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ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。

睡眠障害
渡辺 俊男

 トレーニング指導において、身体づくりを効果的なものにするためにスポーツライフマネジメントの重要性が言われる。これは、「トレーニング‐栄養‐休養」の3要素について、質の高い取り組みを構築するということである。トレーニングや栄養に関しては、かなり詳細な検討がなされるが、休養に関しては、前者2つと比較すると検討される割合が少ないように感じる。本書のテーマは睡眠障害であるが、適切な睡眠を実現するために大変参考になるだろう。とくに、本書がシンプルな論理的構成になっているため大変わかりやすい。
 まず、現代社会と睡眠との関係から現代人が睡眠障害に陥りやすい環境であることがわかる。現代人の生活スタイルの変化によって、寝起きの習慣が多様化してきたことが要因の1つのようだ。その具体例として、夜型の活動である交代勤務や残業などが挙げられている。
 次に、睡眠の基本について説明がされている。睡眠とは、生理機能に支えられた適応行動であり、生体防御技術である。そして、睡眠の役割とは、大脳をつくり、育て、守り、修復し、よりよく活動させることである。また、よい睡眠の基準や、個人差、時刻差、年齢差、男女差、文化差についての説明がされている。
 3番目に、睡眠障害の説明がされている。前章で睡眠の基本が記述されているため、基準と障害の間に存在するギャップを確認できる。睡眠障害は大きく(1)睡眠異常、(2)睡眠時随伴症、(3)内科・精神科的障害に伴う睡眠障害、(4)提案検討中の睡眠障害の4つに大別される。
 4番目に睡眠障害の原因である。睡眠障害の原因として、(1)体内に存在する問題、(2)体外に存在する問題、(3)生活リズムの問題、(4)睡眠自体に存在する問題、(5)他の病気と関連する問題、(6)その他の6つに大別される。
 5番目にこれまでの内容を振り返ったクイズ形式の睡眠知能指数が紹介されている。睡眠に関する正しい知識と方法論について全100問を○、×で答えるものだ。これは、単なる読後の確認だけでなく、学生アスリートや学生トレーナーへの教育にも役立つだろう。
 スポーツライフや日々の生活において睡眠は、その重要性は認識されつつも実際には軽視されがちな部分であるように感じる。強化練習期間では、練習の側面に注意が向かうものの、その回復を促す睡眠に対してのアプローチが少ないのではないだろうか。また、ビジネスマンも業務が多忙になると睡眠時間が削られがちである。睡眠は、単なる身体づくりの促進だけでなく、日々の作業効率や充実した生活にも影響することから、スポーツにおいては技術練習の効果的習得にも影響することが予想できる。本書は、スポーツライフにおける睡眠の領域について理解を深めるために大変有効なものであり、手元に置いておきたい一冊である。
(南川 哲人)

出版元:講談社

(掲載日:2012-02-07)

タグ:トレーニング 睡眠 休養  
カテゴリ トレーニング
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心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣
長谷部 誠

 本書は、サッカー日本代表キャプテンを務めた人物の習慣を紹介したものである。これは、トップアスリートの行っている習慣、あるいはリーダーの行っている習慣を紹介したものであるとも言えるだろう。 
 アスリートにはさまざまなタイプが存在する。身体的才能に恵まれたアスリートもいれば、日々の努力によって、その地位を築いたアスリートもいるだろう。また、リーダーにおいても同様である。強烈なリーダーシップを発揮するリーダーもいれば、フォローワ―シップに長けたリーダーもいるだろう。アスリートやリーダーの数だけ方法論は存在する。
 本書は、長谷部選手のキャリアの背景にある経験や学びを通じて、一人の人間としての生き方を学ぶことができる。高校を卒業後、浦和レッズという名門クラブの一員となり、プロスポーツの世界で生きていくことの厳しさを知り、自らの未熟さや弱さを理解したことが心を整えることを考えるきっかけになったようだ。長谷部選手にとって心とは、車で言うところのエンジン、ピアノで言うところの弦であり、整えるということは、調整することや調律するような感覚なのだそうだ。そして、自分を見失うことなく、どんな試合でも一定以上のパフォーマンスができることを目指している。
 長谷部選手の言葉を読み取っていき、人間としてのあり方を考えていくと、「なる前にあること」という言葉が浮かんでくる。これは、結果を求める前にプロセスを大切にすることの大切さを説いた言葉である。そして、リーダーとしてのあり方を考えていくと、「一つ上で考え、一つ下で手を動かす」という言葉も浮かぶ。これは、リーダーとは、常に構成員よりも一つ上の次元で物事を考え、構成員と同じ立場で行動にあたるという意味である。両者の底流にある考えは、よりフェアな立場で考えるということだろう。フェアであり続けるということは大変難しいことであるが、それを追求しているからこそ今の姿があるのだろう。本書は、さまざまな観点から考えることによって、多様な気づきを得ることができる良書だと思う。
 最後に、ヴォルクスブルクとの契約におけるクラブと長谷部選手の代理人とのエピソードを紹介したい。

