温泉教授の湯治力
松田 忠徳
「いい湯だな~~」温泉につかると、そんな鼻歌の1つも出てきそうです。浮き世の喧噪から逃れて温泉に入ると身も心もリラックスするからなのでしょう。癒しブームとも言われますが、温泉こそが私たち日本人にとって癒しの元祖ではないでしょうか。そんな温泉の指南書ともいえる一冊。
古来より身体をきれいにする目的のみならず、病気治療の目的があることは温泉を語る上で忘れてはなりません。日本書紀に湯治の記述があるというから驚きです。相当古くから温泉は病平癒に利用されていたようです。また日本人の温泉好きは神事に由来するという推論はとても興味深く読めました。
古来、日本人の温泉好きは変わらないのですが、昨今の温泉ブームにより平成以降多くの温泉施設がつくられました。しかしその中には「温泉」とは呼べないまがいものの温泉があると言います。さらには昔からの温泉でも賞味期限が切れたものがあるそうです。まさか温泉に賞味期限があるとは思いませんでした。それならばホンモノの温泉とはどんなものか? 具体的なポイントを明らかにしてくれていますので、温泉選びの目安になるでしょう。私もかつて温泉宿に泊まって露天風呂を楽しんだのですが、上がったあと身体から発せられるカルキの臭いに気分を悪くし、興ざめした経験があります。本書を読んでそのカラクリがわかりました。次の機会にはきちんとした温泉選びができそうです。
温泉に入るときの心構えまで書かれているのだから至れり尽くせり。「温泉教授おすすめ 全国の湯治宿145選」と題したデータベースまであれば、あとに必要なのはお金と時間だけ。
裸で湯船につかっている光景がいくつも頭の中に浮かんできました。
(辻田 浩志)
出版元:祥伝社
(掲載日:2012-01-18)
タグ:湯治
カテゴリ 人生
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温泉教授の湯治力
松田 忠徳
日々の生活や運動後、疲労やストレスを感じたときに行きたいなと思うのが温泉である。誰に教わったわけでもないが、温泉の魅力は不思議と日本人のこころを引きつける。この本は、温泉教授として、またモンゴル研究家としても著名な松田氏が伝統的な「湯治」について紹介している。副題は『日本人が育んできた驚異の健康法』。
第1章「湯治は日本人の『ヴァカンス』だ!」は、江戸時代から現在までの湯治にまつわる歴史とトピックについて、第2章「湯治の本質は『ホンモノの温泉』にあり」は温泉定義や効能について、第3章「現代版・湯治指南――宿の選び方、湯治場での過ごし方」には湯治の実践的な要点が記されている(松田氏が薦める全国の温泉宿145選も収録)。
湯治は、お湯につかることを目的に温泉場に滞在し時を過ごすことであるが、現在は観光旅行の一環として温泉地を訪れることが主流となっている。その一方で、がんなどの難病を治すことを目的に湯治客として温泉場に長期滞在する人も増えている。健康づくりの一手段として、運動や食事による日常生活の改善に加え、湯治もうまく活用したいものだ。この本を読むと、「温泉に行きたい」という思いが一層強くなる。
2005年12月20日刊
(長谷川 智憲)
出版元:祥伝社
(掲載日:2012-10-10)
タグ:温泉
カテゴリ その他
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「最高の自分」を引き出すセルフトーク・テクニック
田中ウルヴェ 京
日々の生活のなかで、何かに失敗して精神的にまいってしまった、目標を達成できなかった、そんなあらゆる場面のなかで、気持ちが深く関係していく。この本ではそうしたときに、「どうしたら立ち直れるのか」「こうしたらよい方向へ気持ちを持っていける」といった“セルフトーク”の方法について書かれている。
たとえば、目標や自分を見失ってしまったとき、過去を上手に手放し、今の自分に集中するためのセルフトークとして「今しか変えられない、今を変えれば未来が変わる」「終わったことからは、今、学べばいいだけ、引きずらなくていい」など、自分自身に語りかけることで心が軽くなる。こうしたセルフトークがいくつも紹介されており、自分にあったセルフトークが必ずみつかることだろう。
著者の田中氏は、1988年のソウル・オリンピックでシンクロ選手として出場し、シンクロ・デュエットで銅メダルを獲得したメダリストである。現在メンタルトレーナーの仕事以外でも幅広く活躍されている。そんな著者の選手時代や引退後の体験談も交えながら書かれており、読者が共感できる部分があるからこそ説得力がある。
この本を読み終えたときには、何かを感じ、気持ちの面での考え方が変わる人も多いだろう。(O)
2009年2月10日刊
(月刊スポーツメディスン編集部)
出版元:祥伝社
(掲載日:2012-10-13)
タグ:メンタル セルフトーク
カテゴリ メンタル
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間の取れる人、間抜けな人 人づき合いが楽になる
森田 雄三
「コミュニケーションが大切だから」「もっとコミュニケーションを取って」云々という言葉をよく耳にするのは私だけではないだろう。が、そもそも世の中で大安売りされているこの“コミュニケーション”とは一体何だろう? ただ単に“会話”や“対話”と同じ意味で用いられているような場合も少なくないのではないだろうか?
