登山の体をつくる
大森 義彦
今年(2004年)3月まで高知大学教育学部で教授を務め、体育学・スポーツ科学を担当していた大森氏が書き下ろした山登りのための本。副題は“「歩きの達人」になるトレーニング講座”。
中高齢者の体力問題に焦点を当て、無理なくできるトレーニングをイラストつきで多数掲載、登山経験の有無を問わず体力向上のために知っておきたい内容である。また、クライミング経験を持ち、現在スキー登山を中心に活動している著者は、冬山に備えた耐寒能力の向上策やフリークライミング・山スキーの体力特性、登山に適した食べ物なども解説している。
著者は“「時は金なり」という格言があるが、「体力は金なり」もまた正しい”と語っている(あとがきより抜粋)。体力の向上はケガの予防につながるうえ、予定通りに登山ができればその後の時間を有効利用できる。それは日常生活でも変わらない。時間とお金を体力で節約する。そんな発想があってもよいのかもしれない。
(長谷川 智憲)
出版元:東京新聞出版局
(掲載日:2004-07-15)
タグ:登山
カテゴリ トレーニング
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呼吸入門
齋藤 孝
息を1つの身体文化と捉え、様々な活動を呼吸の面から考察しているのが本書である。20年にわたり呼吸の研究をしてきた齋藤氏の集大成ともいえる一冊。
齋藤氏が奨励するのは、自ら考案した「齋藤メソッド」という呼吸法である。3秒吸って、2秒止めて、15秒で吐くというもので、誰もが安全にかつ効果的に行える方法と説明する。時に「気」という言葉を用いて神秘的に捉えられ、カルト的な宗教団体に悪用されることもあるが、本書では「気というのは、あくまで呼吸の結果として生じるもの」と定義、意図的に語ることを避けている。呼吸を知ることは、気分のコントロールや集中力の持続、リラックスする方法を得る一方で、危険が伴う誤った認識を回避することにもなる。
呼吸を知り、呼吸を活かす。本書を通して、無意識に行われている呼吸を意識的に考えてみるのはいかがだろうか。
(長谷川 智憲)
出版元:角川書店
(掲載日:2004-07-15)
タグ:呼吸
カテゴリ 身体
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カンタンだから続けられる! 内臓脂肪ダイエット
岡部 正
副題は「生活習慣病を予防する!」。表題ではダイエットという言葉が使われているが、この本の主旨は生活習慣の改善。「こうすれば痩せる」と主張する多くのダイエット本とは異なり、「こうすれば、結果として痩せる」という視点で、生活習慣病を引き起こす内臓脂肪がつく原因を挙げ、その解決法を説いている。肥満・糖尿病専門医、岡部クリニック院長の岡部正氏が監修している。
第3章「内臓脂肪を減らす食習慣アドバイス」では、食習慣、仕事別に内臓脂肪が溜まる要因を説明し、何をすべきかアドバイスしている。この章で示された6つの食習慣と5つの仕事のタイプは、肥満に悩む人、あるいは肥満ではないと信じている人でも1つは当てはまるものがあるはずである。「かくれ肥満度チェック」の項目もあるので、こちらも参考にするとよいだろう。
本書では、「体重ではなく脂肪を落とす」「無理をして痩せようとしない」という2点が繰り返し強調され、簡単にできるストレッチやトレーニング方法、内臓脂肪がつきやすいメニュー&つきにくいメニューなど、運動・栄養についても言及している。
付録として、記録可能な食事日記・体重グラフ、全国版肥満外来・糖尿病外来・成人病予防外来のある病院リストもついており、各々の肥満状況に合わせて対策を練ることができる。痩せようと考えている人の背中を一押ししてくれる本。
(長谷川 智憲)
出版元:昭文社
(掲載日:2012-10-09)
タグ:食事 生活習慣病
カテゴリ 食
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まんがでわかる ランニング障害解決事典
小嵐 正治
フルマラソンを118回、ウルトラマラソンを57回完走するなど、走歴20年の実績を持つスポーツ整形外科医、小嵐氏が書いた本。まず「ランニング障害解決への扉」と題してランニング障害に共通している問題点を挙げ、以下、足先、下腿、膝など部位別に障害が紹介されている。
部位別の項では、実際にどのようにして痛みを伴うかを日常における友人などとのやりとりを交えてまんがで示し、それに合わせて「診断」「治療」「予防」方法が解説されている。そのため、自分がどんな症状にあり、何をすべきかを容易に知ることができる。
小嵐氏は「ランニングで健康な生活を送る」ことをモットーとしているそうだが、そういったライフスタイルを実現していくうえでも、障害とはうまく付き合っていく必要がある。本書は、ランナーを手助けしてくれる便利な一冊となる。
(長谷川 智憲)
