最新スポーツ医科学ハンドブック
坂本 静男
英語のタイトルは“Benefits and Hazards of Exercise”。
この訳が副題(スポーツの効果とリスク)に該当する。
「スポーツ医科学ハンドブック」と解するより、副題のままだと思ったほうがよい。
内容もほとんどが内科的な問題を扱っている。
例えば、キーワードで拾うと、健康増進、身体活動、プライマリケア、突然死、高齢女性、高血圧、糖尿病、オーバートレーニング、ウイルス疾患など。
監訳者の坂本氏は本誌の連載も執筆中で、その第1回(2月号)で本書の内容について触れ、「スポーツ施設での運動より、むしろ家の周辺で自由にできる運動を勧めたほうが継続性が高い」という叙述を挙げている。
このように、本書は「効果とリスク」のみならず、身体活動について心理学的側面からもアプローチしている。
また、カコミ欄の内容が面白い。
例えば「米国および英国の公衆衛生責任者は、……“すべての成人は1週間のうちほとんど毎日(5日間)、中等度の強度の身体活動を30分間以上行うべきで ある”という、健康メッセージを奨励してきた。このメッセージにもかかわらず、英国人(70%)、および米国人(60%)の多くは非活動のままである」 (P.42)。
各章には問題と解答が用意され、理解を助けるのに役立つ。"
(月刊スポーツメディスン編集部)
出版元:ナップ
(掲載日:2001-11-24)
タグ:内科 スポーツ医学 リスク
カテゴリ スポーツ医科学
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運動分子生物学
大日方 昴 山田 茂 後藤 勝正
細胞膜やミトコンドリアの外膜を物質はどのように通過しているのか。そこに仕組みは必ずあるはずであるが、一般の生化学や生理学の書籍ではなかなかそこまで記載していない。その疑問を解決する一つの手段になりうる書籍である。遺伝子をはじめ筋細胞内外の構造変化やエネルギー代謝、シグナル伝達機構などを筋の構造や機能を細胞単位ではなく、さらに細かい分子単位を基準として記載されている。
とくに一般の生化学や生理学の書籍と異なる点は、運動前後でそれらがどのように変化しているのかが記載されており、トレーニング原理を考えるうえでは非常に役に立つ。
しかしこれらを理解するためには、まずは生化学や生理学の基本的な流れを理解していることが前提となる。
細胞を分子レベルで考えるとどうしても単一の細胞に目が向きがちになるが、筋細胞1つでは何もできない。筋細胞だけではなく、その周りの構造も筋収縮を行うためには必要なものである。
トレーニングもそうだが、全体像を意識して詳細を考えてゆかなければ、方向性を見失ってしまう。
(澤野 博)
出版元:ナップ
(掲載日:2012-02-07)
タグ:分子生物学 生化学
カテゴリ 生命科学
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スポーツ競技学
L.P.マトヴェーエフ 渡辺 謙 魚住 廣信
本書の冒頭「訳者のことば」のところで、「スポーツトレーニングにかかわる者で、『マトヴェーエフ』という名前を知らない人がいるだろうか。
もし知らないというなら、それは非常に恥ずかしいことであり、スポーツトレーニング理論を知らないといわれても仕方がない」と書かれているのをみて、私は非常に恥ずかしい思いを抱えながら本書をゆっくりと読み始めた。
本書の原著者であるマトヴェーエフ・レフ・パワロヴィッチ博士は教育学博士および名誉博士の学位を有し、現在ロシア国立体育アカデミーの教授ならびに功労教授である。過去においては国立中央体育大学の学長も勤めた経歴を持ち、ロシア、ベラルーシ、ドイツ等において名誉称号を授与されている。博士自身、学生の頃は器械体操を専門とし、日本で言うところの「特待生」コースに所属していたと言う。
博士が指導者として活動を始めたのは16・17歳からだそうで、その後ソ連の複数の選抜チームをオリンピック、その他の国際競技大会に向けて指導するようになった。そして、体操、陸上、水泳、重量挙げのソ連ナショナルチームや東独、ブルガリア、キューバ、中国などの選抜チームのコンサルタントも勤めている。
博士が著した中で、「スポーツトレーニングの基礎」(日本では「ソビエトスポーツ・トレーニングの原理」として翻訳出版されているそうである)は、日本のみならず世界中の多くの国で高い評価を得たそうで、今回の著書は博士の長年の経験から得たトレーニング理論の集大成的位置づけになっているようである。
若い指導者に読ませたい
さて肝心の内容であるが、正直言って十分本書の内容を理解するにはスポーツ指導に対してかなり高い意欲を持ち、かつ専門的知識を有していることが必須条件となるだろう。例えば、「スポーツ現象とは何か」という章では「スポーツ」というカテゴリーの範囲やそれに関連する概念規定を試みているし、現象的側面だけに議論が終始しているかと言えば「競技会と競技会システムの理論」といったより現実的な理論構築にも言及している。
さらに、異体的な「トレーニング法の組み立て方」のような実際場面に応用可能な著述も見られる。この辺の著述は、むしろ本書前半部分の現象学的議論や理論構築よりも博士にとっては若き日の指導経験を生かした“得意分野”なのではないだろうか。
本書の原文タイトルは「スポーツ原論とその応用」だそうだが、後半を読み進めていくうちにこのタイトルに納得ができる。ただ、日本においては訳者と監修者が相談の上「スポーツ競技学」に変更したそうである。
今後わが国で、“スポーツ競技学”という総合的カテコリーを網羅する学問領野が構築されるきっかけとなるであろうか。
「訳者のことば」を再び引用したい。
「『木を見て森を見ず』、このような指導者をなくしてスポーツトレーニングを総合・統合科学として認識できる指導者を育てなければならない。その意味で、わが国において一人でも多く本書の内容とその価値が理解できる指導者が増えることを願う次第である。」私も同感である。
やや枝葉末節的議論が先行気味の最近のわが国のスポーツ界において、改めて統合的にスポーツ全体を鳥徹する意味は大きい。この訳者の願いが本物になるために、私は本書を熱意ある若き指導者達に是非読ませたいと思っている。