「実はハセベのプレーはあまり印象に残っていない。彼のプレーの良さはどこにあるんだい?」
「確かに彼のプレーは目立たないかもしれない。しかし、90分間、マコトのポジショニングを見続けてくれ。そうすれば、どれだけ組織に貢献しているかわかるはずだ。」
後日、クラブはこう連絡してきたという。
「キミの言っていたことがわかったよ。彼は組織に生まれた穴を常に埋められる選手だ。とても考えてプレーしているし、リーグ全体を見渡しても彼のような選手は貴重だ。」

 長谷部選手という人物を理解することができるだろう。このように評価される選手は、個人的に好きな選手である。
(南川 哲人)

出版元:幻冬舎

(掲載日:2012-02-15)

タグ:サッカー メンタル     
カテゴリ 人生
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消費者の「隠れたニーズ」を見つけ出す 「空気読み」企画術
跡部 徹

 本書は、日々企業や消費者に対して企画を考え、その実現を目指す人達(企画立案者)を対象に、具体的な立案方法を紹介し、よりよい世の中の創造へ貢献することを目的として執筆されたものである。
 企画立案に際し、最終的な提案対象となる消費者の周辺環境は、時間経過とともに大きく変化した。以前までは、未解決、不満足というような、消費者自身が自覚できる「顕在的ニーズ」が多く存在し、それを解決、満足の方向へ向かわせることが企画立案者の主な取り組みであった。しかし現在は、以前までの満たされないものの多くは解決済みになってきており、消費者自身が本当に必要としているものや、より豊かなものにするために必要なものを明確に捉えることが困難になってきているようである。
 このことから、現在の企画立案者には、消費者の中に存在する「潜在的なニーズ」を見出す能力が求められてきていることを提言している。そして著者は、この能力を獲得する行為を「空気読み」と定義し、潜在的ニーズを的確に捉えて実現に結びつけるための企画立案術を紹介している。
 具体的には以下の4つの段階に構成され、これらを適切に実行することによって、「空気読み能力」を獲得しようとしている。
 1つ目は、「情報収集と蓄積方法」である。ここでは、さまざまな視点から物事を捉えることの大切さと、その具体的方法を紹介している。2つ目は、「潜在的ニーズを獲得する技術」である。ここでは、「空気読みフレームワーク」という概念を用いて、潜在的ニーズの具体的な獲得方法をわかりやすく紹介している。3つ目は、「企画のつくり方」である。ここでは、企画立案者と関わりを持つ一般消費者(C)と企業(B)の両者にメリットを生み出すように、「B to Cモデル」、「B to B to Cモデル」を活用した企画の考え方や視覚化の方法を紹介し、より関係者との共有促進を目指している。4つ目は、「協力を獲得できるプレゼンテーションのコツ」である。企画実行による課題解決のストーリーをよりよく伝えるために、企画書を用いた具体的な進め方のコツを整理している。
 本書は、全体を通じて具体的なノウハウが多く、企画立案者にとっては非常に役立つ内容であると同時に、指導現場におけるトレーニング指導者にとっても有用なノウハウが紹介されている。また、それだけでなく、本書の底流に流れる「消費者の課題を解決する」「社会の役に立つ」というメッセージを見逃すことはできない。そして、この部分がトレーニング指導者として、「指導対象に対して、いかによりよい提案をするか」について学ぶことができるように感じる。
 トレーニング指導者とは、指導対象の目的に応じて、科学的根拠に基づく運動プログラムを作成し、これを効果的に指導・運営する能力を持ち合わせた存在である。そして、その提案対象となる指導現場も時間経過によって変化していることを実感するのである。
 以前は、指導現場にトレーニング指導の専門職が存在していることが多くはなかった。したがって、指導現場が自覚できる未解決や不満足について、解決や満足の方向に向かうことで一定の評価を得られたように思う。しかし、指導現場における専門職の存在が一般化してきたことと、競技スポーツの高度化によって、「指導現場の自己実現欲求」がより進んだのではないだろうか。そして、指導現場の専門職もまた、本書の企画立案者と同様に、指導対象の中に存在する「潜在的なニーズ」を見出す能力、「空気読み」を必要としているように感じるのである。
 昨今、「KY(=空気読めない)」という言葉を耳にするが、その背景には、日本人が「場の背景となる文脈」をつかむことを重要視してきた歴史的側面も存在するようである。そして、本書は目標達成に向けて、具体的な文脈の読み解き方を段階的かつ丁寧に紹介してくれているのと同時に、上記の4段階は、トレーニングの指導現場における取り組みの提案について、そのまま活用可能であると感じた。指導現場における共有の促進や、効果的な指導・運営方法に行き詰まりを感じている指導者の方にお勧めする一冊である。
(南川 哲人)

