スポーツを仕事にするという選択
池上 達也
「なぜ、世の中に数ある職種の中でスポーツビジネスを選ぶのか?」
2019年にはラグビーワールドカップ、2020年には東京オリンピック、2025にはワールドマスターと、史上稀にみるスポーツイベントが立て続けにここ日本で開催されます。きっと数多くのスポーツファンがブラウン管にかじりつき、メディアでも連日連夜と結果について報道されるでしょう。そう思うと日本人は、スポーツが大好きです。そしてスポーツと縁が深いはずです。
まず中学校・高校では「部活」や「体育祭」を体験します。
また、日本の戦後の復興にはONコンビ(王・長嶋)に代表されるように野球で盛り上がり、力道山という最強のプロレスラー・若乃花、貴乃花にみる相撲人気といい、スポーツヒーローが出現しました。その後、サッカーワールドカップの出場やオリンピックでは金メダル獲得などに日本中が沸きます。きっと日本人のDNAはスポーツが大好きです。
しかしながら、スポーツビジネスの主役であるスポーツ選手には選手寿命があり、引退した後にはセカンドキャリア問題があります。よくある話はそのスポーツの指導者という職につける人もいますが、全てがそうはいかず一般の職に就きます。メインである選手の生活環境が不安定な状況で、選手ではない我々がスポーツビジネスで生計を立てるのは難しいと世間では言われます。ましては、スポーツは興業的な要素もあるのでなおさらです。
それでも、なぜスポーツに関わる仕事を行うのか? その意義をしっかり持つことをこの書籍では考えさせられます。
著者は、スポーツビジネス職への斡旋を主にされていますが、スポーツビジネスで働く理由をヒアリングして納得できるものでなければ転職しないほうがよいと論じています。
それゆえ、冒頭の質問に戻りますが、なぜスポーツビジネスに携わりたいのか? スポービジネスに携わり達成したいその目的がリアルであればあるほど、その目的に対してさまざまな手段を選ぶことができます。
それが、自分の夢なのか、好きなことでメシを食べたいのか、それともスポーツへの恩返しなのか、などここではたくさんの目的があると思います。そのきっかけを考えるには十分の書籍であり、スポーツビジネスに関わりたい方はぜひ目を通して欲しいです。
さあ、あなたはなぜスポーツビジネスで働きたいですか?
(中地 圭太)
出版元:秀和システム
(掲載日:2019-01-04)
タグ:スポーツビジネス
カテゴリ 人生
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甲子園という病
氏原 英明
100年を迎えた全国高校野球大会。
毎年夏の風物詩である「全国高校野球選手権大会」は、おらが町の地元のチームを応援しようと町中が湧き上がる大会です。アマチュアスポーツで、ここまで盛り上がるスポーツ大会も高校野球のみではないでしょうか。ましてや、主役は18歳の高校生。毎年甲子園を沸かして、その年のドラフトが盛り上がりますね。
さて、この書籍は「甲子園」という最高の舞台を目指している高校生やそれを支える指導者、また、小学生・中学生と遡り、指導環境への問題提起をしていきます。取材を基にリアルにメスを入れています。私も高校野球経験者の端くれであり、高校野球のサポートをしてきた経験もありますが、大変共感できる逸話が多いです。
著者が疑問を呈しているのは、これまで高校野球の指導者は怒鳴ることで選手を動かしてきたこと。その産物で、自らの頭で考えることができなくなる選手。絶対的エースと言われ、連投につぐ連投で自らの肩肘がボロボロになるまで壊して勝利へと導く選手。そして甲子園大会では連戦が続く過酷な日程と異常な暑さの中で行われる試合という深刻さを挙げています。
書かれている表現で面白いのは、外国人から見た甲子園の試合日程と試合環境は「虐待」であると感じるということです。我々は普通に感じていることが客観的に見たら異常に感じられる。これも甲子園という魅力に取りつかれた日本人の病と言わざるを得ないのかもしれません。
また、毎年の大会でマスメディアの報道の過熱によってヒーローが出現することにより、その子の人生が狂ってしまう危惧も懸念しています。本人が意識していなくも、周りの過熱により意識してしまうのが人間の心情ではないでしょうか。現実と周りの世界のギャップに、自らの自分を見失ってしまう。ましてや高校生には酷な話です。
これまでの高校野球の指導法は、怒鳴ることや暴力などのパワハラなどについて見直しが図られています。これは、今後の指導法に変革や改善がなされていくと思います。もちろん、怒鳴りやパワハラはあってはいけません。高校野球の指導者も一人の人間であり家庭があります。お子さんもいる指導者も必ずいます。土日の大切な時間を使い、選手へ指導にあたることは家族との時間を減らします。それを辛抱している奥さんやお子さんがいるということです。その事実も踏まえて、少しでも甲子園という最高の舞台が、よりよいモノになることを願っています。
必ず光があれば影があるもの。今回の書籍はその陰に切り込んだ書籍です。「野球」が好きな人や野球に関わる全ての人に目を通して欲しいと願う一冊です。
(中地 圭太)
出版元:新潮社
(掲載日:2019-01-15)
タグ:野球
カテゴリ 指導
