「導具」を使った健康体操 オリジナル手具体操のすすめ
春山 文子
日常生活で健康体操(運動)を楽しく継続させるために、長年の体操指導の実績を持つ著者が、健康体操を楽しく継続させるために開発した「導具=動きを導くための物」と体操の方法を紹介。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:文芸社
(掲載日:2002-11-10)
タグ:体操
カテゴリ 運動実践
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日常生活で「導具」を使った健康体操
春山 文子
昔からお手玉や独楽(こま)、竹馬など道具を使った遊びというものはたくさんあります。子どもはいろいろなものを使いながら遊びを通して自然と身体を動かしていますが、大人になると身体を動かす機会が少なくなってしまいます。ましてや昨今では、生活様式も変化し、便利な世の中になり、布団の上げ下ろしをする家庭も少なくなり、指一本でいろいろな作業ができるようになってきています。その結果、体力は低下し、物を扱う能力も低下してしまうのは当然のことだと考えられます。
本書は、手具を使うと身体の筋肉をより使う、モノの扱い方で出来映えの確認ができるなどの特性を生かして、身の回りにあるものを使った体操が紹介されています。
1つの物の使い方には、掴む、持ち上げる、投げる、跳び超える、潜る、その他にも数えきれないくらいさまざまな使い方がありますが、それを行うだけではなくて、それらの使い方を創造することも脳にとっては十分な体操になります。実技編では、ひもや新聞紙など身近にあるものを使った動きを図解しながら詳しく説明されているので、わかりやすくすぐに使える本であると思います。
(大槻 清馨)
出版元:文芸社
(掲載日:2012-10-16)
タグ:運動指導 体操
カテゴリ 運動実践
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努力は決して裏切らない
平井 伯昌 折山 淑美
シドニー、アテネ、北京と3回連続で五輪に出場し、アテネと北京ではともに2冠に輝いた水泳の北島康介選手。本書では、シドニーから北京までの12年間に渡り、北島選手とコーチの平井伯昌氏がどのような思いで頂点を目指し、どのような戦略で金メダルを勝ち取ったか、その二人三脚の軌跡を描いている。
「このコーチの言うことを聞いていれば間違いない」──そう選手に言わしめる信頼。それは、コーチの迷いのない、“勇気ある指示”から生まれるものだということがよくわかる。平井氏は鋭い観察眼で北島選手の心技体のコンディションを捉え、ライバル選手たちも徹底的に分析し、状況に応じて柔軟に戦略を変えていく。いかにして“勇気ある指示”ができるか。平井氏の取り組みから、それが明確に見えてくる。
また、五輪出場を目指す段階、メダル獲得を目指す段階、連覇を目指す段階と、それぞれのステージによって、選手への指導方法や戦略をどう変えていくか、そのプロセスも興味深い。注目すべきは第6章。ここでは、アテネで金メダルを獲得した後、どん底に陥った北島選手と平井氏が、新たな師弟関係を築き上げていく様子が描かれている。病気や初めてのケガを乗り越え、北京での連覇を目指す二人。「指導者は選手にないものを教えるのではなく、あるものを引き出す」という平井氏の指導方針が的確であるということが、非常によくわかるパートだ。長い年月を経て成長していく二人の関係が、微笑ましくも映る。
選手がまだ駆け出しのとき、大きく成長するとき、絶頂期、スランプのとき。その時々に応じてどう接するべきか、選手にどんな言葉をかけるのがベストなのか、選手を支える指導者やスタッフであれば、誰もが迷うことだろう。本書は、そのヒントになるかもしれない。
(岡田 真理)
出版元:日本文芸社
(掲載日:2012-10-16)
タグ:水泳
カテゴリ 指導
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筋力トレーニング スポーツ動作別プログラム
川島 英博
著者のプロフィールを見ると、窪田登氏に筋力トレーニング指導を受けたと記してある。わが国の筋力トレーニングにおける社会的認知度や学術レベルにおいて、尽力されてきた専門家は多くいるであろう。その中でも、草分け的存在であり、まだ、世間から誤解や偏見がある中において、この分野を開拓し、筋力トレーニングの実践指導と研究活動の両面で、社会活動してきた窪田氏である。同氏より、直接、筋力トレーニングの教えを受けた知識と、著者ご自身が指導者として歩まれたキャリアの中で培われたノウハウを元に、筋力トレーニングの基本から、各スポーツへの応用例が独自の視点から紹介されている。
本書の構成内容では、各身体の部位におけるトレーニング種目の紹介があり、その筋力トレーニング種目のフォーム、解剖図と、各トレーニング動作時のポイントが説明されている。また、スポーツ動作と筋力トレーニング種目における主要な動きとの関係も紹介されているのが特徴である。
著者ご自身の実践と理論の融合と、現場での豊富な経験が本書に込められている。基本的な筋力トレーニングの考え方から、応用、そして、スポーツパフォーマンスに結びつけていく考え方が理解できる。様々な競技レベルにあるアスリートやコーチ・指導者・トレーナー・スポーツ関係者の方々にとっても、現在のトレーニングを考えるうえで何かのヒントを掴める一冊であろう。