出版元:日本実業出版社

(掲載日:2012-10-13)

タグ:ニーズ 
カテゴリ その他
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新版 これでなっとく使えるスポーツサイエンス
征矢 英昭 本山 貢 石井 好二郎

「多くのスポーツ・体育の現場であがっている疑問の叫びを大事にしよう。できるだけトレンディーな情報を提供しよう。でも、理解できないのはだめだ。面白くないとね!」という著者らの思いから生まれたのが本書である。そして、スポーツサイエンスを「納得」し、「使える」ようにすることが本書の目的である。
 全体の大きな構成として、「トレーニング」、「試合で勝つ」、「健康なからだ」、「基礎知識」という順番で、4つの側面から構成されている。これは、一般の健康づくりから競技アスリートまで、幅広く対応しようとするものなのであろう。また、実践的事例を経て基礎知識へ向かう構成が興味深い。これは、帰納法的側面から具体的な取り組みをイメージし、それらの本質を捉えるために演繹法的側面に収束させることで、「実践と理論を合致させる」ということを試みているように感じ、大変新鮮であった。
 次に、各チャプターに目を向けると、指導現場で多く見られる疑問を豊富に取り上げている。そして、各疑問についての説明を見てみると、見開きの分量で、簡潔かつ論理的なため、大変わかりやすい。この内容であれば、学生アスリートでも十分に理解可能なのではないかと感じた。
 また、もう一つの気づきを得られたような気がする。それは、指導者側は、「簡潔かつ論理的な説明の仕方を学ぶ絶好の教材になり得る」ということである。例えば、「ウォーミングアップ」ということについて、テーマに対する構成が、「本質的側面→具体的な取り組み内容→注意ポイント→まとめ」という流れになっているので、指導者自身の説明能力向上にも貢献できる内容であることを実感した。
 以上のことをまとめると、本書は、幅広い指導対象への対応を可能にするだけでなく、指導者自身の知識の整理や説明能力の向上、さらには、辞書的機能としても貢献できるということである。本書は、2002年に発刊され、その後、増刷を重ねて改訂にまで辿り着いている。この側面から見ても本書の質の高さや、読者からの支持の高さがうかがわれるであろう。指導現場において、常に手元に置いておきたい一冊である。
(南川 哲人)

出版元:講談社サイエンティフィク

(掲載日:2012-10-14)

タグ:スポーツ科学 
カテゴリ スポーツ医科学
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歴史をつくった人びとの健康法 生涯現役をつらぬく
宮本 義己

