信頼する力 ジャパン躍進の真実と課題
遠藤 保仁
南アフリカW杯からザックJAPANへ移り行くまでの、サッカー日本代表チーム、遠藤保仁選手の状況が記されている。どんな監督が信頼できるのか、個人がどう行動すればチームがまとまるのか、どうすれば日本のサッカーが進化するのかといったことがテーマとなっている。
多くのサッカー評論家が語る話だが、現在も日本代表の中心として試合で活躍する遠藤選手が書いたとなるとリアリティが増す。そう感じるのがサッカーファンとして本書を読んだ私の感想だ。今後の日本サッカー界を選手として、また引退後でも、どう引っ張っていくのか期待が膨らむ。
一方、トレーナーという立場から読んだ私は、本書から選手の気持ちを学ばせていただくことができた。どれについても選手の本音が書かれているのが見どころだ。試合に挑むメンタルマネジメント。真実と報道のギャップ、それに躍らされるサポーター。高地トレーニング。ウォーミングアップ。向上心を持つ選手の考え方。スポーツに携わる者として気になるキーワードが満載で、それを選手の主観的な感想で聞くことができるのは貴重である。トレーナーとしてチームの一員となったときをイメージしながら読むことができた。もちろん、他の競技に通ずるものがあるということは言うまでもない。
サッカーファンのみならず、競技者含め、スポーツに関わる者にはぜひ手にとっていただきたい一冊である。
(橋本 紘希)
出版元:角川書店
(掲載日:2013-05-14)
タグ:サッカー
カテゴリ その他
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観察眼
遠藤 保仁 今野 泰幸
スポーツに携わる人にとっては身につけたいであろう「観察眼」。言葉そのものは本書終盤まで登場しないが、示唆に富み引き込まれる内容だ。
第一部は、センターバックとして評価の高い今野泰幸のサッカー半生。自分の武器に気付くことも、サッカーを知ることも「人より遅かった」と言うが、自身や所属チーム、日本代表にも及ぶ分析は鋭い。第二部では今野と遠藤保仁との対談を挟み、2011年のアジアカップでの一戦を振り返る中で、ようやく遠藤が「観察眼」について触れる。それをふまえて、第三部で遠藤が何を考えてプレーし、プレーを通して何を感じているかが書かれている。
遠藤は「観察眼」を、「試合を読む力」と言い換えた。そこから第一部を見返すと、今野が「試合の流れを読むために重要な要素は嗅覚」と言っている部分がある。この感覚は、試合経験を積むことで培われていくという。現在の日本代表を支える2人のサッカー観が凝縮された一冊となっている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:角川書店
(掲載日:2012-04-10)
タグ:サッカー
カテゴリ 人生
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