What is Coaching? 今、コーチに求められるもの
立花 龍司
初版は平成10年。10年以上前の書籍である。しかしこの本の内容は決して色あせることなく、今も貴重な現場の声として価値があるものである。数ある著書の中で、おそらく唯一の具体的なトレーニングを中心としていない本であるが、最も内容の濃い作品ではないかと思っている。
評者もまだ学生だった頃、この本に大いに勇気づけられた。そして渡米を決意し、憧れであったプロスポーツの世界へ足を踏み入れることができた。尊敬する立花氏ご本人と一緒に仕事に就けたことは私にとって一生の財産となるだろう。
今、改めてこの本に目を通すと、当時の立花氏の視点が非常に的を射ているのを痛切に感じる。悲しいかな、プロ野球のコーチに関する問題点はこの十年でさほど改善されていないのではないか。愛する野球がこれからも日本を代表する球技であり続けるためにも、次の十年を迎えたときには、この状況が改善されている事を強く願う。決して過保護にすることではなく、一人一人の人格を尊重した、選手主体の成熟した現場が構築されていってほしいものである。
スポーツ界の未来を今後担っていく、次世代のコーチや指導者に、今もなお自信を持って薦められるのが、この本である。野球界の未来へのポジティブな情熱――そんな思いを喚起してくれる。
(弘田 雄士)
出版元:日刊スポーツ出版社
(掲載日:2012-10-13)
タグ:コーチング
カテゴリ 指導
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個性を引き出すスポーツトレーニング
立花 龍司
先日、小学校低学年くらいの子どもが泣きながら野球の練習をしていました。
「なんでできひんねん!!」「あほか!!」
子どもの動きはぎこちなく、びくびくしながらボールを追い、バットを振っていました。すべてを見たわけではないので、この指導方法がすべて悪いとは思いませんが、野球が好きで、野球に長く関わっている私にとってはびくびくしながら野球をしている姿がさみしく感じました。
「野球が楽しい」「もっとうまくなりたい!!」「もっとうまくなるためにはどうしたらいいやろ?」
子どもの気持ちをサポートするのは、私たち指導者、保護者の役目ではないでしょうか。本書は筆者自身の野球経験、日米の違い、子を持つ親として感じたことを書かれています。「悪いプレーを減らす」練習ではなく、「よいプレーを増やす」ための練習、トレーニングをする。発想の転換が、選手や子どもたちに対する見方やアプローチを変えてくれるのではないでしょうか。
(大洞 裕和)
出版元:岩波書店
(掲載日:2013-12-06)
タグ:トレーニング ジュニア 野球
カテゴリ 指導
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運動の「できる子」にする! 12歳までに取り組みたい89のトレ-ニング
立花 龍司
89という数は「ヤキュウ」をイメージしている。野球少年だった著者は高校2年時に故障という苦い経験を味わったことから、大きな可能性を秘めるゴールデンエイジの子どもたちが同じ思いをしなくて済むようなトレーニングをまとめた。
メインとなるのはパワー伝達時に重要な役割を果たす股関節、体幹、肩甲骨、そして肩のインターマッスル、指力&握力、母指球の6部位。これらをしっかり焦らず強化しておけば、野球だけでなくさまざまなスポーツを習得していけるだろう。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:東邦出版
(掲載日:2013-05-10)
タグ:野球
カテゴリ トレーニング
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運動の「できる子」にする! 12歳までに取り組みたい89のトレーニング
立花 龍司
この本は、運動をする上で重要視されている、股関節、体幹、肩甲骨周囲(肩甲上腕関節を含む)などのトレーニング種目が主に紹介されている。その他に、著者の専門分野である野球の肘障害予防に重点を置いた運動メニューや、バランス力アップの種目など内容は多岐にわたっている。
紹介されている種目は、現在活躍中のスポーツ選手も行っている内容が数多く紹介されていて、ジュニアが行うには難度が高いと思われるものもある。
種目や年齢に関係なく、スポーツ指導を経験した人や自ら運動をしている人たちが、指導上、あるいは活動していて課題を感じたことがある内容をすべて克服できる様に種目を網羅しようという熱い気持ちが伝わってくる著書である。
「12歳までに取り組みたいトレーニング」という副題と内容から推察すると、日頃、著者が指導上困っている内容を読み取れる。その一つに、キャリアがある選手も、著書に紹介されている内容を十分にこなすことができないという指導局面が想像される。
そのような問題を克服するためには、早い年代でこれらの動きを習得することで著書の考える次の段階のトレーニングに進むことができ、スポーツ選手のレベルアップにつながると考えているのだろう。本書を通じて、一貫指導を目指してるのだろう。
ただし、紹介されている種目は各関節を中心にした単関節運動に近いものがほとんどで、動きの全体的統合といった視点では疑問が残る。あくまで、ある部位の力発揮と可動性を求めているだけとも言える。よい運動選手になるためには、身体運動全体の統合や本書には掲載されていないパフォーマンス前提条件も必要であるといったことも紹介すると親切な内容になり、ジュニア育成の考え方を広めることができるのではないかと考える。
そうはいっても、各部位の種目例が豊富にまとまっている著書は、なかなか見つけることは困難なので、一冊手元にあるとプログラム作成のよい資料になるといえるだろう。
(服部 哲也)
出版元:東邦出版
(掲載日:2016-07-02)
タグ:野球 指導
カテゴリ トレーニング
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