「いつまでも若さを保ち、健康的な生活を送りたい」という願いは、人間の持つ根源的な願望の1つであろう。私たちは、抗加齢、老化防止といった「アンチエイジング」に少なからず関心を持っている。そして、身のまわりに目を向けると、歴史的に培われてきた「伝統食(和食)」について、栄養面や生活習慣病の予防などに効果が確認されていることを知ることができる。このような、私たちの持つ思い(誘因)と、それに貢献できる環境(動因)が存在するにもかかわらず、現実にはうまくいかない側面が存在する。なぜなら、それぞれに事情や制約、情報過多による取捨選択の困難さなどが、複雑に入り組んでいるからであろう。
 養生の格言に、「薬補は食補にしかず」、「衛生の道ありて長生の薬なし」という言葉がある。前者は、食に勝る薬はないということ、後者は、養生の道こそあれ、長生のための秘法など存在しないという意味に要約される。それでは、薬に頼らず、秘法なるものにも惑わされない養生の道とは、一体どのようなものなのだろうか。本書は、「養生の道」のありようを具体的に検証するために、生涯現役を貫いた各界各層の歴史上の人物たちの取り組みを検討し、健康や長生の真理に迫ろうとしている。
 本書の構成は、「気分転換(趣味とレジャーでストレス解消)」「心気調和(気の温存で体力維持)」「節制(抑制の効いた生活で健康保持)」「一病息災(持病と共存して長生を得る)」「求道(探究心と情熱で老化防止)」「保健衛生(専門的養生知識を活かす)」という観点から、歴史上の人物38人の養生心得の実際を紹介している。そして、これらの観点から検討していくなかで、最終的には「健康の条件」という同じゴールに向かっていることを指摘している。それは、「バランスのよい食膳に加え、慰めの励行によるストレス解消や調気(呼吸)による気力の温存、さらには塩断や毒断による体調の維持にあった」ということである。さらに、現代の言葉に言い換えるなら、「活性酸素を除去し、ナトリウムを排泄して血液の循環を円滑にし、カロリー制限を行ってコンディションを整える」ということになり、現代の生活習慣病の予防対策と比べても遜色ないことを指摘しているのである。
 このように検討していくと、本書の底流にある著者の思いを何となく感じることができる。それは、「健康の条件というゴールに到達するには、さまざまなルートが存在する」というメッセージなのではないだろうか。そして、「そのルートは個人の現実に応じて多様である」ということである。そして、「健康の条件」と「現状」との間に存在するギャップの実体を見極め、それを埋めるためのさまざまな引き出しの提案をしてくれていることを感じるのである。
 われわれトレーニング指導者は、「科学的根拠」という側面から健康を考えることが多いが、本書のように、「文学的側面」からも大変有用な情報を得ることができることを学んだ。そのように考えると、人間の身体とは「全体的」かつ「総合的」なものであることを実感すると同時に、「文理融合」、あるいは「学際的」という観点を持つことの大切さも実感するのである。これは、さまざまな物事の見方や学問領域が存在するものの、対象とする人間の身体は1つであることを再認識させてくれるのである。
(南川 哲人)

出版元:中央労働災害防止協会

(掲載日:2012-10-14)

タグ:健康法 
カテゴリ 身体
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オリジナルワーキング
高橋 宣行