(久米 秀作)
出版元:ナップ
(掲載日:2012-10-08)
タグ:トレーニング ロシア
カテゴリ 指導
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スポーツ外傷・障害評価ハンドブック
Chad Starkey Jeff Ryan 中里 伸也
StarkeyとRyanの両氏の執筆による“Evaluation of Orthopedic and Athletic Injuries”の手引書として出版された“Orthopedic and Athletic Injury Evaluation Handbook”を翻訳したのが本書である。携帯に便利なハンドサイズで作成されている。
400頁を超える本書では、広範囲にわたる臨床整形外科とスポーツ傷害の検査を実施するうえで必要とされる適切な知識と技術の説明に加え、評価課程にある問診、視診、触診、関節可動域テスト、靱帯の(ストレス)テスト、スペシャルテスト、神経学的テストを系統的に、かつ詳細に解説している。各節では、各部位ごとにこれらのテストの実施方法や一般的なテスト変法、テスト陽性の意味に触れているほか、頭部傷害、熱中症、心肺の状態、皮膚病も網羅しており、付録として上肢と下肢の反射テスト、筋長の評価、下肢の機能テストも紹介されている。持ち運びが容易なうえ、充実した内容の一冊である。
Chad Starkey・Jeff Ryan著、中里伸也監訳
2005年5月20日刊
(長谷川 智憲)
出版元:ナップ
(掲載日:2012-10-09)
タグ:評価 スポーツ外傷 テスト
カテゴリ スポーツ医科学
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フィーメールアスリートバイブル
鳥居 俊
女性アスリートの診療やサポートに携わってきた早稲田大学スポーツ科学学術院の鳥居先生を始め、13人の執筆陣が書いた本。
日本のスポーツにおいて、指導者は以前として男性が多く、女性の身体をきちんと理解した女性の指導者はいまだに多くはないという現状もある。この本では、女性アスリートやその指導者、女子アスリートをサポートするすべての人に読めるような内容として、外科系、内科系、婦人科系などの医学面、精神医学を含めた心理面、体力科学面、栄養学面、さらに社会的側面、ジェンダー問題と幅広い分野を網羅している。
副題は『スポーツをする女性の健康のために』。鳥居氏が前文で「増加する女性アスリートのスポーツ医科学、社会的問題をきちんとまとめておくことは重要である」と記しているように、サポートする側も女性が置かれる環境、抱える問題を認識しておく必要がある。
2005年11月25日刊
(長谷川 智憲)
出版元:ナップ
(掲載日:2012-10-10)
タグ:女性
カテゴリ スポーツ医科学
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高齢者の機能アップ運動マニュアル
Elizabeth Best-Martini Kim A.Botenhagen-DiGenova 小室 史恵
Elizabeth Best-Martini、Kim A. Botenhagen-DiGenovaが著した「Exercise For Frail Elders」の日本語版。虚弱高齢者および特別なニーズを持つ人のためのエクササイズプログラムの計画・実施方法が紹介されている。副題は『疾病・障害のある高齢者にも安全なエクササイズ』。
計画をテーマとした第1部では、参加者、エクササイズプログラム、フィットネスリーダーについて、実施をテーマとした第2部では、初めにウォームアップを、心血管系持久力のためのエアロビックエクササイズ、筋力と筋持久力を鍛えるレジスタンスエクササイズ、クールダウン、エクササイズプログラムの作成についてそれぞれ解説している。
とくに第2部は高齢者がモデルとなった写真でエクササイズが示され、詳しく書かれた安全に行うためのヒントは参考になる点も多い。
Elizabeth Best-Martini、Kim A.Botenhagen-DiGenova著、小室史恵監訳
2005年8月8月刊
(長谷川 智憲)
出版元:ナップ
(掲載日:2012-10-10)
タグ:運動指導 高齢者 トレーニング
カテゴリ スポーツ医科学
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ACL損傷予防プログラムの科学的基礎
福林 徹 蒲田 和芳
ACL(前十字靱帯)損傷は、1970年代後半、世界が競って診断と治療を研究した分野であり、スポーツ整形外科最大のトピックとして受け止められたと言ってよいだろう。
その診断と治療については、一定のレベルに達し、当初は一部の医療機関でしか実施されていなかった関節鏡手術は今や多くの医療機関で行われるものとなった。
しかし、いかにACL損傷の治療が進んでも、復帰までには半年はかかり、その間のブランクは大きい。やはり受傷しないですむのが一番なのは他の疾患と変わりない。
そこで現在は本誌でも紹介したように、その予防プログラムの研究開発が各国で盛んに行われ、わが国でもいくつかのプログラムがスタートしている。その科学的データをレビューしたのが本書である。
スポーツに通じた理学療法士が集まり、世界中の文献を渉猟し、報告し合い、それをまとめる作業の成果がこの1冊である。ACL損傷の疫学・重要度、危険因子、メカニズム、予防プログラムの4章に分けて整理されている。何かと参考になる1冊と言えよう。
2008年5月12日刊
(清家 輝文)
出版元:ナップ
(掲載日:2012-10-13)
タグ:ACL 前十字靭帯
カテゴリ スポーツ医科学
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CKCエクササイズ 傷害予防とリコンディショニングのための多関節運動の理論と応用
山本 利春 中村 千秋 渡部 賢一 小柳 好生 Ellenbecker,Todd S. Davies,George J.