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アスリートのための筋力トレーニングバイブル
谷本 道哉 荒川 裕志 石井 直方
本書は、これまで一般的であったトレーニング界の定説を振り返ると共に、現代のインターネットやテレビにあふれる過度な情報世界で生きる私たちにとって、今一度立ち止まってトレーニングの考え方を見つめ直すきっかけを与えてくれます。
指導者がトレーニングなどの体力向上メニューを考える際に、過去の経験に基づき今日まで存在するメニューを選手に与えることが往々にしてあるのではないでしょうか。また、勉強熱心になると新たな手法を取り入れて施しますが、基本ができていない状態ではトレーニングの効果も半減します。
そこで、本書を紹介したいと思います。現在第一線で活躍している著名な先生方が各章を分担しています。もちろん著名な先生が執筆するからよいというわけではありませんが、エビデンスや、現に世界や日本のプロで活躍しているアスリートを指導しているトレーナーやコーチの経験に基づいた話です。
また、巻末に掲載されている著者と監修の先生方による「トレーニングにまつわる都市伝説に対する問題提起」の対談は一読の価値ありです。これまで「当たり前」に考えられていたことについてのディスカッションは参考になります。
スポーツトレーナーやスポーツ指導者(監督やコーチ、父兄)に本書をお勧めします。なぜならば、現代のスポーツ科学について研究の視点からも言及されており、古くから存在している考え方に対して今一度見直すことができるからです。情報を見分ける基準になります。
しかしながら、この本書も含めて全ての情報を鵜呑みにせず疑ってみることも必要です。著者も、読者がこの本を鵜呑みにせず自ら考えて最適解を導き出すことを望んでいるように感じます。
いずれにせよ、トレーニング指導で迷った際に最適な答えを導き出すためのきっかけを与えてくれます。
(中地 圭太)
出版元:ナツメ社
(掲載日:2019-02-04)
タグ:トレーニング エビデンス
カテゴリ トレーニング
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日本最高峰のバスケ学 桜花流・上達論
井上 眞一 三上 太
ここ数年前まで日本男子バスケットボール界はBJリーグとナショナルリーグの2つのプロリーグが存在していました。そのため、国際オリンピック機構より2つのプロリーグが国内に存在するため、オリンピックへの出場は不可との判断を下されBリーグが発足したのは記憶に新しい出来事です。そんな男子バスケ代表は3大会ぶりにオリンピックへの出場を決めましたが、同じく女子バスケ代表も2大会連続5度目のオリンピックへ出場します。
この書籍は、その女子バスケットボール界日本代表クラスの選手を何人も輩出した指導者の経験や指導法が詰まっている一冊です。女子バスケファンならきっと知りたい逸話も多いはずです。
近年「学生アスリートへの指導の在り方」が世間から問われています。指導者が生徒へ対して振るう暴力や、行き過ぎた言葉のパワハラが問題視されています。それらは一人の指導者が生徒への接し方や、指導のスタンスを見直す必要がある問題だからです。この点、著者の述べている指導方法は、指導者として参考になります。
学生アスリートへの指導の根底には、まだまだ軍隊式の上下関係があります。この上下関係も一朝一短ですが、著者は現役時代に上下関係に嫌気が差したと述べており、3年生、2年生、1年生といった上下関係に縛られないチームを作っています。
よく聞く話ですが、昔会社勤めしていた経営者は自分が起業した際、従業員時代に自分がされて嫌だった組織のルールを反面教師にして新しいルールを作ろうとします。そんな考え方が、どことなく著者の述べるチーム作りに似ています。
そんな著者の指導方法の基準として「バスケが好き、教えるのが好き、子供が好き」です。好きこそ物の上手なれと諺で言いますが、まさにこの諺を率先する指導者です。バスケ好きならず、学生アスリート指導する指導者に読んで頂きたい一冊です。
(中地 圭太)
出版元:東邦出版
(掲載日:2019-05-10)
タグ:バスケットボール
カテゴリ 指導
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高校球児に伝えたい! ラテンアメリカ式メジャー直結練習法
阪長 友仁
高校球児に伝えたい! ラテンアメリカ式 メジャー直結練習法
野球は、本来楽しむものです。日本を代表する国民的スポーツである野球は、皆小さい頃にたまらなく好きで始めていませんか? 昨今、野球人口の減少や野球熱の低下とささやかれている野球界だからこそ訴えたいテーマです。
この書籍では、日本の野球観とラテンアメリカの野球観の違いがはっきりとわかります。大きく捉えるとお国柄の違いもあります。しかし、ラテンアメリカでは野球が将来メジャーリーグを目指すための方法であり、日本では教育としての方法という差があります。そして、考え方だけではなく技術面でも違いがあります。たとえば、日本の指導ではゴロ捕球は正面に入って取るのが基本ですが、ラテンアメリカでは逆シングル捕球を推奨しています。この違いにより、メジャーリーグに日本人野手がラテンアメリカに比べて少ないと述べられています。
