平泳ぎが速くきれいに泳げるようになる!
高橋 雄介
水泳の中でも平泳ぎに的を絞って、大変わかりやすい指導書となっている。前半部はまず水に慣れ、恐怖心なく呼吸ができることを主眼としたメソッドを紹介。パート2では、ありそうでなかった、具体的な平泳ぎの悩みに答える形式で、初心者が陥りがちな平泳ぎの悪い癖を1つ1つ丁寧に解説し、解決法を提示している。
しかしこの本は決して初心者向けだけではない。パート3では一気にレベルが上がり、アスリートレベルが水中での運動感覚を体得し、より楽に速く泳げるようになるためのテクニックや方法を惜しみなく紹介していく。効果的な力の入れ方と脱力のテクニックの要素を含め、この指導書の内容は具体的で説得力がある。
スポーツの現場に携わっていると、陸上でのスポーツ、とくに球技スポーツを専門とするアスリートは、意外に水泳が不得手であることに気づく。ここ数年はクーリングダウンとして水の浮力を用いた効果が注目されているだけに、この傾向は積極的休息の一手段として、水泳を用いようとする指導者にとって芳しくない。そのような選手たちの指導にも十分に活用のできる本である。
最終章であるパート4では、非常に簡易ではあるがトレーニングやコンディショニングについての説明もされている。普段運動を積極的に行っていない一般の人々向けに、自宅で気軽にチャレンジできる種目を紹介している。付属のDVDも非常にわかりやすいため、抵抗なく平泳ぎにチャレンジしていくには、うってつけの本かもしれない。
(弘田 雄士)
出版元:高橋書店
(掲載日:2012-10-13)
タグ:水泳 平泳ぎ
カテゴリ 運動実践
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What is Coaching? 今、コーチに求められるもの
立花 龍司
初版は平成10年。10年以上前の書籍である。しかしこの本の内容は決して色あせることなく、今も貴重な現場の声として価値があるものである。数ある著書の中で、おそらく唯一の具体的なトレーニングを中心としていない本であるが、最も内容の濃い作品ではないかと思っている。
評者もまだ学生だった頃、この本に大いに勇気づけられた。そして渡米を決意し、憧れであったプロスポーツの世界へ足を踏み入れることができた。尊敬する立花氏ご本人と一緒に仕事に就けたことは私にとって一生の財産となるだろう。
今、改めてこの本に目を通すと、当時の立花氏の視点が非常に的を射ているのを痛切に感じる。悲しいかな、プロ野球のコーチに関する問題点はこの十年でさほど改善されていないのではないか。愛する野球がこれからも日本を代表する球技であり続けるためにも、次の十年を迎えたときには、この状況が改善されている事を強く願う。決して過保護にすることではなく、一人一人の人格を尊重した、選手主体の成熟した現場が構築されていってほしいものである。
スポーツ界の未来を今後担っていく、次世代のコーチや指導者に、今もなお自信を持って薦められるのが、この本である。野球界の未来へのポジティブな情熱――そんな思いを喚起してくれる。
(弘田 雄士)
出版元:日刊スポーツ出版社
(掲載日:2012-10-13)
タグ:コーチング
カテゴリ 指導
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インナーマッスルを使った動きづくり革命 Part1
森川 靖
現場でのトレーニング指導歴20年を超える森川氏が、現場で試行錯誤を繰り返す中で、コツコツと積み上げてきた経験をわかりやすい表現で紹介している本である。Part1と銘打っており、現在も引き続き連載中の内容を最初にまとめたものとなる。
今回は下肢、とくに垂直方向へアプローチするジャンプを中心とした切り口になっているが、実体験をもとにした説明には説得力がある。できるだけ自身の感覚を正確に表現しようとして、より専門用語が増えてしまっている感はあり、難解な部分はあるかもしれない。それでも現在、通りいっぺんの指導になっているという危機感を持つ指導者には、十分刺激を受け得る一冊だ。
評者も股関節の小殿筋に対するアプローチなどは、大変新鮮で早速現場指導に取り入れたいと考えている。
今後は水平方向での切り返し動作や、体幹と融合した肩甲骨や上肢の動きなどにおいても、存分に現場でのトライ&エラーを反映した内容を提供してくれるに違いない。今からPart 2の出版を楽しみに待ちたい。
(弘田 雄士)
出版元:あほうせん
(掲載日:2012-10-15)
タグ:動きづくり
カテゴリ トレーニング
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いちばんよくわかるストレッチの教科書
山本 利春
コンディショニングの一部として浸透しているストレッチを、丁寧にわかりやすく説明した書籍。オールカラーで写真も多く、とにかく抵抗感がなくチャレンジができるような気配りが感じられるレイアウトにも、好感が持てる。
数あるストレッチについての本と比べて、この本が差別化できている部分は、紹介しているストレッチが、プロトレーナーとして現場に出ている36名のトレーナーにアンケートを行い、半数以上が使用されているものを厳選して紹介している点だろう。
こだわりを持って行えば、それこそストレッチ種目は無数にあるに違いない。しかしマニアックなまでにストレッチバリエーションを多く持つことと、ストレッチ効果を最大限得るということは比例しないのは、言うまでもないだろう。現場で実際に指導しているトレーナーたちの利用頻度が高い種目は、効果的で比較的容易にできるものを選択しているはずであり、大きなストレッチ効果を得やすいのは間違いない。
実際に紹介しているストレッチ1つひとつをとってみても、やりがちな誤ったフォームのパターンを伝え、正しい実施法のコツがふんだんに織り込まれている。
正しいストレッチを効果的に覚えたい学生トレーナーにとっても、文字通り「教科書」となり得る内容だ。
(弘田 雄士)
出版元:新星出版社
(掲載日:2012-10-16)
タグ:ストレッチング
カテゴリ ストレッチング
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