(辻本 和広)
出版元:日本文芸社
(掲載日:2014-02-10)
タグ:トレーニング
カテゴリ トレーニング
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子どもの生きる力の伸ばし方
中野 秀男
存在価値が問われる集団
武術とはそもそも戦場で命のやり取りをするための戦闘技術であり、相手の命を奪い得る技能のはずだ。生き残る技術と言い換えたとしても、そもそもそこにはルールやモラルなど存在しなかっただろう。今の常識でいうどんなに不浄な手であっても、考えられる全ての手段を講じて己を生かし続け、その遺伝子を残そうとすることは生物としての本能というものだ。しかし人としてどうあるべきかという概念が加わると話が変わってくる。生きるか死ぬかの瀬戸際でも、いやだからこそ、「命を惜しむな、名こそ惜しめ」といった考えが生まれる。たとえそれが大将による自分の手駒を動かすための方便だったとしても、自分の存在意義を考える力が人にはあるのだ。
天下泰平の世となり戦闘する機会がなくなった武闘集団は、次に支配階級としての存在価値を模索することになったのではないか。武士であるというだけで、身を粉にして働く階級の人々の上に君臨することへの説得力を持たせるために武士道というものを生み出し、こじ付ける必要があったというのは安易すぎるか。しかし、いかに存在するか、どう生きるかという自律なくしてその特殊階級は存在し得ず、戦闘技術の修行は精神鍛錬としての意味が濃厚となり、人格形成の手法へと変換されたのではないだろうか。
時代が移り、廃れるべくして廃れたその階級が遠い昔のことになった今でも、その精神は心ある日本人の常識の中に棲み続けている。濃度がずいぶん低下したとはいえ、だ。
空手を通じた教育
さて本書は、空手道を通じて子どもたちの育成に尽力し続ける日本空手道太史館館長、中野英雄氏の教育提言書である。45年もの間に7000人の子供たちを指導してきたという氏の指導方針は、命を懸けて武術を極めるといった過酷なものではない。もちろん、よりうまくなりたい、より強くなりたい、技を極めたいという想いの下、厳しい稽古を積むことに変わりはない。
だが現代社会における空手の技は、競技以外で披露されることはまずないし、それは強く戒められる行為となる。代わりに、その技を練ることを通じてどう生きるかを問い、その力を伸ばすことはできる。「誠実」「謙虚」「積極」「努力」「忍耐」「不屈」という大志館の教室訓を通じて、子ども達は「心を鍛えて徳を身につけ」「生きる力」を育む。中野氏の数々の指導例を拝見するにつけ、現代社会における武道の持つ人格形成的価値はまだまだ大きいように感じる。
空手道という、ともすれば暴力的行為へとつながる技を現代社会で生きる子ども達に指導する人間は、十分に人格形成されていなければならない。戦闘技術としての空手を教えるだけでなく、人としての力を育てられる存在であるべきなのだ。
成果は成長
自分の思い通りになる子どもだけを自分の思う通りに指導するだけなら易しい。だが、「一人ひとりの子どもと向き合」い、子どもたちに正の変化をもたらすことは簡単ではない。
ちゃんと教えているのにできないのはお前の努力が足りないからだと子どもに言い放つことは易しい。だが、各々の歩幅ででも自分は成長していると実感させられることは簡単ではない。子どもたちが指導者のために在るのではなく、指導者が子どもたちの期待に応え得る存在でなくてはならない。指導者が子どもたちを試すのではなく、指導者が子どもたちに試されているのだ。そしてその成果は、競技成績だけでなく子どもたちの成長という形で表れる。
子どもたちにおもねることなくこれらをやり遂げられる力。これはまさに道としての武道を究めて辿り着けるのはないかと感じる。平和な世にあって生まれる価値そんな存在に至りたいと思う一方で、これもあくまで戦闘がない平和な時代と場所だからこそ言える綺麗事のようにも感じる。今も世界のどこかで現実に存在する子どもたちが銃を手に取らなければならないような場所では、虚しい絵空事に過ぎないからだ。そんな世界では戦闘技術は純然たる戦闘技術でなければならず、人の命を奪い、生き残るための手段となる。となると、平和な世に暮らしていても、その気になれば一線が越えられるように心身に覚悟を持たせておくこともやはり必要なように感じる。よく生きるなどという余裕はなく、ただ生きることに汲々たる人生を送らなければならない場合、生き残りながら徳を失わず、人格形成に力を注ぐようなことが普通の人々にできるのだろうか。
では、今日も明日も無事生きていることがほとんど不自然でなく、10年先どころか20年先の目標までも立てられるような平和な世界で生きている人間が、よく生きることにこだわれているのかというと、これはこれで違う次元の問題が生み出されているようである。
こうなると「死」と隣り合わせでなければ感じ得ないことも無数にあるように思えてくる。果たして我々は全てを包括的に身に棲まわせておくことなどできるのだろうか。
そんな稚拙な思考を巡らせていると、平和な世での武道による精神鍛錬、人格形成がより深い意味を持ち、より大きな価値を持つようにも感じてくる。そして武道が、そんな手段であり続けられることを願わずにはいられない。
(山根 太治)
出版元:文芸社
(掲載日:2015-09-10)
タグ:教育 武道 空手
カテゴリ 指導