アスレティック・リハビリテーションに関わる人間にとって、もはや知らない人はいないクローズドキネティックチェーン(CKC)エクササイズではあるが、実際のところ、今まで目にしてきたリハビリテーションやコンディショニングに関連する数々の書籍においてもCKCエクササイズは数ページで紹介されているのみであり、本当の意味でこのエクササイズを理解するには不十分だったと、本書を読み終えて感じる。
本書の前半はCKCエクササイズの基礎理論からバイオメカニクス、オープンキネティックチェーン(OKC)エクササイズとの比較まで、豊富な研究結果に基づいて解説されており、「CKCエクササイズとは?」ということについて根本から理解することができる。後半ではCKCエクササイズをどのようにしてリハビリテーションやコンディショニングに応用していくかについての考え方と、上肢と下肢それぞれにおける具体的なCKCエクササイズが紹介されている。
スポーツ現場でCKCエクササイズを指導するにあたって必要な理論と実技を一度に学べる上に、2003年に出版されたものではあるが新しい発見もあり、未読の方にはぜひ見ていただきたい一冊である。
(石郷岡 真巳)
出版元:ナップ
(掲載日:2012-10-14)
タグ:キネティックチェーン
カテゴリ トレーニング
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フィーメールアスリートバイブル
鳥居 俊
現在日本ではプロ、アマ問わず女性アスリートが数多く活躍している。その反面、女性だからこそ抱える問題も数多く存在していることにあまり焦点は当てられていない。また女性の身体をきちんと理解した指導者も未だ多くない。
本書は女性アスリートの健全な競技活動をサポートしたいという筆者の願いから、医学・体力科学面はもちろん、心理面・社会的側面からも焦点を当て作成されている。筆者自身が数多くの女性アスリートと現場で接してきたからこそ、もっとよい環境で女性アスリートに競技をしてほしいという想いがこもった一冊である。
男性が読んでも、これからの競技活動に活かせるような違った視点からの考え方が得られるはずである。
(磯谷 貴之)
出版元:ナップ
(掲載日:2012-10-16)
タグ:女性アスリート
カテゴリ スポーツ医科学
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ティーチングピラティス 姿勢改善を目的とした実践ガイド
ジェ-ン・パタ-ソン 新田 收 小山 貴之 中村 尚人
ピラティスにおいて姿勢をどのようにしてつくるのか、たとえば「チョコレートのかけらが落ちないように」などのユニークな口頭指導の例が紹介されている。
主にピラティスを指導する方々を対象として、その目的や方法、押さえておくべきポイントを伝えている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ナップ
(掲載日:2010-11-10)
タグ:ピラティス
カテゴリ ボディーワーク
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ティーチングピラティス 姿勢改善を目的とした実践ガイド
ジェ-ン・パタ-ソン 新田 收 小山 貴之 中村 尚人
この本は解剖から疾病、エクササイズまで写真や図などで示しながらわかりやすく解説されています。具体的なエクササイズに入る前に、そのエクササイズを選択するのに必要である姿勢評価や機能評価について、安静時の姿勢だけではなく、立ち座り、前屈などの動作時の運動順序の要点がまとめられているところも非常にわかりやすい。
1つひとつのエクササイズに関しても、開始肢位から呼吸をともなった動き方、そしてその時の注意点や指示にまで細かく説明がされています。さらにエクササイズの変法やプログレッションも加えられていて実践的でもあります。
何のためにこのエクササイズを使うのかという目的を理解し、クライアントに対してより効果的にエクササイズを提供するために、非常に勉強になる本です。解剖学、運動学、リハビリテーションの教科書であり、もちろんピラティスの教科書として、医療従事者からボディワークのインストラクターまで幅広い方におすすめできる本です。
(大槻 清馨)
出版元:ナップ
(掲載日:2012-10-16)
タグ:ピラティス
カテゴリ ボディーワーク
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高齢者の機能アップ運動マニュアル
Elizabeth Best-Martini Kim A. Botenhagen-DiGenova 小室 史恵
本書は高齢者への運動指導や身体活動に対して関わりのあるすべての方に対してのトレーニングマニュアルである。
本書は2部構成に大きく分けられており、第1部では参加者のニーズ、プログラム作成の指針、指導者に対しての心構え、などが取り上げられており、第2部では具体的なプログラムが写真つきでわかりやすく取り上げられている。
そして本書の最大の特徴は「特別なニーズを必要とする高齢者」に対しての対応、エクササイズプログラムが本当に細かく書かれていることである。
特別なニーズとは、アルツハイマー病、認知症、うつなどから、脳梗塞、COPD、糖尿病などの病気、骨粗しょう症、頭部外傷、股関節骨折といったものまで幅広い。
すでにこのようなニーズを持つ方々と関わっている方はもちろん、今後高齢者指導、介護事業などに関わろうと考えている方は本書から大きなヒントを与えてもらえると思う。 本書の中で「機能を失うことは自立を失うこと」というフレーズがある。
我々の仕事が身体の機能を改善するだけでなく、その人の人生にさえ少なからず影響をもたらすことができるということが、長年現場でやってきた筆者だからこそ感じたことであり、この言葉に非常に考えさせられた。どんな厳しい状況になっても必ずやれることはある。そしてその小さな積み重ねがクライアントが前向きで活動的な生活ができることにつながっていく。本書はそんなことを感じさせてくれる一冊である。
(磯谷 貴之)
出版元:ナップ
(掲載日:2012-10-16)
タグ:高齢者 運動処方
カテゴリ 運動実践
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スポーツ競技学
L.P.マトヴェーエフ 渡辺 謙 魚住 廣信
運動学やコーチングを学術的に学ぶ上で、避けて通れないのが旧東ドイツのクルト・マイネルとロシアのレフ・パヴァロッチ・マトヴェーエフの両巨頭である。マイネルが人文学的要素が強いのに対して、マトヴェーエフは自然科学の要素が強い。
そんなマトヴェーエフの集大成とも言える本書の概念はトップアスリートの現場を骨太に支えている。本書で述べられている長期計画、試合から逆算して各段階においてするべきトレーニングは4年周期のオリンピックでメダルを目指すためには欠かすことができない。
またピリオダイゼーション、ピーキング、テーパリングという考え方は場合によっては真面目な日本人には馴染みにくい考え方かもしれないが、本書を読めば納得し、オリンピックのない年であっても選手の成績の変動を温かく見守ることができるかもしれない。