面白い違いは、日本で人気のポジションはピッチャーであり、早い頃(小学生、中学生)に投げ込みが原因で肩をケガする選手が多いですが、ラテンアメリカでは不人気なポジションになります。不人気のため、ピッチャーの投球過多問題やケガとは無縁です。ちなみに、肩を消耗品と考えると日本人メジャーリーガーで40歳前後まで活躍した投手は高校時代にエースではありませんでした(上原浩治氏、野茂英雄氏、斉藤隆氏、黒田博樹氏)。
最近では筒香嘉智選手(横浜DeNAベイスターズ)が野球指導に対する啓蒙活動を行っています。かつて筒香選手が在籍した堺ビッグボーイズでは、これまでの指導方法を改めて新たな形を模索して動いています。書籍の最後に登場しますが、これまでの慣例を壊していくような目からの鱗の実話が多く参考になります。
メジャーリーグに日本出身選手よりもラテンアメリカ出身の選手が多いのは環境の違いと言えば簡単です。夏の甲子園大会の日程や投球数など、さまざまな問題がありますが、ラテンアメリカの野球を知ることで日本野球を別の角度から見ることができま、なぜ日本人メジャーリーガーが増えないのかを考えるヒントを与えてくれます。
(中地 圭太)
出版元:東邦出版
(掲載日:2019-09-14)
タグ:野球
カテゴリ 指導
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問いかけ続ける 世界最強のオールブラックスが受け継いできた15の行動規範
ジェイムズ・カー 恒川 正志
「カ・マテ! カ・マテ!」(死ぬ!・死ぬ!)
「カ・オラ! カ・オラ!」(生きる!・生きる!)
これは、ラグビー世界最強のオールブラックスこと、ニュージーランド代表チームが試合開始前に行う先住民マオリ族の儀式の言葉の一つです。ハカによって、先住民の魂を呼び戻すと言われています。
その「ハカ」が、オールブラックスの強さの秘訣と言えばそれまでですが、この書籍では一つのラグビーチーム・フィフティーンになぞらえて15の章でオールブラックスに伝わる行動規範を強さの秘訣として伝えています。
この書籍のタイトルにもある「問いかけ続ける」伝統こそが、勝ち続けるチームの秘訣であると説いています。この書籍では、ラグビーというスポーツですが、会社で働くビジネスマンにも通じます。スポーツとビジネスの違いがあっても組織で動くことには変わりないからです。
勝率8割以上という驚異的な数字を残すオールブラックスは、試合で勝つという結果を残しています。各章で紹介されている項目が正しいマインドセットを整え、この勝利という裏づけとなりました。
個人が組織で働く際、個人のパフォーマンスを最大にする必要があります。しかし、ただパフォーマンスを上げれば良いわけではなく一個人として秩序とマナーを守ってこそよい組織になります。とりわけ、オールブラックスには15個のマインドセットが浸透し、同じ方向を向いて勝利へと進んでいます。
本書では、2004年の主要メンバーの話が出てきます。この当時に起きた問題からオールブラックスが復活を遂げた「問いかけ続ける」本質を分かりやすく紹介されています。もうすぐ日本初開催のラグビーW杯が開幕します。どのチームが栄冠を勝ち取るのか、この書籍を読みながら観戦するのも面白いと思います。
(中地 圭太)
出版元:東洋館出版社
(掲載日:2019-09-19)
タグ:ラグビー オールブラックス
カテゴリ 指導
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解剖学でわかる ランニングシューズの選び方
鈴木 清和
夏も過ぎ去り、ようやく秋の気配が感じられます。この秋シーズンから全国でマラソン大会が開催されるにつれ、ランニング練習をする方が街中で見られます。
さて、この書籍はランニングシューズに着目しています。日本の各スポーツ用品メーカーを見ても毎年しのぎをけずりながら新しいランニングシューズを作っています。もちろん海外からも素晴らしいランニングシューズが発売されています。そう思うとランニング愛好家は数あるシューズから自分の足に合った1足を決めるのは本当に悩ましいことだと思います。
そもそも、足が地面を蹴るには靴が必要です。なぜなら、アスファルトを蹴るには裸足では痛すぎるからです。その靴が足本来の持っている機能を引き出すためには、自らの足に合っているシューズ選びが必須です。
本書では、そんなランナーのために自分の足に合った靴選びの方法を紹介しています。ランナー自身の体格、足の形、着地の仕方、ランニングフォームや、シューズの形状や硬さや柔らかさ、シューズの合わせ方、紐の結び方まで多岐にわたります。まずは現在使用しているシューズがどのタイプに該当するか、確認することをお勧めします。ただ、自分自身のフォームが分かりづらい点や、自分の着地のタイプがどのタイプに分類されるか正しく識別する判断基準が難しいです。また、数あるシューズから自分に合ったシューズを選ぶ大変さや、予算の面など、時間とコストを考える必要性もあります。