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基礎から学ぶ スポーツセルフコンディショニング
西村 典子
アマチュアスポーツでは、アスレティックトレーナーが毎日現場にいて選手の対応にあたることは難しい。そのため、週1回やそれ以下のサポートでもよりよいサービスを提供するために、選手への教育やセルフコンディショニング指導が欠かせない。
タイトル通り、本書はアスリート向けに書かれている。内容は①ケガ予防、②コンディショニング、③生活習慣を見直す、という順に書かれている。特筆すべきは、ケガ予防の章で初めに出てくる具体的な疾患名が「脳出血」であることだ。脳出血は「3H」(Head=頭部外傷、Heart=心臓、Heat=熱中症)の一つとして紹介されており、命に関わるケガを初めにもってきていることと、順番が前後するが、表紙の見返しに「自分の体と向き合うことを大切にしてほしい」とつづられていることから、本書を読むアスリートへの強いメッセージがうかがえる。
アスレティックトレーナーの私がこの本を読む価値は一体なんだろうと考えたときに、本書をそのまま選手に渡すことも考えたが、思い当たったのは選手との「コミュニケーションツール」としての利用である。アスリート向けの内容のため、専用用語は少なく、平易で理解しやすい言葉で解説されている。トレーニング指導で選手に伝える際にはそのまま使うことが可能だ。
内容が怪我や治療に偏ることも、トレーニングに偏ることもなく、アスリートがどうすればよいコンディションを保ち、練習や試合で高いパフォーマンスを発揮できるか、「選手が欲しい情報」を過不足なく一冊にまとめているので、セルフコンディショニング指導の内容そのものの参考にもなる。
著者は西村典子氏、本書の冒頭に第0章という形で、著者が大学時代をサポートしたプロ野球選手とのインタビュー記録がある。「プロアスリートや日本代表選手をサポートしたことがある」トレーナーは散見されるが、選手個人の登場は珍しい。選手からの信頼と著者の実績を証明している。コロナウイルスの影響でスポーツ活動が自粛され、対面指導が困難な今、「STAY HOME」でできるパフォーマンスの維持・向上対策としてぜひ参考にしていただきたい。
(川浪 洋平)
出版元:日本文芸社
(掲載日:2020-05-04)
タグ:セルフコンディショニング
カテゴリ スポーツ医科学
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「天使の翼」が上手さ・強さの謎を解く!
田中 直史
「天使の翼」とは、ヒトの「肩甲骨」のこと。理想的な動きはケガの予防だけでなくパフォーマンス向上にもつながる。ただ、自覚的に動かすのは難しく、外傷もほとんどが自然治癒するため肩甲骨と周辺筋はあまり着目されてこなかったという。
長く整形外科医として従事した著者は、上手さ・強さに通じるメカニズムを検討し、基本編「力の抜きどころ」と応用編「腕のしならせ方」を紹介する。ゴルフスイングを例に、力で飛ばすのではなくリズム・タイミングを意識すること、グリップを固め過ぎないほうが動きが出ることを説明する。肩甲骨ひとつでパフォーマンスが大きく変わることがわかる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:文芸社
(掲載日:2021-01-10)
タグ:肩甲骨
カテゴリ 身体
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人民服を着た青年海外協力隊員 率先垂範、中国トップマラソンランナーまで育て上げた杉本コーチの実記録
小松 征司
「六・四事件」、通称「天安門事件」を挟んだ1988〜90年の間に、中国(内モンゴル自治区)で陸上競技・長距離選手の指導に「海外青年協力隊員」として携わった杉本和之氏の話と、それにまつわる“異文化交流”が題材となっている。
ドキュメンタリータッチで綴られている内容は、早稲田大学・陸上競技部出身で、近代日本風あるいは体育界気質の運動部で育った中国人学生に暴力をふるってしまったという“事件”が小さな日中問題へと発展していくところから始まる。そして、事態を収束に向かわせるべく渡中した元海外青年協力隊員の著者が、懐深い中国で感じる文化の違いや、妙などをふんだんに織り込んでできあがっている。
1つの事件を取り囲んでいる舞台は、杉本氏を迎え入れている体育工作第二大隊(マラソン分隊)。体育工作第二大隊長、選手たち、著者である小松氏、そして本人が登場する。「なぐった」という事実がある以上、一方的に非があるのは杉本氏なのだが、なんとも真相が曖昧な状況に納得がいかない著者は、思案し解決に導こうとするが、諮らずも中国の慣習となっている答礼宴(招待を受けたら必ずお返しをする習わし)で、当事者同士の和解を見ることとなる。
本音と建前が明確に存在するという中国で、なかなか本音を見出せないでいた著者が、全中国夏季マラソン大会や北京国際マラソンで活躍する杉本氏の“心で走る”姿勢に、当地で協力隊事業を立ち上げた自らを投影させる。スポーツを通して異文化に接することのできる本。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:文芸社
(掲載日:2002-04-10)
タグ:文化
カテゴリ その他
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