 指導現場において、誰しもが一度は思う言葉、口にする言葉があるであろう。「指導現場は教科書通りにはいかない」「指導現場は理論通りにはいかない」…、というような言葉である。そして、この問題を解決するためには、トレーニングの原理・原則といった「科学的根拠」から、よい意味で、一時離れてみる必要があるのではないだろうか。
 私は本書を、指導現場のトレーニング指導者やアスレチックトレーナー、チーム運営を統括する監督・ヘッドコーチといった、さまざまな立場の方に紹介したいと思っている。本書は、博報堂制作出身者が、一般ビジネスパーソン向けに「仕事の仕方」を提案したものである。私は、本書で紹介されている仕事の仕方に対する考え方が、競技スポーツの現場において参考になり、大変有効だと考えているのである。
 なぜなら、広告という仕事は、依頼主と生活者の間に位置し、両者にとっての最良の提案をすることを必要とする、「課題解決屋」であると考えるからである。この立ち位置は、選手の傷害予防や競技パフォーマンス向上に貢献するトレーニング指導者の立場と全く一緒である。そして、その解決過程における物事の考え方は、チーム運営に関わりを持つすべての人間に対して有効だと実感したからである。
 本書の大きな目的を凝縮すると、「人間力の向上」ということになるであろう。人間力とは、物事に対する考え方と、それに基づく行動のことである。これらの要素を最適なものにするために、「知る」→「想う」→「創る」→「動く」という段階を経て説明しており、最終的に、「独創的・創造的な仕事ができる人間」を目指そうとしているのである。
 この全体の流れをスポーツ現場に当てはめると、シーズン開始における「キックオフミーティング」が頭に浮かぶ。次のシーズンの目標達成にむけて、現状を知り、さまざまな思いを巡らせながらイメージを形にしていく。そして、選手とともに動くことで、目標達成に向けて歩みを進めるのである。本書の特徴は、このようなことに関しての具体例が大変豊富であることも挙げられる。具体的な事例として、「植物物語(ライオン)」「ポッキー(グリコ)」「BOSS(サントリー)」…など、誰もが聞いたことのある身近な事例を用いて、そのコンセプトから商品開発、商品改善までの流れが非常にわかりやすく紹介されているのである。これは、競技スポーツチームの導入期・成長期・維持期・衰退期における状況打開策のヒントにもなるであろう。
 また、この手のコンセプト系、戦略系の書籍にしては大変読みやすいのがありがたい。100ページ前後であり、図解も豊富で、手書きの部分も多いことから、非常に親しみやすいものにもなっているのである。私自身、本書のお陰でコンセプトというものを楽しく理解することができたと同時に、実際のコンセプトメイキングに大変役立った経験がある。個人的に手放したくない一冊であるし、同じような悩みを持つ方に是非紹介したい一冊である。なお、他にも著者のシリーズが存在する。トレーニング指導やチームの運営・マネージメントに課題を抱えている方にはお勧めのシリーズである。
(南川 哲人)

出版元:ディスカヴァー・トゥエンティワン

(掲載日:2012-10-16)

タグ:指導 マネジメント 
カテゴリ 指導
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No.1メンタルトレーニング 本番で最高の力を発揮する最強の自分をつくる
西田 文郎

「人間には無限の可能性がある。メンタルトレーニングは、自分の心をコントロールできるようになることで、その可能性を引き出すことに貢献するものである」本書の根幹を要約すると、こういうことであろう。メンタルトレーニングに関連する書籍の王道を進むものであるように感じる。
 しかし、読み進めていくと、「いかに自分の心をコントロールするか」ということに関して、小手先のテクニックに終始するのではなく、より人間の本質的な部分にアプローチしていることを感じる。(1)感情、(2)イメージ、(3)思考という3つの側面に対して、わかりやすく、丁寧に論理を積み重ねているのである。
 本書の流れは、「優秀なアスリートの条件」から始まる。理想的な姿、あるいは基準を設定し、読者に自分自身とのギャップを理解することを促しているのであろう。そして、そのギャップを埋めるために、人間の脳に対して、先述の3つの側面からアプローチしている。これは、「アスリートとしての在り方」「人間としての在り方」を高めようとしているように感じるのである。
 本書を読み終えたとき、「競技選手の存在」について、改めて考えてみた。競技選手が不安を感じることは驚くことではないし、指導者や選手に関わる全ての人たちは、もっと競技選手について理解してあげることができるのではないかと感じるのである。本書は、実在する選手やチームの具体例なども豊富で、取り組みの様子もイメージしやすい内容である。具体的な取り組みだけに終始せず、本質的な部分も教えてくれるものであることを実感した。
(南川 哲人)

出版元:現代書林

(掲載日:2010-11-10)

タグ:メンタルトレーニング  
カテゴリ メンタル
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すぐに役立つサプリメント活用事典
古田 裕子 山田 昌彦