私も恥ずかしながら一度だけフルマラソンを体験しています。なんとか完走しましたが、35キロ過ぎから糖分を使いきった影響で頭は働かず下半身は疲れ切り、足裏が靴擦れでヒリヒリと痛かったことを記憶しています。その際に使用していたシューズは忘れましたが、もっと自分に合ったシューズを選んでいればもっと楽に走れたかもしれないと後悔しています。
著者は冒頭で「シューズは足に合わせるな」と述べています。逆を言うと、シューズは自分の足に合わせるべきと解釈することもできます。ぜひ、これからのマラソンシーズンに自分の足に合ったシューズを見つけて楽しいランニングライフを送ることを願っています。
(中地 圭太)
出版元:スタジオタッククリエイティブ
(掲載日:2019-10-17)
タグ:シューズ 靴
カテゴリ スポーツ医科学
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メジャーをかなえた雄星ノート
菊池 雄星
菊池投手(シアトル・マリナーズ)は「千里の道も一歩から」「ローマは一日にしてならず」といったフレーズが似合う選手です。「書く」という作業を14年間も続け、自らを成長させた菊池投手の苦悩・葛藤・反省・目標がこの書籍からわかります。また、高校生時代のノートと埼玉西武ライオンズ時代のノートを比較することで、プロになるまでの成長の段階も垣間見ることができます。
この「ノートに書く」という大切さを指導していたのは、甲子園にも出場した花巻東高校時代の佐々木監督です。佐々木監督は大谷投手(現アナハイム・エンジェルス)と菊池投手の高校時代の恩師です。菊池投手は文中のノートに「佐々木監督のミーティングを受けたい」と述べています。その指導力の素晴らしさについて「言語化を求める」と表現しています。言語化による再現性が指導力のよさであり、お互いにコミュニケーションを取る道具になります。そしてノートを書くことが言語化するために必要な作業です。
大型書店の自己啓発コーナーには今も昔も「目標達成」に関する書籍が数多くあります。その中でも、この書籍は1人の野球選手が14年にもわたり書き続けた記録が残っています。こんなに、地道に何時間もかけて赤裸々に書き記されたノートは最高の教材です。今現在目標を達成するために行動している方に参考にして頂きたいです。
私も一時期は、手帳にスケジュールを書いて、その日に感じたことを書き込んでいた時期があります。しかし、スマートフォンにスケジュールを記載するようになって「書く」という作業がなくなり、反省しています。感情や言葉や気付いたことを紙に記すことは、人類の発展にも関わっています。文字を書くことは、我々が生きていく上でコミュニケーションを図る方法の1つであり、決してなくすことはできません。改めて、思いや言葉を文字にする大切さを教えてくれる書籍です。
(中地 圭太)
出版元:文藝春秋
(掲載日:2019-11-18)
タグ:ノート 目標達成
カテゴリ 指導
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ピラティスバイブル 創始者J・H・ピラティスの信念と哲学、そして真髄
櫻井 淳子
一般の方から、プロアスリートまで老若男女を問わず人気が高いエクササイズがピラティスです。とくにフィットネスクラブのスタジオレッスンの中で行われることが多いです。日本では2000年初頭から人気を博し、徐々に浸透していった印象があります。現在では数多くのピラティス団体が存在しており、ピラティス指導者が毎年誕生しています。
さて、この著者も元々は体の不調を治すために受けていたピラティスに魅了され、指導者へと進んでいます。指導者として携わっている過程でよりピラティスを学びたいという意欲から渡米し、創始者ジョセフ・ピラティスから直接指導を受けた経験を持つ指導者の元までたどり着いています。ここまでの情熱を持った著者だからこそ、伝えたいピラティスの真髄や考え方があります。そして、「ピラティス」という言葉だけが一人歩きしないように書籍内で警鐘を鳴らしています。ジョセフ・ピラティス氏の一生涯についても詳しく書かれています。また、愛弟子であるロリータ氏からの話もあり、ジョセフ・ピラティス氏について深く知ることができます。
私も16年ほど前ですが、大阪市内のマンション内で大きなリフォーマーを使用して一度だけピラティスを経験したことがあります。その際、指導者のキューイングに合わせて動いていましたが、実際の動きと自らの体の動きがリンクせず非常に難しかった記憶があります。私の体が硬いこともありましたが、関節一つ一つを細かく動かすのがこんなにも大変であると感じました。
各団体により、その考えも色々ありますが、ピラティスはジョセフ・ピラティス氏が作ったものであり、礎の元は彼です。ピラティス指導者やピラティス愛好家は迷った際、この書籍から創始者の考えに触れる、またその志を学ぶことをお勧めします。
(中地 圭太)
出版元:現代書林
(掲載日:2020-01-24)
タグ:ピラティス
カテゴリ 指導
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すごい筋肉貯金 「ながら筋トレ」で死ぬまで歩ける筋肉を貯める方法
谷本 道哉