また普段はそれほど追い込んで練習はせず、試合が近づくと人が変わったように練習やトレーニングを頑張るものの、勝利に結びつかない選手が読むと、いかに自分が勝てない練習をしているのかがわかるかもしれない。いわゆる“試合前”よりも前の準備として何ができていなければならないのかが記されている。
ロンドン五輪がある2012年はリオディジャネイロ五輪のスタートの年でもある。スポーツの現場を志す方はもちろん、現在スポーツの現場に関わっていない会社員でも、会社の朝礼などで長期計画の重要性を説くにはお勧めの書である。
(渡邉 秀幹)
出版元:ナップ
(掲載日:2012-10-16)
タグ:トレーニング ピリオダイゼーション テーパリング ピーキング
カテゴリ トレーニング
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現場で役立つスポーツ損傷ガイド 診断、治療、復帰まで―
鳥居 俊
本書の印象を一言で言うならば、ずばり“The・シンプル”である。
複数の著者の原書を複数の日本のスポーツ医学の専門家が項目ごとに翻訳しているが、とくに前半に関してはどの著者も非常に説明が詳しく丁寧でわかりやすい。一例が多く挙げられ、回数や時間が記載されたものもあり非常に具体的である。
また、参考文献・参考資料の紹介もところどころに載せられてあり、読者が詳細を知る上で検索するのにとても有効である。
まさに、どんな知識レベルの人でもわかるよう幅広い読者を想定して書かれた大衆的な一冊であると言える。
一方、ここは意見が分かれるところではあるが、監訳者も述べているように、本書は多くの選択肢を敢えて避け、シンプルさ・使いやすさを一番に考えて書かれている。それゆえ、どうしても“浅く広い”知識というイメージが強い。
たとえば各部の損傷の項目では、「対応・治療」と「競技復帰」の間に入ってくるアスリハに関しての情報が少ない、「確認・診断」の基準が曖昧・説明不足なものが多い(スペシャルテストなど)といったように、全体的にコンパクトにまとまりすぎて内容が薄く感じられる。読者の中には物足りなささえ感じる人もいるであろう。
しかし、その点を考慮しても、本書はスポーツ損傷への入り口として、また緊急時など早急に対応すべきときに傍らに置いておきたい一冊として申し分ないガイドブックとなっている。
(藤井 歩)
出版元:ナップ
(掲載日:2012-11-27)
タグ:ケガ
カテゴリ スポーツ医科学
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1から学ぶスポーツ生理学
中里 浩一 岡本 孝信 須永 美歌子
「1から学ぶ」と銘打たれている通り、初学者向けのテキスト。最後まで読み理解し終えたときには、最新の知見を含む十分な知識が身についているはずだ。
序章および12の章に分けて、ATP合成や骨格筋、神経、循環器系、内分泌系など生理学の基礎がバランスよくまとめられている。また、ウェイトコントロールや、環境温・加齢など内外の要因にも触れられており、生理学の知識と実際のスポーツ現場とを結びつけて考える道筋も示している。大学で教壇に立つ著者らの経験を生かした、わかりやすい内容だ。選手に自分の身体を知ってもらいたいときにも使用できそうだ。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ナップ
(掲載日:2013-03-10)
タグ:生理学
カテゴリ スポーツ医科学
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テニスパフォーマンスのための実践トレーニングガイド
Carl Petersen Nina Nittinger 別府 諸兄
この本の軸となっているもの、それは「体系化」である。本書は、各項目を実に多くの専門家たちが分担して訳している。しかし、その中で一貫して「体系的に行う」というテーマがぶれることなく掲げられているのだ。
本書の冒頭に記されているように、理想のモデルとは個々の諸要素を単独で捉えるのではなく一つ一つの歯車と考え、それらをうまくかみ合わせ連動させることにより、その歯車たちの中心にある“パフォーマンスのギア”をスムーズかつ効率よく回すことである。
何か一つ欠けても歯車はうまく回ってはくれない、何か一つだけよく回っても歯車はバランスを崩す。いろんな要素が作用し、それらが相乗効果を成し、パフォーマンスはつくられていくのだ。
トレーニング、ケア、環境、メンタル。多すぎても少なすぎてもうまくいかない。微妙なバランスを保ったときこそ最高のパフォーマンスが生まれる。そう教えてくれる一冊である。
(藤井 歩)
出版元:ナップ
(掲載日:2014-03-20)
タグ:テニス
カテゴリ トレーニング
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サルコペニアを知る・測る・学ぶ・克服する
安部 孝 真田 樹義 尾崎 隼朗
サルコペニアとは、「加齢に伴って無意識のうちに起こる筋量の減少」だという。同様に筋力・筋パワーの低下はディナペニアと呼ばれる。それらの予防と改善のために、詳しい定義やメカニズムの理解を促し、測定と対策の実践を図る。
運動習慣が定着していないことによる活動量の低下は、生活習慣病や転倒の危険性も高める。高齢化が進む社会において、トレーニング指導者が目を向けるべき領域と言えよう。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ナップ
(掲載日:2013-07-10)
タグ:サルコペニア 筋
カテゴリ スポーツ医科学
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リカバリー アスリートの疲労回復のために
SAGE ROUNTREE 山本 利春 太田 千尋 笠原 政志 Aviva L.E. Smith Ueno
リカバリーに関するさまざまな知見をまとめた、ありそうでなかった一冊だ。リカバリーの効果は定量的に測定することはできないが、だからこそ個人個人がその意義を理解し、自身の心身の状態を確認することを促す。そのために、アクティブリカバリーやマッサージなどの方法はもちろん、睡眠や栄養摂取、日常におけるストレスを解消するコツにも触れられている。
スポーツ活動において、疲労回復がいかに重要かが伝わってくる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ナップ
(掲載日:2013-08-10)
タグ:疲労 リカバリー 回復
カテゴリ スポーツ医科学
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骨盤・股関節・鼠径部のスポーツ疾患治療の科学的基礎
福林 徹 蒲田 和芳 永野 康治 山内 弘喜 吉田 昌弘 鈴川 仁人
SPTS(Sportsphysicaltherapyseminarseries)シリーズの第8巻。勉強会の内容をまとめたもので、本書では近年スポーツ疾患として注目される骨盤・股関節・鼠径部にフォーカスを当てている。
グローバルスタンダードを身につけられるよう、執筆時最新の文献をもとに知見がコンパクトに整理されている。
さらに最終章では臨床現場においてどのような評価・治療が行われているかも紹介され、判断の助けとなる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ナップ