 健康的な生活を維持するためには、「運動‐休息‐栄養」のライフバランスが大切であり、本書では、その中の1つである「栄養」に焦点を当てている。必要な栄養素量を継続的に摂取することは難しいのが現実であることから、日々の食生活に存在する不適切な部分を補正する目的で開発された「サプリメント」に注目し、その理解を深めることで、健康的な体調の構築に貢献しようとするのが本書の目的である。
 本書の最大の特徴は、子どもから大人まで幅広い対象の抱える問題を意識した、「目的別サプリメントの選び方」の構成と豊富さにあるだろう。まず、1つの課題について、見開きで完結している点である。決して長すぎることなく、問題の原因と解決策を平易な言葉で簡潔に記述し、キーワード化がされているのでポイントを理解しやすい。次に、日常生活を通じた注意点と、推奨サプリメントの内容について、イラストで表現している点である。これによって、視覚的側面からも読者の理解促進に働きかけているように感じる。要は、「一般読者」の視点に立って、繊細な配慮がなされていることで、知識の理解向上が進みやすいように構成されているということである。単なる知識の獲得だけでなく、指導者として、選手への配布資料の作成にも大変参考になる。
 また、具体的な方法に加え、「栄養素を体内に取り入れる」という行為についての本質的部分に対しても、一般読者に簡潔かつ適切に伝達することを試みている。具体例として、「サプリメントに期待される役割」についての記述を以下に引用して紹介したい。
 食事には栄養の補給(1次機能)、味覚を楽しむ、満足感を得る(2次機能)、病気予防や症状の改善(3次機能)という3つの機能があり、サプリメントはこのうち1次機能と3次機能を補うものです。
 毎日の食事では不足しがちな栄養素を補うことに加え、カルシウムとマグネシウム、ナトリウムとカリウムなど体内での栄養のバランスを整える、体質や環境に合わせた機能性成分を補給する?などがサプリメントを摂取する目的である。
 この部分について、前半部では「食事とサプリメントの関係」、後半部では「サプリメント摂取の目的」を理解することができるのではないだろうか。
 本書は、一般的なニーズに対応することを目的としていることから、内容について大変理解しやすいだけでなく、「指導者の選手に向けた配布資料作成時の参考文献」としても参考になる一冊になるのではないかと考えている。「指導対象への伝達方法」という側面からも学びを得ることができる。
(南川 哲人)

出版元:法研

(掲載日:2012-10-16)

タグ:サプリメント 
カテゴリ
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アクティブIDストレッチング Active Individual Muscle Stretching
鈴木 重行 平野 幸伸 鈴木 敏和

 身体各部の個々の筋肉(individual muscle)のストレッチング方法を紹介しており、第1章アクティブIDストレッチングの概論、第2章アクティブIDストレッチングの実際の2つで構成されている。
 第1章でのアクティブIDストレッチングの基本概念は、同シリーズの「IDストレッチング第2版」と共通するようだ。第2章では各筋群について、機能解剖の基本事項と具体的な伸張方法が紹介されている。1つの部位について、多方向から撮影されているだけでなく、具体的にどの方向に伸張するのかが矢印で適切に誘導されているため、読者の立場からすると大変イメージがしやすい。これは、専門職としてのストレッチングの能力を高めるだけでなく、わかりやすい資料づくりという側面からも大変有効な一冊であろう。
 近年、トレーニング方法と同様にストレッチングの方法についてもさまざまな方法が紹介されている。本書のように個々の筋肉に焦点を当てたストレッチングの方法や筋肉の連結に焦点を当てたもの、読者のライフスタイルに焦点を当てたもの、治療家の治療環境に焦点を当てたものなどさまざまである。大切なことは、その方法について、どのような観点から物事を考察しているのかを理解し、その特徴を適切に捉えることだろう。そして、クライアントの状況やストレッチングを行う環境などからベターな方法を見出し提供できるということである。そして、そのような視点から検討を進めると、改めて基本というものに立ち戻るときがくるときがくのではないだろうか。それは、螺旋階段を1周昇るような質の変化が生じているように感じる。なぜなら、応用や新たな発見というものは、既存の概念や基本事項の組み合わせによって生まれる場合が多いからである。そのようなとき、本書は基本に立ち戻る大きな助けになるであろう。専門職として、常にそばに置いておきたい一冊である。
(南川 哲人)

出版元:三輪書店

(掲載日:2012-10-16)

タグ:ストレッチング 
カテゴリ ストレッチング
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競技志向と健康志向のスポーツ科学
宮下 充正