現在、男性の平均寿命は81歳、女性の平均寿命は87歳となり、人生100年時代と言われています。また、iPS細胞や再生医療の技術の進歩により、平均寿命がさらに伸びると予想されています。昨今、60歳以上の人口の増加や、少子化(2019年の出生率が90万人を割り67万人)により、ますます大人が健康に気を遣う時代になっていくと予想されます。そのため、筋肉貯金が必要であることがこの書籍から分かります。
高齢者では、ふいな転倒をしたが故に入院生活を余儀なくされ、寝たきり生活も考えられます。他にも、心不全・脳梗塞・がん・慢性閉そく性肺疾患など内科的疾患を患うことも考えられます。しかし、これらは筋力があることで発症率が低下すると報告されています。また年齢を重ねることで考えられる病気として、認知症が挙げられます。この認知症の予防や進行防止に筋トレが効果があると教えてくれます。
運動習慣のない方に「運動」と伝えると、経験がないという理由で敬遠されがちです。しかし、70歳や80歳になっても筋トレを行うと筋肉は増えます。そして、身体の筋肉を作るには運動ももちろんですが、栄養(食事)も大切です。この書籍では食事についても最新知見が盛り込まれており、高齢のクライアントの方にも知ってもらいたいと感じる情報が沢山あります。
私の地元は田舎町で、母も後期高齢者の域に達しています。この本を読みながら、母は大丈夫かと心配をしています。母も決して運動をするタイプではなく田舎ならではの車社会で生活しています。書籍は運動初心者でも読みやすいため、プレゼントして長生きしてもらいたいと切に願っています。
やはり、第三者(薬やヘルパーさん)の力を借りて生活するよりも、自分の足で歩いてイキイキと生活を楽しみたいです。運動指導者として、クライアント自ら考えて積極的に健康に近づくためのお手伝いをしたいですね。
(中地 圭太)
出版元:宝島社
(掲載日:2020-02-25)
タグ:トレーニング
カテゴリ トレーニング
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笑顔の習慣34 仕事と趣味と僕と野球
山本 昌
筆者の山本昌投手は実に記録に満ちた大投手です。実績から見ても50歳まで現役、32年間の実働と現役で中日一筋、219勝で殿堂入り、41歳でノーヒットノーランを達成されています。そんな山本投手が現役を引退して、セカンドキャリアを歩みながら現役時代を回顧しています。背番号にちなんで34個のエピソードがあり、丁度よい文章量で読みやすく構成されています。
32年間も現役を続けられた要因として、興味深い点を仰っています。それは、実はマイナス思考で緊張しやすい性格という点です。その不安を補うためにダンベルを毎日握って手首を鍛える小さな努力を継続しています。また、女房役である捕手のサインには首を振らなかったそうです。納得できなければ、あえてボールに外しています。それは、投手よりもバッターを間近で何試合も見ている捕手を信じているからです。そして、先発として序盤で打たれたとしても決して「投げない」(投げ出さない、あきらめない)と述べています。投げ出してしまうのは周りにいる選手にも失礼にあたります。何より一生懸命投げることが、219勝という結果につながっています。
また、出会いの大切さやピンチのときこそチャンスであったと回顧されています。入団後、なかなか選手としての目が出ずにドジャースキャンプに半年間参加した際、2人の恩師に出会うことができ、ここからブレークされています。
そして興味深い話として、強いチームの条件は、よい選手がよい習慣を行うと述べています。2016、2017、2018年とセ・リーグを3連覇した広島東洋カープの強さは、チームの土壌にあると解説されています。
また、それは落合監督時代に無類の強さを誇った中日ドラゴンズも同様です。ドラフトでよい選手、つまり「苗」を取ってきても、それを育てるチームである「土壌」がよくないとよい花は咲かないというたとえは納得の話です。
この話を読みながら、私もかつて優勝争いをしていた在阪球団の体力測定イベントのスタッフで施設内を見学したときに、大ベテランの選手が若手選手に交じって精力的に汗をかいていたのを思い出して腑に落ちました。
この書籍は、現役のアスリート選手やビジネスマンに読んでほしい一冊です。本書では、現役時代を振り返ってセカンドキャリアにおいて何が大切かについて述べられています。アスリートには必ず引退が訪れます。きっと、現役時代の経験を活かすヒントが見つかると思います。
(中地 圭太)
出版元:内外出版社
(掲載日:2020-04-09)
タグ:野球 投手 セカンドキャリア
カテゴリ 人生
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筋肉の栄養学 強いからだを作る食事術
川端 理香
昨今、パーソナルトレーニング施設の増加や、身体に対する健康意識の高まりにより、ネットや書籍などで栄養の情報が多くなりました。プロテイン販売の売上規模が増加し、コンビニエンスストアでもサラダチキンなど高たんぱくを意識した食材を目にします。
私たち人間は基本的に三食のご飯を食べます。その食事で何を選び、どれくらい食べればよいか、また食事全体のバランス量はよかったのか、日々悩ましい問題です。
この書籍は長年アスリートの側で食事について見守ってきた管理栄養士による食事のお話です。帯には「食事で筋肉を作る」と入っており、食事で体質改善を目指す方にはぜひ手に取って欲しいです。