(掲載日:2014-02-10)
タグ:骨盤 股関節 鼠径部
カテゴリ スポーツ医科学
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ムーブメント ファンクショナルムーブメントシステム:動作のスクリーニング、アセスメント、修正ストラテジー
Gray Cook 中丸 宏二 小山 貴之 相澤 純也 新田 收
Gray Cookの提唱するファンクショナルムーブメントスクリーン(FMS:痛みのない人対象)およびセレクティブ・ファンクショナルムーブメントアセスメント(SFMA:痛みのある人対象)。スポーツ現場ではよく聞かれるが、医療の現場でも積極的に取り入れられ、より多くの人のパフォーマンス向上・傷害予防につながることを願って本書がまとめられた。
根拠となる理論に始まり、詳しいテスト手法が写真とともに網羅されている。さらに得られた動作を分析し、どのように修正につなげていくべきかも示されている。付録としてスコアシートなどもついており、実践につなげやすい構成だ。もちろんすでに取り入れているトレーニング指導者にとっても、テスト手法の再確認などに活用できるだろう。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ナップ
(掲載日:2014-04-10)
タグ:ファンクショナルムーブメント
カテゴリ スポーツ医科学
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新 スポーツ外傷・障害とリハビリテーション
魚住 廣信
ベースは1987年に始まった雑誌連載。改訂を重ね、障害予防とリハビリテーションの入門書となるよう構成されている。
冒頭に身体のつくりやRICEを始めとする基本処置、リハビリテーションの流れなどがわかりやすくまとめられている。続いて、足部や肩など身体を12カ所に分け、各部位の構造、起こりやすい外傷・障害、リハビリテーション方法を紹介。ケガが起こった後の対応だけでなく、予防のため暑熱環境時の対応などにも触れ、さらにリハビリの解説にはイラストが添えられケガの悪化や再受傷を防ぐ意図が見える。
現場で起こりうる主な外傷・障害について網羅されており、これから勉強を始める人や復習の際に最適な一冊だ。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ナップ
(掲載日:2014-07-10)
タグ:リハビリテーション ケガ 外傷 障害
カテゴリ スポーツ医科学
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コメディカルのためのピラティスアプローチ
中村 尚人
理学療法士の著者は、病院などで勤務していたときにピラティスと出会った。ピラティスの持つ、発症後の「治療」ではなく「予防」に通ずるコンセプトに共感し、臨床に取り入れてきた。その経験も踏まえて、定義からエクササイズ、症例までをまとめた。
あえて経験則も交えたのは、臨床現場で実践してほしいからこそ。患者に留まらず人々の健康のためにコメディカルはどんなアプローチができるかという示唆に溢れている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ナップ
(掲載日:2015-01-10)
タグ:ピラティス
カテゴリ 指導
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骨格筋のバイオメカニクス 筋線維から運動協調性まで
Vladimir M. Zatsiorsky Boris I.Prilutsky 関屋 昇 宮川 哲夫 高橋 正明
同じ著者の「身体動作の運動学」に続いて邦訳が出版された(原書では3部作の3巻目に当たる)。基礎を理解している人向けに、筋の生体力学的機能にフォーカスして、理論と実験的事実を体系化している。1章前半にて筋の構造、腱の特性などを理解した上で、筋収縮、遠心性筋活動、緊張力の関節トルクへの変換、二関節筋や筋協調性のバイオメカニクスについて学べる構成となっている。
教育背景にかかわらず、最先端の研究論文を1人で読み解けるように、という著者の狙いのもと、さまざまな工夫がなされている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ナップ
(掲載日:2015-08-10)
タグ:バイオメカニクス 筋 腱
カテゴリ スポーツ医科学
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エンデュランストレーニングの科学 持久力向上のための理論と実践
Iñigo Mujika 長谷川 博 中村 大輔 安松 幹展 桜井 智野風 久保 啓太郎 禰屋 光 伊藤 静夫 相澤 勝治 鬼塚 純玲 田中 美吏 安藤 創一 加藤 晴康
アスリートのパフォーマンスにおいても、一般の人の日常活動においても重要な役割を果たす持久力。そのトレーニングを行うに当たって、科学的根拠にもとづいたガイドラインとなるのが本書だ。
29章からなり、生理学的要素や身体適応についての説明、オーバートレーニング症候群などのリスクとその対応、年代や、暑さ・寒さ・時差ぼけなどの環境要因に応じたトレーニング、持久力トレーニングのための栄養や心理学などを網羅。
監訳の長谷川氏も日本では情報が少ないと述べているペース戦略など、すぐに自分のトレーニングに活かせそうな具体的な記述が豊富にある。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ナップ
(掲載日:2015-09-10)
タグ:エンデュランス 持久力
カテゴリ スポーツ医科学
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プライオメトリック・トレーニング 動的筋力と爆発的パワー
Donald A. Chu Gregory D. Myer 鈴木 俊一 日暮 清
1992年発刊の『Jumping into Plyometrics』に続く位置づけの本書。まず1~3章でプライオメトリックの仕組みや作用に触れたのち、4章・5章では成長途中の若年者やACL損傷のリスクが男性より高い女性アスリートにとって安全で効果的なトレーニングプログラムが紹介されている。
また、6章ではリハビリテーション終盤における機能テストとしての用い方も提示され、プライオメトリック・トレーニングが幅広く活用できるものであるとわかる。そして7章以降では豊富なメニューとその組み合わせ方が写真・図とともに解説され、対象選手の競技レベルや状態に合わせた適切なメニュー選択の助けとなってくれる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ナップ
(掲載日:2016-06-10)
タグ:プライオメトリック トレーニング
カテゴリ トレーニング
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アスレティックケア リハビリテーションとコンディショニング
小山 貴之