出版元:ランナーズ
(掲載日:2012-10-09)
タグ:ランニング 部位別
カテゴリ スポーツ医科学
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アダプテッド・スポーツの科学
矢部 京之助 矢野 勝彦 中田 英雄
アダプテッド・スポーツ(adapted sports)とは、障害のある人や高齢者のスポーツを総称した言葉であり、その語源は、1970年代から英国圏で障害者の体育・スポーツを表す言葉として使われているAPA(adapted physical activity)からきている。60人を超える執筆者によって書かれたものを矢部京之助・矢野勝彦・中田英雄の3氏がまとめたもので、副題は「障害者・高齢者のスポーツ実践のための理論」。
編著者3氏は、まえがきに「アダプテッド・スポーツに関わる人たちのハンドブックとして役立つことを願う」と記しているが、健常者のスポーツに関わる人たちにとっても、改めて気づく、あるいは今後の活動に役立つ内容が含まれている。
「私とは関係ない」と考えずに、「何が関係しているか」という積極的に知る姿勢を持って一度目を通しておくとよいだろう。
(長谷川 智憲)
出版元:市村出版
(掲載日:2012-10-09)
タグ:アダプテッド・スポーツ
カテゴリ スポーツ医科学
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中高年のためのフィットネス・サイエンス
宮下 充正
放送大学教養学部教授で、(社)日本エアロビクスフィットネス協会会長、(社)日本ウォーキング協会副会長などを務める宮下氏が上梓した本。身体運動と健康とを結びつける『フィットネス』という概念を中心に、中高齢者に適した平均的な運動プログラムを科学的根拠に基づいて紹介している。
第1章「フィットネスの運動生理学的基礎知識」に始まり、「まずは、ストレッチング・エクササイズ」(第2章)、「手軽にできるウォーキング」(第3章)、「ランニングはほどほどに」(第4章)、「だれでもできる水中運動」(第5章)、「力強さの向上 レジスタンス・トレーニング」(第6章)、「肥満を予防し、減量を目指す」(第7章)と続き、第8章の「高齢者のフィットネス」で締めくくられている。
これから運動を始める、あるいは運動をしているが正しい方法がわからないという中高齢者には特に役立つ内容になっている。巻末にある用語解説がより知識を深めさせてくれる。
(長谷川 智憲)
出版元:大月書店
(掲載日:2012-10-09)
タグ:中高年 フィットネス
カテゴリ スポーツ医科学
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乳幼児期の健康
前橋 明 田中 光
西日本法規出版発行による健康福祉シリーズの第2弾。身体、こころ、運動機能の発達から、歯科保健、安全対策、生活習慣まで、乳幼児期の子どもの健康について様々な角度から考察されている。早稲田大学教授の前橋明氏が監修、洗足学園短期大学幼児教育科専任講師の田中光氏が編著した一冊。
「最近の子どもは……」と不満を言うことが口癖になっている方もいると思うが、著しく変化しているのは子ども自身ではなく、置かれている環境であると言えるだろう。乳幼児期であっても、両親が共働きであるなどの家庭事情があれば、「食卓にレトルト食品が並ぶ」「夜型の生活を強いられる」など健康に育つとは言いがたい環境を受け入れざるを得ない。
子どもの都合に合わないことが増えていて、その結果が身体とこころに現れているのは事実である。しかし、誰が、何が悪いと考える前に、子どもに何が起きているかをまず知る必要がある。本書では、問題点を指摘するだけでなく、子どもを健康に育てるために必要な情報を数多く紹介している。
前橋明監修、田中光編著
(長谷川 智憲)
出版元:西日本法規出版
(掲載日:2012-10-09)
タグ:健康 発達
カテゴリ その他
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ストレスに負けない脳
ブルース マキューアン エリザベス ノートン ラズリー 星 恵子 桜内 篤子
副題は「心と体を癒すしくみを探る」。そもそもストレス反応は「闘争か逃走か」反応とも呼ばれ、緊急事態など状況の変化に対応することができる防御機構の1つである。しかし、ストレスが溜まる、あるいはストレス状態が慢性的に続くと有害になり、病気を悪化させてしまう。本書では、緊急に反応する防御の作用に「アロスタシス」、悪影響を及ぼす作用に「アロスタティック負荷」という言葉を当て、ストレスについて脳科学の視点から解説している。