まずは各5大栄養素の話から、具体的にどのように食事を摂っていくか、そして最後に経験談、Q&A形式という構成です。管理栄養士による食事指導は、「怒られる」「否定される」という認識がアスリートにはあり、よくチームの就任時には選手から、また怒られるとぼやかれたと述べています。だからこそ、食事の見直しは、選手が継続していく内容と改善する内容を明らかにすることが栄養指導の始まりです。あるサッカーチームではシーズンの終盤に除脂肪体重を上げたというエピソードがあります。食事の意識改革を行い、成功した例であり大変興味深いです。
著者は、最後にこれまでの経験を振りかえった際、食事環境の重要性を述べています。それは、チーム事情や移籍、結婚、海外、子どもの有無、寮生活、学校生活、友人関係、職場と多岐に渡り、環境は年々変化します。そのためにはまず食事に関する知識を得ておく必要があり、その知識を本書から得ることができます。
私も昔、太っていたときは暴飲暴食気味でしたが、和食を中心に食事の見直しを行い、痩せることができました。今現在は少し太ったので改めて食事を考え直すよいタイミングです。本書の通り食事を改善するのも難しいです。なかなか一度にできることではなく、何度も自分で試す必要があります。ですが、試す価値は十分にあります。食事が義務にならず味わって食べるご飯は美味しいです。ぜひ、普段の健康に意識を持つきっかけになることを願っています。
(中地 圭太)
出版元:朝日新聞出版
(掲載日:2020-05-16)
タグ:スポーツ栄養
カテゴリ 食
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筋膜への徒手療法 機能障害の評価と治療のすべて
Leon Chaitow 斎藤 昭彦
近年、治療家やパーソナルトレーナーでも外せないフレーズの一つとして「筋膜」が挙げられます。また、筋膜はテレビや雑誌に特集が組まれるほど一般の方にも広く浸透しています。国民に広く浸透している筋膜だからこそ、私たちは科学的に裏付けされた知識を知る必要があります。その点、この書籍は2018年に出版されており、最新の知見が盛り込まれています。
本書の内容と構成はとてもシンプルです。2つの大きなテーマに沿っており、そのうちの1つ、筋膜の基礎が5つの章にまとめられており、もう1つとして筋膜への具体的なアプローチ方法を15紹介しています。また、これらは科学的根拠(エビデンス)を基に語られています。
具体的な筋膜へのアプローチ方法としてマッスルエナジーテクニック、ロルフィング、トリガーポイント療法など様々な方法が紹介されています。筋膜へのアプローチ方法の全体像を把握するには、うってつけの書籍です。
アプローチ方法について共通して言えることがあります。それは、筋膜という組織を変性させるという目的については全て一緒です。ならば、「筋膜」という組織の正体は何で、どのような方法で変性が起きるのか? また、筋膜が歪むと身体への影響は何か? 筋膜を変性させると体の中で何が起きるのか? といった疑問を投げかけてくれます。きっと日々の臨床やセッションの中で悩ましい問題にヒントを与えてくれます。私自身も過去にIASTMを使用していた時期があります。その経験も踏まえて、書籍を通して新たな発見とヒントを感じています。
また、筋膜が良い意味でも悪い意味でも世間に広まったことで、患者様・クライアントの中にはマスメディアを通じて筋膜を知っている方が多くいらっしゃいます。そのために、正しい情報と誤っている情報を取捨選択できる基準が必要です。治療家やパーソナルトレーナーである身体に関わる専門職にとって、最良の喜びは患者様・クライアントからの感謝ではないでしょうか。筋膜の改善に関してサービスを提供している治療家・パーソナルトレーナーは、ぜひ正しい情報をもとに一人でも多くの患者様・クライアントの抱えている「不」が解消されることを願っています。
(中地 圭太)
出版元:医道の日本社
(掲載日:2020-08-29)
タグ:筋膜
カテゴリ スポーツ医科学
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リーダーシップを鍛える ラグビー日本代表「躍進」の原動力
荒木 香織
本書の著者は、2015年ラグビーW杯で南アフリカを破った元ラグビー日本代表チーム・ヘッドコーチであるエディー・ジョーンズ氏(以下 エディーHC)の右腕としてメンタルコーチを務めた荒木香織氏です。
全体の構成として、1章・2章はラグビー日本代表の軌跡と実際の経験談を踏まえてリーダーシップのあり方を説かれています。この中には、実際の選手とのやりとりや、4年というプロセスを経た経験談が含まれており、この頃の日本代表チームの様子をリアルに感じることができます。
また、3章・4章・5章については著者の考えるリーダーシップの方法論やリーダーシップのトレーニング方法について知ることができます。ここでは、数多くの企業やスポーツチーム等のコンサルタントとして経験している著者だからこその言葉の深みがあります。
著者は、本書の中で今日の日本において組織の課題は「リーダーシップの欠如」とし、かつての日本のようにカリスマ性によるリーダーシップでは企業の生産性は下がるデータも示しています。