スポーツ医科学の発展と、一般社会における認知度の上昇はめざましい。だが、専門知識を持つ人がいない現場もまだまだあると著者は指摘する。たとえば部活動顧問を務める教員など、現在専門外ながら指導にあたっている人、そして将来そういった状況をなくすべく取り組む学生のための入門書だ。スポーツ外傷・障害、コンディショニング、リハビリの基礎知識が網羅され、応急処置と部位別のリハビリが紹介される章は辞書のように使える。もちろんスポーツ現場で活躍する人にとっても、最新の知見を確認できるものと言える。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ナップ
(掲載日:2016-08-10)
タグ:リハビリテーション コンディショニング
カテゴリ アスレティックトレーニング
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アスレティック・ムーブメント・スキル スポーツパフォーマンスのためのトレーニング
Clive Brewer 広瀬 統一 岡本 香織 干場 拓真 福田 崇 吉田 早織 安藤 豪章 馬越 博久 飯田 聡 大西 史晃 越田 専太郎 倉持 梨恵子
「動作」という言葉をここまで詳細に、多角的・多面的に、そして俯瞰して解説したものは本書をおいてほかにないと言える。
競技動作全般、中でもムーブメント=「移動」スキルに関する解説とトレーニング方法が紹介されている。ムーブメントとは動きという意味以外に、「流れ」という意味もあるようだ。ラン、方向転換、ジャンプはスポーツのパフォーマンスを支える非常に重要な基礎能力だ。それらを向上させる手段を解剖学・運動生理学・バイオメカニクスにおける根拠を示しながら解説されている。
動作が年齢によりどのように発達するのかについても多くのページを割いて説明されている。これは指導者にとっても、その指導を受けるアスリートにとっても有益である。自分が指導しているアスリートの成長段階を知ることで、最適なトレーニングの種目や負荷量を自信をもって決断できる。
トレーニングにおける「動作」という言葉は、すでに広く普及している。ファンクショナルトレーニングやピラティスなど「動作を鍛える」トレーニングメソッドはいまや限られたトップアスリートが受けられるサービスではなく、スポーツ愛好家からスポーツ習慣はなくとも健康に関心の高い一般の方にも容易に体験できる時代となった。それゆえ、動作という言葉が一人歩きをしている感は否めない。本書を読むことで動作の解釈はより明確になり、応用力・運用力は確実に向上するだろう。私自身、動作という単語の定義が曖昧だったのだが、かなり明確になったと感じる。
さまざまなトレーニング方法を点とするなら、本書はそれらをつなぎ合わせ、より高い成果を生み出す線の役割を果たす。ややアドバンスな内容であるが、学びを続ける指導者にぜひ読んでいただきたい。
(川浪 洋平)
出版元:ナップ
(掲載日:2019-02-01)
タグ:動作 トレーニング
カテゴリ 指導
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ピーキングのためのテーパリング 狙った試合で最高のパフォーマンスを発揮するために
河森 直紀
選手をサポートするトレーナーの方であれば、試合に勝って勝利の喜びを分かち合うこともあれば、日々厳しい練習を積み重ねながらも、コンディショニングがうまくいかず、思い通りのパフォーマンスが発揮できずに試合を終える選手を、ただ歯がゆい思いでみているしかない経験をしたことがあるはずだ。本書はそんなあなたに「フィットネスー疲労理論2.0」という武器を授ける。
内容はピーキングを構成する手法の1つ、テーパリングに焦点をあてて解説している。第1章ではテーパリングの定義とピーキングとの違いを明確化し、第2章でテーパリングのメカニズムを解説。またPreparednessという概念を紹介している。Preparednessとは、パフォーマンス発揮のための筋力や持久力などの身体的ポテンシャルのことである。第3章では実際のテーパリングの介入方法を4つのシナリオを例に紹介している。
冒頭で申し上げた通り、本書の最重要項目は「フィットネスー疲労理論2.0」である。本書はこの理論を理解するための一冊と言っても過言ではない。少し紹介しよう。
古典的な超回復理論はトレーニング後の疲労という一つの要因による体力レベルの変化をみせる一元論モデルである。それに対してフィットネス−疲労理論はフィットネス(体力レベル)と疲労の二元論モデルである。これをもとに発展させたものを、「フィットネス−疲労理論2.0」として、著者の河森氏が紹介している。簡単に説明すると、複数のフィットネスと疲労が存在する多元論モデルである。たとえば最大筋力におけるフィットネスと疲労、最大酸素摂取量におけるフィットネスと疲労、などで構成される。
パフォーマンスに影響を与える要素は数多くあり、また目標とする試合で最も必要とされるパフォーマンスも、競技種目や対戦相手との相性などによって変化する。それらが可視化・数値化、比較可能なものとなり、テーパリング計画の優先度の決定が可能になる。もちろん、テーパリングを必要としないオフシーズンのトレーニング計画の立案にも応用できるだろう。
著者は河森直紀氏。アメリカとオーストラリアの大学院で博士号を取得し、シンガポールの政府機関や国立スポーツ科学センターでのトレーニング指導を歴任。理論と実践に裏付けられた本書の内容は必ずあなたの武器になるはずだ。
(川浪 洋平)
出版元:ナップ
(掲載日:2020-04-25)
タグ:テーパリング ピーキング
カテゴリ スポーツ医科学
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ハイパフォーマンスの科学 トップアスリートをめざすトレーニングガイド
David Joyce Daniel Lewindon 野坂 和則 沼澤 秀雄
メソッドの紹介や、エクササイズ種目を解説する書籍は数多くあるが、「まだトップでないアスリートを、どうやってトップに導くか」を明確に示しているものは本書をおいてほかにない。
本書は3パートに分かれ、パート1では競技能力の評価方法、年代別の特徴や指導の注意点、パート2ではジャンプやアジリティなど動作を向上させるためのトレーニングとコーチングポイント、そしてパート3では試合本番で最高のパフォーマンスを発揮するための年間計画とピーキング、リカバリーを解説している。
どのパートにおいても、指導する対象のアスリートの「年代」「競技歴」「トレーニング歴」などを考慮し、個人から集団までそれぞれの特性に合わせた最適なコーチングを学べる構成になっている。
また、ぜひ読んでいただきたいのは、多くの研究によって明らかになった「実は間違っていたトレーニング方法」についてである。これまで現場で当たり前のように行われている指導のテクニックとされているものが、実はアスリートのパフォーマンスを低下させているというのだ。一例として「トレーニング中に身体内部へ意識を向けさせる声掛け」がある。たとえば「お尻の筋肉を使って」であったり、「背筋を伸ばして」というような声掛けは、トレーニング効果を高めることはなく、機能的な動作を身につけることにもつながらないというのは衝撃的であった。
現場でトレーニング指導を行っているあなたに、今自分が正しいと信じていることを一旦立ち止まって疑ってみる、そんな貴重な機会を本書は与えてくれるだろう。
(川浪 洋平)
出版元:ナップ
(掲載日:2020-10-05)
タグ:トレーニング