試みに辞書でcommunicationという単語を引いてみる。「伝達、通話、文通、交通」といった意味がずらりと並んでいる。さらにその語源をインターネットで調べてみると(これもまた現代ならではの“コミュニケーション”ツールである)、「分かち合う、共通の」もしくは「交わる」といった意味のラテン語が元になっていることが分かる。すなわち、communicationとは本来、双方の認識を共有しそれらを相互伝達する(しようとする)ということにほかならないわけで、そう考えると別個体のヒトの間でそれを成し遂げようとすることがいかに難しいことか、安易なフレーズの中で乱発していい単語かどうか、ということまで改めて考えさせられてしまうのである。
本書は「間」というものを1つの切り口としながら、ともすればステレオタイプ化しがちなその“コミュニケーション”というものの捉え方に対してプロの演出家がさまざまなアンチテーゼを示してくれる一冊である。曰く、「コミュニケーションとは本来、言葉にしにくいもの」「コミュニケーションは沈黙をメインとした空気のやり取り」といった身も蓋もないような小見出しをはじめ、間や沈黙に腰を据えることや小さな共同体の中で分を知ることなど、現代ではネガティブなものとして避けられがちなこれらの要素こそがコミュニケーションの真の要であるということを、素人をたった4日間の稽古で舞台に上げてしまう自らのワークショップや、盟友イッセー尾形氏の一人芝居を例に取りながら具体的に解説してくれている。
コミュニケーション、コミュニケーションと安易に口にするなかれ。…などと自らを戒めながら、文字通りの「コミュニケーションのプロ」による著作に触れてみるのも秋の夜長にはいいのではないだろうか。
(伊藤 謙治)
出版元:祥伝社
(掲載日:2012-10-16)
タグ:間 コミュニケーション
カテゴリ その他
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メジャーの投球術 日本野球は、もう超えたか?
