インナーマッスルを使った動きづくり革命 part1
森川 靖
20年間にもわたりトレーニングの指導者、バスケットボールの指導者として歩んできた著者が、今まで常識と言われてきたことを疑い「どうしたらうまくなれるのか?」「どうしたら強くなれるのか?」という観点のもと、パフォーマンスを高めるための動きづくりについて専門家以外にも理解しやすいようにまとめた一冊。
どんなスポーツ競技においても重要とされている股関節や体幹のインナーマッスルについて、筋肉の触り方や、リラクゼーション方法、コンディショニング方法が注意点とともに丁寧にまとめられており、また、それを行うことによっての動きの変化についてもわかりやすく説明されている。スポーツ現場で即活用したいものばかりである。
専門用語があまり使われていないのでインプットする際にひと呼吸必要になるが、逆に言うと選手にアウトプットする際の用語の参考になり、これもまたスポーツ現場で役立ちそうである。
(石郷岡 真巳)
出版元:あほうせん
(掲載日:2012-10-13)
タグ:動きづくり インナーマッスル
カテゴリ トレーニング
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CKCエクササイズ 傷害予防とリコンディショニングのための多関節運動の理論と応用
山本 利春 中村 千秋 渡部 賢一 小柳 好生 Ellenbecker,Todd S. Davies,George J.
アスレティック・リハビリテーションに関わる人間にとって、もはや知らない人はいないクローズドキネティックチェーン(CKC)エクササイズではあるが、実際のところ、今まで目にしてきたリハビリテーションやコンディショニングに関連する数々の書籍においてもCKCエクササイズは数ページで紹介されているのみであり、本当の意味でこのエクササイズを理解するには不十分だったと、本書を読み終えて感じる。
本書の前半はCKCエクササイズの基礎理論からバイオメカニクス、オープンキネティックチェーン(OKC)エクササイズとの比較まで、豊富な研究結果に基づいて解説されており、「CKCエクササイズとは?」ということについて根本から理解することができる。後半ではCKCエクササイズをどのようにしてリハビリテーションやコンディショニングに応用していくかについての考え方と、上肢と下肢それぞれにおける具体的なCKCエクササイズが紹介されている。
スポーツ現場でCKCエクササイズを指導するにあたって必要な理論と実技を一度に学べる上に、2003年に出版されたものではあるが新しい発見もあり、未読の方にはぜひ見ていただきたい一冊である。
(石郷岡 真巳)
出版元:ナップ
(掲載日:2012-10-14)
タグ:キネティックチェーン
カテゴリ トレーニング
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命のカウンセリング
長谷川 泰三
4歳で一家離散、中学生で暴走族の仲間入り。15歳の時に友人の無免許運転で起きた事故が原因で脊髄を損傷。このような壮絶な経験をした著者が、事故の後遺症による激痛による苦しみ、生きていることの無意味さ、自殺未遂、次々に起こる身近な人の死を経て、現在は心理分析士として苦しい状況に追い込まれて"心の感覚が麻痺"してしまった人達の相談に当たっている。
本書では著者が実際に行っているカウンセリングやグループセラピーの様子を例に挙げて、どのようなキッカケで心身の歪みが出来、どのようにして問題解決していくかを説明している。ともすると異様とも感じるグループセラピーの様子ではあるが、普通には起こり得ない状況を経験してしまった人には必要なことなのかもしれない。生と死とは、それほどに人の心に影響を与えるものなのだと改めて思わされる。
立場上、身体の相談から派生して心の相談に応じることも多いが、心の相談に関してこのような世界もあるのかと衝撃を受けた1冊である。
(石郷岡 真巳)
出版元:あさ出版
(掲載日:2012-10-15)
タグ:カウンセリング
カテゴリ 身体
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インベストメントハードラー
為末 大
為末 大。
言わずと知れた、400mハードルの選手。世界大会において、トラック種目で日本で初めて2つのメダルを獲得した、プロの陸上選手である。
今まで読んできたスポーツ選手の著書は、その選手がスポーツを行う上で特化している能力についてスポットを当てて書かれたものが多かった。しかし、この本の帯には大きく「為末大」と書かれた横に、「初期投資30万円が現在2000万円に増えた話」と書かれていた。そしてインベストメントの意味は、「投資」である。
本の題名と帯のコメントから推測すると、プロの陸上選手である為末大が投資で儲けた話について書かれたと予想されるが、読み進めていくと全く違う内容であった。
なぜ、投資を始めたのか。投資とはどういうものなのか。為末選手が陸上競技を通して経験してきたことや、確固たる人生哲学に基づいた投資の話は、お金の話だけにとどまらずとても興味深い。多角的で広い視野を持つこと、興味や疑問を紐解いていくこと、プロだからこそのお金の捉え方など、世界を舞台に戦うアスリートのみならず意識していきたいこと多々である。