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ医学の立場からみた小学校の体育 100年耐用性のある運動器を育てるために
中嶋 寛之
タイトルの通り、本書は小学校で行われている体育をスポーツ医学という専門的な切り口からどうあるべきなのかを考察した内容となっております。そしてサブタイトルが「100年耐用性のある運動器を育てるために」とありますが、これこそが本書の裏テーマと申し上げていいでしょう。小学生と100歳を超える高齢者という時間軸においてもかけ離れた世代のつながりこそが、これからの時代を生きる我々が抱えるであろう重要な問題点であり、その問題点を解決すべきもっとも重要な時期が小学生の時代であるという指摘がなされています。
そう遠くない将来、平均寿命が100歳を超えると言われていますが、長寿という喜ばしいことである反面、100歳を超えたときの運動器がどのような状態であるかという切実な不安が浮かんできます。近年サルコペニア(筋肉減少症)やロコモティブシンドローム(運動機能障害による移動機能の低下)という問題が話題になっています。これらの中心的問題は、高齢者の運動能力の低下にあります。本書は高齢者固有の問題として捉えるのではなく、小学生の体育に問題解決の糸口を求めています。
高齢者が運動習慣を身につけることにより体力低下を少しでも防ぐという解決法も重要ではありますが、人生において身体能力を高められるのは成長期であり、その時期に「運動嫌い」や「体育嫌い」をなくすような体育授業をするという提案がなされています。一つ一つ理屈を考えてみれば小学校のおける体育教育の重要性は理解できるわけですが、現実問題として児童それぞれの運動能力の個人差はあり、苦手だから運動そのものが嫌いになるのは自然なこと。もっとも身体を動かすはずの小中学生のころに嫌いになった運動を大人になってやりたくなるというのは考えづらく、そのままの流れで大人になり高齢者になり100歳を超えたとしたら、その人たちの運動能力が快適な生活を実現させるに足りうるレベルを維持できるかを考えればかなり不安になってきます。
「鉄は熱いうちに打て」と言いますが、これから大きく成長しようとする子供時代に運動の必要性を理解してもらい、運動が楽しいものだと子供が感じられる体育教育をつくり出すことこそが100歳時代に必要なことだと説きます。
高齢になり運動能力が低下したり痛みを抱える中で運動をするのには、困難が付きまといます。むしろリスクを抑える対策は早いに越したことはありません。「体を育てる」と書いて「体育」というのは50年前も今も同じです。しかしながら平均寿命が70歳代から80歳代を超え、いずれは100歳を超えようとしている日本の将来。「体育」の重要性はさらに高まりそうです。これは私たち一人一人が将来直面する可能性のある問題であることを忘れてはいけません。
(辻田 浩志)
出版元:ナップ
(掲載日:2021-09-22)
タグ:体育 ロコモティブシンドローム
カテゴリ スポーツ医科学
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身体動作の運動学
Vladimir M. Zatsiorsky 鳥居 俊
運動学の基本概念に必要な数学、物理学(力学)、解剖学を解説しながら、実際のスポーツ科学に応用できるよう編まれた本で、かなり専門的かつ具体的である。読者層は、スポーツ科学の大学院課程、リハビリテーション医学・科学、整形外科学の専門教育というだけに、基礎ができていないと読みこなせない。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ナップ
(掲載日:2000-01-10)
タグ:運動学
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ現場での脳振盪
Julian E. Bailes Joseph C. Maroon Mark R. Lovell 鳥居 俊 好本 裕平
「大きく強く速く」なった選手たちは、逆に中枢神経系の外傷にさらされる危険性を高めた。その代表格、脳振盪のガイドラインから発生と予防、病態、脳代謝の変化、さらにはショッキングとも言うべきNFLの元選手などによる座談会から構成される本である。
スポーツを観ていると、解説者が「脳振盪でしょうか?」と言うことがあるが、名前はよく知られているけれども、実際この外傷がどのようなものか知られていることは稀である。
「スポーツ中の脳振盪の管理に関するコロラド医学会のガイドライン」では、「健忘を伴わない意識混濁、意識消失なし」「意識消失」といった3つのグレードに分類する指針を出しており、神経学的な検査の要不要が決められている。
『スポーツ現場での脳振盪』では、神経学のうち「神経心理学」による評価と検査法が紹介されている。とくに米国プロスポーツの代表アメリカンフットボールからは、ピッツバーグ・スティーラーズの例を挙げている。項目は集中力、記憶力、運動巧緻性、運動速度についてで、特別にデザインされたテストの実施を紹介しながら、その重要性を説いている。ほかにもアイスホッケー選手の評価についても掲載されている。
脳振盪に限らずスポーツ中の外傷の管理について、直接処置に当たるのは医療関係者に限られているが、予防を考えると人任せではいられないのが脳振盪である。比較的わかりやすい本のため、メディカルスタッフ以外の指導者にもお勧めである。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ナップ
(掲載日:2000-06-10)
タグ:脳振盪
カテゴリ スポーツ医科学
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運動分子生物学
大日方 昂 山田 茂 後藤 勝正
近年、遺伝子技術を駆使した筋細胞の分子生物学的研究が進み、筋に対する新たな知識が加えられている。この本では、運動によってもたらされた信号を受けた筋が、どう応答し特性を変えるのかというテーマを踏まえながら、運動器官としての筋の構造と構成分子、さらには仕組みについて述べられている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ナップ
(掲載日:2000-07-10)
タグ:分子生物学
カテゴリ その他
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アクアティックリハビリテーション
Andrea Bates Norm Hanson 山本 利春 日暮 清
リハビリテーション、リラクゼーション、疲労回復などの目的ですでに多くのチームが利用している「アクアエクササイズ」。これを正しく実践していくための基本的な理論が整理されている序盤、そして中盤からはスポーツで引き起こしやすい障害に対応したアクアティックリハビリテーションの実際が紹介されている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ナップ
(掲載日:2000-09-10)
タグ:アクアティックリハビリテーション
カテゴリ スポーツ医科学
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高所 運動生理学的基礎と応用
宮村 実晴
