった。相手との対比の中でしか肯定できない自分は、否定すべき相手がなくなることで肯定したい自分すら否定してしまったのである。でも待てよ。ならば、逆に相手を肯定することから始めたらどうなる? 相手の良いところを見つけ、受け入れ、素直になって…おお!…いいぞ!…何だか私も肯定されているようだ。ゼロ(無)は裏返すと無限大とイコールだったのだ!ここにおいて、ネガティブを否定することがポジティブに成り得ることに初めて積極的に気がついた。つまり“悟り”だ。どこか違っているかもしれないが、つまりは、そういうことだ。
やれやれ。我ながら面倒くさい性質だが、そう気づいてからは色々な意味で生きるのが楽になった。油断すると今でも“ネガティブ魂”がアバレそうになるけどね。
ちゃんとしたスポーツ選手には“ポジティブ魂”優勢なひとが多いような気がする。物事をいちいちネガティブからポジティブに捉え直している暇などない。始めからポジティブに取り組んだ方が良いに決まっているからだ。当たり前か。
新しい体育会魂
さて「体育会力」。早稲田大学の競走部(=陸上部)監督、礒繁雄の手に成るものだ。礒は、「三大大学駅伝制覇」「関東インカレ」および「日本インカレ」総合優勝「つまり、学生陸上競技の主要大会の完全制覇」へと競走部を率いた名伯楽である。
平成生まれの「やさしい」気質をもった学生たちと、ポジティブな姿勢の礒が向き合い「学生スポーツの中から、世界で戦える個人が育つ」組織がつくる、新しい(あるいは、真の)体育会魂について語ったものだ。
礒は話術の名人だ。監督として「理論プラス経験タイプ」の冷静な分析眼と客観視でもって組み立てた緻密な論理を、湧き出る自信とともに“これでいいのだ”と言い切ってしまう。すると不思議なことに読み手は“ああ、ナットク!”と胸の内で手をたたいたりさせられているのである。損得や、誰かとの比較ではない“情熱”がベースとなった、自分の理想、自分の考えを、ただただ真摯に述べているからだと思う。
たとえば、「僕の役割は、学生たちがアスリートとして一番華々しく、一番輝いている時にスポーツをやめさせ社会へと送り出すことだと、はっきりと言うことができます」。また、「進学のために将来のためにスポーツをする、つまり日本社会の安定志向に学生を巻き込む危険をはらむ」現行の入試制度についての言及、あるいは「これからは『導かないで導く』ことを追求しようと考えて」いるのだという。“えっ?”という展開にも流石な解答が隠されている。太刀打ちできずとも、見習ってみたいものだと思った。
(板井 美浩)
出版元:主婦の友社
(掲載日:2014-02-10)
タグ:体育会 陸上競技
カテゴリ 指導
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早稲田大学競走部のおいしい寮めし
福本 健一 礒 繁雄
「くじけない心と身体をつくる」「食べて走れ」と表紙に文字が並んでいるように、早稲田大学競走部の寮で出されている食事「寮めし」を、レシピを中心に、600kcalを目安とした盛り付け例とともに紹介している。選手や指導者からのコメントが楽しい。基本となるのは「栄養バランスのよい和食」であり、これに果物と牛乳がつく。一般向けにももちろん応用可能だが、60人分の食材の分量や調理のコツも掲載されている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:主婦の友社
(掲載日:2011-11-10)
タグ:食 献立 寮
カテゴリ 食
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