丹羽 政善
いまや日本人のメジャーリーガーは珍しいものではなくなっている。それどころか各球団のスカウトが日本野球界に熱い視線を送り続けている。その中で投手に焦点を置いて、メジャーリーグの裏側を紹介している。
科学的と思われている根拠ももとをたどるとそうではなかったり、実際の球筋と球種名の認識の違いだったり、不正投球の歴史だったり、野球にそんなに詳しくない人でも、なるほどと思える内容を中心にまとめられている。
分析をすることではなく、新しいことを考えることが指導者の本来の仕事ではないだろうか。それがどのように評価されるかは別にして。
(澤野 博)
出版元:祥伝社
(掲載日:2012-10-16)
タグ:野球 投球 メジャーリーグ
カテゴリ 指導
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9回裏無死1塁でバントはするな
鳥越 規央
野球の試合において、セオリーとされている事柄は多いが、はたして合理的理由があるだろうか。こうした疑問に統計学的な観点から答えようとするのがセイバーメトリクスと呼ばれる分野である。
セイバーメトリクスの主な目的は、選手の価値分析、能力評価、将来予測の3つである。これらは球団フロント側ではスカウティングや年俸評価、監督側では試合中の選手起用や戦術立案の理論的裏づけに利用されている。野球の戦術・選手の評価について感覚だけで語ることはもはや古く、セイバーメトリクスではセオリーとされている事柄も合理性のあるものばかりではない。
1点差の9回裏ノーアウト1塁でバントすべきか?「左打者には左投手」は本当に有効か?「バッティングカウント」はあるか? 叩きつけるバッティングはヒットを生みやすいか?…すべて統計による細かなデータの比較で評価していき、数値によって目に見える形で語られるのは面白い。
後半は統計学的に有意かどうかの考察より、著者の評価分析となっているところも多いが、今後踏み込んでいけると面白い内容だと思う。数値や計算など少々難しい内容であるが、野球を別の視点から見たり、セイバーメトリクスに興味がある方にはお勧めの一冊である。
(安本 啓剛)
出版元:祥伝社
(掲載日:2012-10-16)
タグ:セイバーメトリクス ゲーム分析
カテゴリ その他
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逆転のメソッド 箱根駅伝もビジネスも一緒です
原 晋
2015年は青山学院大の箱根駅伝初優勝で始まったとも言える。とりわけ原晋監督の手腕に注目が集まったが、切り口は勝因やユニークな指導法が大半を占めた。一方、本書のタイトルは「逆転のメソッド」である。原氏はこれまで、ケガによる競技引退や同年代に出遅れてのサラリーマン生活、そして監督就任3年目にあわや解任といった挫折・危機に見舞われた。それをどのように乗り越えたかにスポットを当てている。
結論から言うと、ビジネスマンとしても監督としても、目標を立て、現状を把握し、具体的に計画して、周囲と協力しながら実行したわけだが、重要なのはその目標をどうしても果たしたいと思う気持ち、すなわち悔しさである。逆に言えば危機に立たされているとき、その気持ちは最も大きい。そこでいかに自滅せず逆転するかを教えてくれる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:祥伝社
(掲載日:2015-11-10)
タグ:駅伝
カテゴリ 指導
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「一流」が使う魔法の言葉 スポーツオノマトペで毎日がワクワク!
藤野 良孝
フランス語で「擬音語・擬態語」を表すオノマトペを、著者は“魔法の言葉”と呼ぶ。スポーツの世界に限らず日常生活にもさまざまな効果があることがわかってきたそうだ。これを活用して日々をよりよく過ごそうとまとめられたのが本書だ。
前半ではハンマー投げの室伏広治選手をはじめ一流選手を例にメカニズムが解説され、後半の「あげトークメソッド」にて場面に応じた活用法が紹介されている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:祥伝社
(掲載日:2012-02-10)
タグ:オノマトペ
カテゴリ 指導
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9回裏無死1塁でバントはするな 野球解説は“ウソ”だらけ
鳥越 規央
野球におけるセオリーに合理的な根拠があるかどうか、セイバーメトリクス(野球統計学)を用いて1つひとつ検証されている。結果としては覆されたものも、効果を証明されたものもあり、興味深い。
セイバーメトリクスはメジャーリーグでは選手の能力評価にも採用されているそうだが、一口に能力といっても打者なら打率や敬遠数、投手なら被本塁打数など、指標となる要素は多岐にわたる。よって、解析方法の改良の過程も見える。研究が進めば選手の将来予測や、野球と比べて指標となる要素の少ない種目への活用も期待される。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:祥伝社
(掲載日:2012-02-10)
タグ:セイバーメトリクス 統計
カテゴリ スポーツ医科学
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メジャーの投球術 日本野球は、もう超えたか?
丹羽 政善
投球術について、数多くの取材やインタビューをもとにまとめたもの。さまざまな「メジャーの常識」について、100球制限やローテーション、球速や球種、不正投球など、興味深いトピックが数多く紹介されている。ピッチャーに何が期待されているかということが浮かび上がってくる。
スポーツ医科学的な観点からは、マウンドの高さとケガとの関連、指標としての「酷使度」についても触れられている。研究が進み、障害予防のヒントとなることを期待したい。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:祥伝社
(掲載日:2009-10-10)
タグ:野球 投球 メジャーリーグ
カテゴリ 指導
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