外国では、高所に関する研究史を始め、医学的、運動生理学的見地から低酸素(高所)とヒトの適応を論じた書物は数多くあるが、日本では非常に少ないと編著者は冒頭で語っている。これに対し、様々な研究分野に協力を仰ぎ、我が国の高所トレーニングや高所科学に関する最新の情報をまとめたのがこの本。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ナップ
(掲載日:2000-12-10)
タグ:高所 運動生理学
カテゴリ スポーツ医科学
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運動の神経科学 基礎から応用まで
西野 仁雄 柳原 大
運動の発現はすべて脳からの出力によって生じるものであり、運動は脳が創り出す知性の1つである。そうした運動と脳との関係を、脳・神経科学の視点から明らかにしていく一冊。トップアスリートが見せる統合された円滑かつ精緻な動きは、どういう過程を経て習得されていくかがわかる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ナップ
(掲載日:2001-02-10)
タグ:神経
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツパフォーマンスのアセスメント 競技力評価のための測定と分析
David H. Fukuda 渡部 一郎
情報化社会においては、大量かつさまざまなデータが活用されている。スポーツ現場でも同様だ。本書ではより正確にデータを収集、分析、評価することで、効果的にパフォーマンスを上げるための手法がまとめられている。詳細な解説に加え、各アセスメントの標準データも載っていて比較できるため、データを取って終わりでなくトレーニングの計画につなげられる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ナップ
(掲載日:2021-02-10)
タグ:測定
カテゴリ スポーツ医科学
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フライングディスクをやってみよう アルティメットの基礎と応用
James Studarus 日本フライングディスク協会 師岡 文男 長澤 純一
フライングディスク種目「アルティメット」についてもっと学びたいと思っているすべてのレベルのプレーヤーのために書かれた専門書。アルティメットの基礎やプレーの展開や応用のほか、体育授業への導入の事例も紹介されている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ナップ
(掲載日:2005-08-10)
タグ:フライングディスク アルティメット
カテゴリ 運動実践
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アスレティックテーピングとリハビリテーションエクササイズ
David H. Perrin 梶谷 優 鶴池 政明
NATABOC公認アスレティックトレーナー(ATC)が、専門教育課程で学んできた原著の第2版翻訳本。初版の内容に加えカラーで詳細な人体解剖図や傷害の発生機序の説明と、関節と部位のテーピングとブレースの技術を表す約400枚の写真を掲載。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ナップ
(掲載日:2006-08-10)
タグ:テーピング リハビリテーション
カテゴリ スポーツ医科学
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ロシア体育・スポーツトレーニングの理論と方法論
L.P.マトヴェーエフ 魚住 廣信 佐藤 雄亮
ロシアにおける体育が体系的に網羅されている。また、筋力・スピード、持久力、柔軟性をどのように向上させればよいかの具体的な記述もある。最後に、体育およびその一部としてのスポーツの位置づけが語られていている。
ソ連に関する記述など、やや歴史を感じるところもある。とっつきにくさを感じるのは、書かれた年代もあるだろうが(原著は1991年に出版)、読み手がバックグラウンドとして持っている知識体系が、ここで紹介されている体系とは異なるものであるからのようだ。読み手が日頃課題と感じていることが、すでに課題とされ、解決策が文章となって提示されていることに驚きを感じる部分もあるだろう。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ナップ
(掲載日:2008-07-10)
タグ:トレーニング
カテゴリ トレーニング
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ハイパフォーマンスの科学 トップアスリートをめざすトレーニングガイド
David Joyce Daniel Lewindon 野坂 和則 沼澤 秀雄
著者・訳者ともに、日頃よりトップアスリートを指導する専門家が顔を揃えた。PART Iはアスリートとしてのベースを形成するための柔軟性やコアスタビリティといった基礎的な内容、PART IIはウォーミングアップやクールダウンを含めた競技能力の効率的な伸ばし方、そしてPART IIIはそれらをどう組み合わせるかに着目したプログラムデザインというように整理されている。トレーニングガイドという副題の通り、選手やチームの状況によって知りたい部分にアクセスし、明日からの練習に活用することができる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ナップ
(掲載日:2017-01-10)
タグ:トレーニング
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:ハイパフォーマンスの科学 トップアスリートをめざすトレーニングガイド
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スポーツ医学の立場からみた小学校の体育 100年耐用性のある運動器を育てるために
中嶋 寛之
スポーツ整形外科のドクターとしてオリンピックの日本選手団本部やチームに帯同してきた中嶋氏。21世紀以降の超高齢社会において、中高年への運動指導は行われ始めているが、小学校の体育の時間をもっと活用すべきではないかと指摘する。東京オリンピック代表選手を追跡して筋・骨の持ち越し効果があるとわかったのはもちろん、運動器の疾患に苦しむ人を多く見てきた著者だからこそ、ベースとなる子ども時代が重要だというのは説得力がある。とはいえ専門的なことをしようというのではなく、まずは身体を動かすことを楽しみ、スポーツを好きになってもらおうという視点にハッとする。運動のしなさ過ぎはよくないが、し過ぎもよくない。そのために小学校の先生への講習にも触れており、次世代への温かな眼差しが感じられる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ナップ
(掲載日:2017-10-10)
タグ:体育 ロコモティブシンドローム
カテゴリ スポーツ医科学
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