では、リーダーとして求められる成果とは、フォロワー(従業員・部下)がリーダーの予想を超えた結果を出すことです(事実、南アフリカに逆転したトライを生む前のスクラム前に発せられたエディーHCの指示は、キックで3点を取り同点にする事でした)。フォロワーの成果を最大限に引き出すのが、良いリーダーです。また、スポーツチームもビジネスにおいても勝利という結果に向かって進むことに変わりはありません。組織という点では、会社もスポーツチームも同一です。
そこで、本書の3章・4章・5章では、実際のリーダーシップの見本例をケーススタディとして学ぶことができます。
また、リーダーシップを学ぶ上で必要なマインドセットの捉え方と、考え方やレジリエンスという逆境でも屈しないスキルの考え方を学ぶことができます。
日本は、かつて高度経済成長により発展した先進国です。先人の努力に敬意を表しつつも、時代の流れの変化により、かつての日本型組織では、これからのグローバル化に遅れを取ります。今後もますます変化していくであろう時代に相応しいリーダーの誕生が待ち遠しいです。
著者は、研究者として教育者としてコンサルタントとして、様々な顔をお持ちです。本書は、エディーHCというリーダーを招いて世界で結果を残した最たる例です。ぜひ、リーダーは本書を通して部下に還元してみてはいかがでしょうか?
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(中地 圭太)
出版元:講談社
(掲載日:2020-09-28)
タグ:リーダーシップ コーチング
カテゴリ 指導
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ザ・スコアラー
三井 康浩
この書籍の著者は、読売巨人軍のスコアラーとして40年間務められた三井氏です。どのように試合からデータを収集し、そこから選手に言語化してどのように伝えるかというスコアラーの経験をまとめた一冊です。
序章では、あの伝説として謳われる09年WBC決勝の韓国戦にてイチロー選手が放ったセンター前ヒットの逸話から始まります。
第1章では、スコアラーになる経緯やそのときのエピソードが中心です。第2章では、スコアラーから見たバッターの特性。第3章では、スコアラーから見たバッテリーの特性を知ることができます。第4章では、スコアラーの視点から編成部や外国人スカウトの手法を知ることができます。
著者がスコアラーとして動き出したのは1980年代中盤です。今の時代でこそ、ITソリューションが発達して映像やデータのやりとりが活発に行われます。しかし、当時はビデオカメラが主流です。逆を言えば、昔の方がデータの収集が大変だったはずです。現代と過去の違いにも著者は隔世の感があると述べています。昔を思えば莫大なデータの扱いの大変さは容易に想像がつきます。
昔は予告先発がなかった時代で、誰が先発か、またバッターが待っている球種は何かをスコアラーが呼んでいました。相手先発バッテリーの配球から傾向を読んだりと、アナログにデータを集めていた苦労を感じ取ることができます。
ちなみに本稿の著者は島根県の出身です。私も島根県出身ですが、この書籍を手に取るまで存じ上げませんでした。同じ県の出身者で、野球界に寄与した方で大変嬉しくなりました。山陰にちなんで裏方で活躍されたのは納得です。
野球の真髄を別角度から感じ取ることができ、プロ野球を何倍にも楽しむことができるお勧めの書籍です。
(中地 圭太)
出版元:KADOKAWA
(掲載日:2021-12-02)
タグ:スコアラー データ
カテゴリ その他
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姿勢と運動の力学がやさしくわかる本
勝平 純司 山本 敬三 江原 義弘
この書籍は、バイオメカニクスの基本を、イラストを使いイメージしやすく初心者が理解するために書かれた一冊です。全6章のパートに分かれており、1章から順を追って語句が解説されており、物理学をおさらいするにも適した書籍です。
第1章は「力と重心」として重心位置の解説や、ベクトル・力のつり合い・作用反作用の法則といった、重さが働くとどのように変化するか解説されています。第2章は「床反力と身体運動」として床反力や床反力ベクトルといった床から受ける重心位置の移動について、第3章は「並進運動と運動の法則」として、速度と加速度や慣性の法則・並進運動といった移動に伴う速さについて解説されます。第4章「回転運動とモーメント」では、テコの原理をモーメントやレバーアームといった力のつり合いについて、第5章「エネルギーとパワー」ではパワーや仕事率、力学的エネルギーといった物体を動かす働きについて、最後の第6章「運動量と力積」は、運動量とは何かについて、ジャンプ動作と力積が解説されています。
中学校時代に習った物理学の単語も数多く使われていることがわかります。表紙にも医療従事者や介護関係・スポーツトレーナーなどにお勧めと書かれており、イラストの豊富さが振り返りの学びによく合います。本書を手に取っていただき、物理学の視点から現場に活用していただきたいと思います。