(石郷岡 真巳)
出版元:講談社
(掲載日:2012-10-16)
タグ:陸上競技 投資
カテゴリ 人生
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女性とスポーツ環境
石田 良恵
女性の身体特性からパフォーマンスとの関係、女性スポーツの歴史に至るまで、女性とスポーツの関わりについて、幅広くまとめられた1冊である。
一般向けの著書かと思いきや、かなり専門的なところまで言及されており、女性とスポーツについて勉強したい人にとっては参考になるだろう。
校正ミスと思われる一文があったり、文章と図がリンクされていなかったり、本の装丁ミスなど、読み進めていく上で気になる部分がいくつかあったので、その点だけが残念である。
(石郷岡 真巳)
出版元:モダン出版
(掲載日:2012-10-16)
タグ:女性アスリート
カテゴリ スポーツ医科学
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馬を走らせる
小島 太
競馬がとりわけ好きなわけでもなく、賭け事も好きなわけでもない。競馬はウン十年の人生で1回しかしたことがない(しかも惨敗)。
しかし、なぜか競馬場は数ある“行ってみたい場所”の1つであった。つくり上げられた美しい馬体で走る馬の姿を、青空の下で見てみたかったのだと思う。この本を読んでその気持ちが増したことは言うまでもない。
小島太氏。北海道で生まれ、周囲に馬がいる環境で育ち、騎手として30年、騎手を引退した翌年から調教師という、筋金入りの"ホースマン"である。とにかく馬に対しての愛情に溢れている。ある人に言われた"馬バカ"が最高の褒め言葉だと自ら認めるほどの、馬バカっぷりである。そんな“馬バカ”の目線を通して、どのような過程を経てあの美しい馬体が作られ、競走馬として最高の舞台へ送りだされるのかが書かれており、競馬場に行ったことのない"にわか馬好き"はよりいっそう興味がそそられる。
また、厩舎の経営者として、馬主、調教師、(馬の)生産者、育成者、厩務員、騎手、そして競馬ファンなど、馬を通して関わる全ての人に対する配慮や、最高の状態でレースに出走させるために作りあげていくマネジメント論は、「出走する馬」=「試合に出場する選手」として読み進めていくと、チームスタッフや企業、指導者、父兄など、選手を取り囲む様々な人々に関わることになるトレーナーにとって勉強になることが多い。
(石郷岡 真巳)
出版元:光文社
(掲載日:2012-10-16)
タグ:競走馬 マネジメント
カテゴリ 指導
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それでも、前へ 四肢マヒの医師・流王雄太
高橋 豊
本書は、高校生の時にラグビーの試合で頸椎脱臼・頸髄損傷の大ケガを負って両上肢と両下肢の機能を失い、その後高校復学、医学部入学を経て、現在は精神科医として電動車椅子で診療を行う流王雄太さんについて書かれたものである。
「それでも、前へ」――15歳で四肢の自由を全て失い、自分で動くこともままならない重度の身体障がい者であるにもかかわらず、彼にはこの言葉がとてもよく似合う。とにかくポジティブで、前へ進もうとする姿勢が伝わってくる。一般高校への復学から、2度の大学受験、そして医師へ。身体は動かなくても、心は動く。旺盛な好奇心と、それを支える積極的な行動力と努力。手も足も動かせる自分が負けてはいられないと、こちらが勇気づけられた。
本書を読み終えた後に、車椅子のプロテニスプレーヤー国枝慎吾選手が17年ぶりに自分の足で立ったというニュースをみた。アメリカで脊髄損傷からの回復に関して専門の勉強をしてきた方が、日本に帰国して開業されたとのこと。流王さんをはじめ、このような方々の活躍により、健常者と障がい者が同じように夢と希望を持てる世の中になることを、願ってやまない。
(石郷岡 真巳)
出版元:毎日新聞社
(掲載日:2012-10-16)
タグ:リハビリテーション
カテゴリ 人生
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お相撲さんの“腰割り”トレーニングに隠されたすごい秘密
元・一ノ矢
四股(しこ)、股割(またわり)は良く耳にする言葉ではあるが、腰割りとはどのようなものなのだろうか?
相撲で四股を踏むときの基本姿勢――まっすぐ立った姿勢から股関節を開いて腰を下ろしていく運動――のことを指し、イメージとしては、ハーフスクワットのような動作と捉えてよさそうである。ポイントは上体を前傾させずに、膝とつま先の向きをそろえて脛骨は地面に対しまっすぐのまま行うということである。
実際に行ってみると、なるほど、重さがかかっていない分、股関節の動きを意識しやすい。アスリートに行う場合は、トレーニングというよりコンディショニングとしての要素が強いかもしれないが、股関節動作の意識づけとしては導入しやすいと思われる。
白木仁氏、有吉与志恵氏、安田登氏という各専門家へのインタビューもふんだんに盛り込まれ、そちらも読み応えがある。
(石郷岡 真巳)
出版元:実業之日本社
(掲載日:2012-10-16)
タグ:相撲 四股
カテゴリ トレーニング
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