 2009年に発刊された。そして、スポーツ科学の新しいパラダイムを展望しようとしたものであると著者は記している。このことは、本書全体の構成からも理解できるものである。
 本書の特徴は、序章、1章、終章であろう。まず序章では、スポーツ科学における本質的な課題に触れている。それは、遺伝的要因と環境的要因である。スポーツの活動能力は、前者にとってどの程度決められるのか、後者にとってどの程度改善可能なのかを検討している。このような課題を踏まえて1章に進む。スポーツ科学のこれまでの歩みである。温故知新ということであろう。そして、2章~6章は、トレーニングの専門的領域に関連する分野である。これが大変わかりやすい。とくに、ポイントを絞った図解は、各章の図解を追うだけでもその章の全体像をつかむことができる構成になっているようである。これは、これから専門職を目指す読者だけでなく、現場で活動する専門職にとっても大変役立つだろう。最後に終章である。スポーツというものを多面的に検討している。
 本書を通じて、学際的研究という言葉が思い浮かぶ。研究対象となるものが、複数の学問的領域に関連し、それらが総合的かつ協調的に進むことである。スポーツの高度化や大衆化が進む現代のスポーツにおいて、単独の学問的領域だけでは読み解けない部分が大きくなってきていて、飽和状態にあることが著者のメッセージとしてあるのではないだろうか。このような考え方は、スポーツ指導者、スポーツ部門におけるリーダーなどが持つべき観点の1つではないかと感じる。スポーツ科学を局所的な視点だけでなく大局的な視点からも検討するうえで大変役立つ一冊である。
(南川 哲人)

出版元:杏林書院

(掲載日:2012-10-16)