(中地 圭太)
出版元:ナツメ社
(掲載日:2021-12-20)
タグ:バイオメカニクス
カテゴリ スポーツ医科学
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野球を科学する 最先端のコンディショニング論
笠原 政志
本書は、全300ページにおいて打撃・投球・走塁・身体のコンディショニングなど、野球に関するテーマを言語化した書籍です。実験から得られた結果を数値で示しており、実に興味深いです。
第1章では、打撃について速いスイングスピードの獲得と除脂肪体重の必要性を述べており、打撃を客観的に見ることができます。第2章では、投球について脚と股関節の使い方の研究結果と、コントロールをよくすることについて述べています。リリースポイント改善のドリルの解説も掲載されています。第3章では、走塁という分野も研究されています。足の速さについて、ある能力の重要性が必要と述べています。第4章から第7章までは、ウォーミングアップや疲労回復、睡眠、筋力トレーニングなど、専門のコンディショニングについて研究されている情報を知ることができます。
より遠くにボールを飛ばしたい、もっと野球がうまくなりたいという情熱を持ち、練習に取り組んでも身体を痛める可能性や、効率的に技術が伸びない場合もあります。著者は、体育学博士・アスレティックトレーナーの観点から、野球を楽しむ全ての世代にケガや故障を最小限に抑えて欲しいという想いをお持ちです。数十年と野球コンディショニングを研究してこられた著者の情報を取り入れて野球を楽しんで欲しいです。
私も学生時代に読んで活用したかったと感じました。ケガや故障を最小限に抑えて効率的に技術を伸ばすために、必要な情報がこの書籍にはあります。
(中地 圭太)
出版元:竹書房
(掲載日:2022-01-26)
タグ:野球 コンディショニング トレーニング
カテゴリ コンディショニング
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応援する技術
森本 貴義 中野 達也
著者の一人である森本氏は、これまでNPBとMLBでトレーナーを経験しており、両国の指導法も熟知されています。また、数多くのアスリートへ指導経験があります。そこで、コーチングとは何かという経験則から様々なエピソードが述べられています。古くから行われている日本の指導法ではなく、コーチングを取り入れて変革してきた実例が紹介されています。
本書の後半部分では、ビジネス現場での応用の方法やコーチの種類についても紹介されています。実際のケーススタディも10通り掲載されています。
人が組織で動く以上、ヒエラルキーが存在します。そこには、それぞれの人間関係が無数に広がっており、お互いの信頼関係が重要であることは言うまでもありません。
この信頼関係の構築に、コーチングというスキルが必要です。トップダウンで指示を下す手法より、相手に考えさせて答えを導き出します。コーチングは褒めることや叱ることもなく、客観的に相手へフィードバックします。これは、頑張れというだけではなく、相手の能力を引き出す手法です。
本書は改めて相手(選手や部下、生徒)との接し方を見直したい方や、より強固な信頼関係を構築したい方にお勧めです。私もこの書籍を参考に周りの関係者とコミュニケーションを取りたいと思います。
(中地 圭太)
出版元:ワニ・プラス
(掲載日:2022-02-03)
タグ:コーチング
カテゴリ 指導
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筋力強化の教科書
石井 直方 柏口 新二 高西 文人
この書籍は、長年トレーニング業界に携わってこられた筆者たちが「筋力トレーニング」の基本について述べた書籍です。書籍の前半部分では、筋トレの基本について生理学や健康に関する情報が述べられており、後半部分ではBIG3とベントオーバーローイングなどトレーニング種目の基本について語られています。
著者の3名は、研究者・医者・指導者とそれぞれ違った立場の方が、筋力トレーニングの基本をさまざまな角度から語られている書籍です。これは、ここ近年の情報ではなく、30年ほど前の1990年頃から積み重なった情報です。近年の筋力トレーニングの情報発展に寄与してこられた方々が、どのように「筋力トレーニング」を捉えて実践に落とし込んだか歴史を知るために必読の書籍です。
本書の後半の部分では、BIG3など実際のトレーニングの方法論について述べています。各種目の説明のページでは、フォームに関して細かく紹介されています。写真に線を引いてバイオメカニクスの視点で、より安全で効果の出る方法を説明しています。
私も、この業界に携わるようになって20年です。間違いなくこの書籍の情報からスタートしています。そして、現代では情報が大きく様変わりしたように感じます。しかし、基本となる土台は変わることはありません。改めて、基本に立ち返るときに参考にしたい書籍です。
(中地 圭太)
出版元:東京大学出版会
(掲載日:2022-09-05)
タグ:トレーニング
カテゴリ トレーニング
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