タグ:スポーツ科学 
カテゴリ スポーツ医科学
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著者
Mel Boring American Medical Association C.B. Mordan 島沢 優子 日本スタビライゼーション協会 足利工業大学・健康科学研究室 銅冶 英雄Adrian WealeAlan GoldbergAndrea BatesAndrew BielAnne KeilAviva L.E. Smith UenoBernd FalkenbergBoris I.PrilutskyBrad Alan LewisBrad WalkerCarl PetersenCarole B. LewisCarole B.LewisCaroline Corning CreagerChad StarkeyChampagne,DelightCharland,JeffChartrand,JudyChris JarmeyClive BrewerDaniel LewindonDanish,StevenDavid A. WinterDavid BorgenichtDavid E. MartinDavid EpsteinDavid GrandDavid H. FukudaDavid H. PerrinDavid JoyceDavid SumpterDavies,George J.Digby, MarenaDonald A. ChuDonald T KirkendallEddie JonesElizabeth Best-MartiniEllenbecker,Todd S.Everett AabergF. バッカーFrank BakkerG. Gregory HaffG.D.ReinholtzGeorge BrettGray CookGregory D. MyerH・ミンツバーグIñigo MujikaJ.G.P.WilliamsJ.W.SchraderJWS「女性スポーツ白書」作成プロジェクトJacqui Greene HaasJamJames C. RadcliffeJames StudarusJari YlinenJeanne Marie LaskasJeff BenedictJeff CharlandJeff LibengoodJeff RyanJennifer Mather SaulJerry LynchJiří DvořákJohn GibbonsJonathan PrinceJoseph C. MaroonJoshua PivenJulian E. BailesJ・ウィルモアKahleKarim KhanKarin WiebenKim A. Botenhagen-DiGenovaKim A.Botenhagen-DiGenovaL.P.マトヴェーエフLawrence M.ElsonLeon ChaitowLeonhardtLeslie DendyLorne GoldenbergM. デュランM.J.SmahaMarc DurandMarilyn MoffatMark PerrymanMark R. LovellMark VerstegenMattyMcAtee,Robert E.Megan HineMelvin H. WilliamsMichael GleesonMichael J. AlterMiguel Angel SantosMurphy,ShaneM・ポラックNPO法人日本ライフセービング協会Nadia ComaneciNational Strength and Conditioning AssociationNina NittingerNorm HansonOg MandinoP.V.カルポビッチPOST編集部Pat ManocchiaPaul L. GreenhaffPete WilliamsPeter BruknerPeter N. CoePeter TwistPeter WoodPetitpas,Al.PlatzerR. ザイラーR.H.エプスタインR.J.CareyR.N.シンガーRainer MartensRaymond M. NakamuraRein TideiksaarRene CaillietRichard BrennanRichard GoldRobert C. FarentinosRobert E. 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KraemerWynn KapitY. ヴァンデン‐オウェールYves Vanden Auweele「運動器の10年」日本委員会いとう やまねかわむら ふゆみけいはんな社会的知能発生学研究会ふくい かなめまつばら けいみづき 水脈みんなのスポーツ全国研究会わたなべ ゆうこアタナシアス テルジスアタナシアス・テルジスアダム フィリッピーアテーナプロジェクトアメリカスポーツ医学会アメリカスポーツ医学協会アメリカ医師会アレックス・ハッチンソンアンゲリカ・シュテフェリング エルマー・T・ポイカー ヨルグ・ケストナーアンドリュー ブレイクアンドリュー・ゴードンアンドリュー・ゾッリアンドリュー・ビエルアンバート・トッシーアン・ケイルアン・マリー・ヒーリーイチロー・カワチイヴ・ジネストウイリアム ウェザリーウサイン・ボルトウドー アルブルエディー・ジョーンズエドワード・フォックスエバレット アーバーグエリザベス ノートン ラズリーカイ・リープヘンカミール・グーリーイェヴ デニス・ブーキンカルロス 矢吹カレン・クリッピンジャーカーチ・キライカール・マクガウンキム テウキャロリン・S・スミスキャロル・A.オ-チスクラフト・エヴィング商會クリス カーマイケルクリス ジャ-メイクリストフ・プノーグレン・コードーザケイトリン・リンチケニー マクゴニガルケネス・H・クーパーケリー・スターレットケン ボブサクストンゲルハルト レビンサイモン・ウィクラーサカイクサンキュータツオサンダー・L. ギルマンサンドラ・K・アンダーソンシェリル・ベルクマン・ドゥルーシルヴィア ラックマンジェア・イエイツジェイ マイクスジェイソン・R・カープジェイムズ・カージェニファー・マイケル・ヘクトジェフ ライベングッドジェフ・マリージェリー・リンチジェームス・M・フォックスジェームス・T・アラダイスジェームズ アマディオジェームズ・アマディオジェーン・ジョンソンジェ-ン・パタ-ソンジム・E. レーヤージャン=マリ・ルブランジュリエット・スターレットジョセフ・H・ピラティスジョン エンタインジョン・スミスジョン・フィルビンジル・ボルト・テイラースタジオタッククリエイティブスティーヴン・ストロガッツステファン 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書評者
三嶽 大輔(9)
三橋 智広(48)
上村 聡(4)
中地 圭太(19)
久保田 和稔(8)
久米 秀作(53)
今中 祐子(5)
伊藤 謙治(14)
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加藤 亜梨紗(1)
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塩多 雅矢(2)
塩崎 由規(1)
塩﨑 由規(52)
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大洞 裕和(22)
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山下 大地(3)
山下 貴司(1)
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山際 政弘(3)
岡田 真理(1)
島原 隼人(1)
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平松 勇輝(5)
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戸谷 舞(3)
打谷 昌紀(2)
曽我 啓史(1)
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月刊トレーニング・ジャーナル(16)
月刊トレーニング・ジャーナル編集部(758)
服部 哲也(9)
服部 紗都子(11)
村田 祐樹(4)
松本 圭祐(3)
板井 美浩(46)
柴原 容(5)
梅澤 恵利子(1)
森下 茂(23)
椙村 蓮理(1)
榎波 亮兵(3)
橋本 紘希(24)
橘 肇(4)
正木 瞳(1)
比佐 仁(1)
水浜 雅浩(8)
水田 陽(6)
永田 将行(6)
池田 健一(5)
河田 大輔(16)
河田 絹一郎(3)
河野 涼子(2)
泉 重樹(3)
浦中 宏典(7)
清家 輝文(71)
清水 歩(6)
清水 美奈(2)
渡邉 秀幹(6)
渡邊 秀幹(1)
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田口 久美子(18)
石郷岡 真巳(8)
磯谷 貴之(12)
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脇坂 浩司(3)
藤井 歩(18)
藤田 のぞみ(4)
西澤 隆(7)
越田 専太郎(2)
辻本 和広(4)
辻田 浩志(90)
酒井 崇宏(1)
金子 大(9)
鈴木 健大(6)
長谷川 大輔(3)
長谷川 智憲(40)
阿部 大樹(1)
阿部 拓馬(1)
青島 大輔(1)
青木 美帆(1)
飯島 渉琉(3)
鳥居 義史(6)