第8章「ストレスに負けない生活」では、アロスタティック負荷を経験する必然性はないと語ったうえで、からだに危害を加えるものではなく保護的に働かせる方法として、運動、ヘルシーな食事、快眠、適度のアルコール、禁煙などを挙げている。不規則な生活や人間関係などが負の影響を与えるストレスの原因になることは間違いないが、その結果陥りがちな暴飲・暴食、睡眠不足は、さらにアロスタティック負荷を招くことになる。
序文を書いたスタンフォード大学のサポルスキー博士が「いい本は健康にいいという非還元主義的な事実があるが、本書はまさにそれに当たる」と評しているが、本書を通して健康になった気分になるから不思議である。
ブルース・マキューアン エリザベス・ノートン・ラズリー著、星恵子監修、桜内篤子訳
2004年9月15日刊、2310円
(長谷川 智憲)
出版元:早川書房
(掲載日:2012-10-09)
タグ:脳 ストレス
カテゴリ 生命科学
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健康運動プログラムの基礎
北川 薫
健康運動を科学的に考えるうえでの一助となるこの本は、中京大学大学院研究科運動生理学研究室にて研究をまとめた研究者が博士論文を基礎にして執筆したものを、同研究室の北川教授が編集している。副題は『陸上運動と水中運動からの科学的アプローチ』。北川教授が執筆した第1章「健康と運動」に始まり、第2章以下、陸上運動と水中運動の2部構成によってまとめられている。
本書では、「健康とは身体的、精神的および社会的に完全に良好であって、単に疾病や虚弱ではないというだけではない」という1946年に作成されたWHOの定義に触れ、運動を身体的側面からだけでなく、精神的、社会的側面を含めて考えるべきだと主張する。加えて、ストレッチ体操やマラソンなどが社会一般ではその特性が理解されずに混同されている点を挙げ、体力への理解も健康づくりには不可欠であると記している。
運動をするうえで、まずは個々人が必要とする体力、理想とする健康をしっかり把握する必要がある。本書が示す科学的な根拠は、身体、精神の両面を向上させる健康づくりに役立つものとなるだろう。
2005年6月13日刊
(長谷川 智憲)
出版元:市村出版
(掲載日:2012-10-09)
タグ:健康 運動処方 生理学
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ外傷・障害評価ハンドブック
Chad Starkey Jeff Ryan 中里 伸也
StarkeyとRyanの両氏の執筆による“Evaluation of Orthopedic and Athletic Injuries”の手引書として出版された“Orthopedic and Athletic Injury Evaluation Handbook”を翻訳したのが本書である。携帯に便利なハンドサイズで作成されている。
400頁を超える本書では、広範囲にわたる臨床整形外科とスポーツ傷害の検査を実施するうえで必要とされる適切な知識と技術の説明に加え、評価課程にある問診、視診、触診、関節可動域テスト、靱帯の(ストレス)テスト、スペシャルテスト、神経学的テストを系統的に、かつ詳細に解説している。各節では、各部位ごとにこれらのテストの実施方法や一般的なテスト変法、テスト陽性の意味に触れているほか、頭部傷害、熱中症、心肺の状態、皮膚病も網羅しており、付録として上肢と下肢の反射テスト、筋長の評価、下肢の機能テストも紹介されている。持ち運びが容易なうえ、充実した内容の一冊である。
Chad Starkey・Jeff Ryan著、中里伸也監訳
2005年5月20日刊
(長谷川 智憲)
出版元:ナップ
(掲載日:2012-10-09)
タグ:評価 スポーツ外傷 テスト
カテゴリ スポーツ医科学
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救急救命士 病院までの主役たち
国士舘大学体育・スポーツ科学学会
国士舘大学体育・スポーツ科学学会の発行によるスポーツ・システム講座シリーズの第7弾で、副題は「救命救急士教育のあり方」。
「救急救命士と救急医の連携の未来」島崎修次(日本救急医学会理事長、杏林大学医学部救急医学科教授)、「MC体制下における救急活動現場と大学機関の連携」鈴木正弘(東京消防庁 救急部長)、「救急救命士の現状と将来像」佐藤陽次郎(厚生労働省 医政局指導課課長補佐)、「救急救命士大学教育の将来展望」田中秀治(国士舘大学体育学部スポーツ医科学科教授)の4氏の話が収録され、4氏による総合ディスカッション「救急救命士の現況と将来を見据えた救急救命教育のあり方」で締めくくられている。
救急件数の増加に伴い救急救命士をもっと供給する必要がある一方で、その質を落すことなく数を増やす教育環境の整備が求められている。どういった教育がなされるべきなのか。この本は多くの問題を提起している。
国士舘大学体育・スポーツ科学学会発行
アイオーエム発売
2005年4月20日刊
(長谷川 智憲)
出版元:アイオーエム 国士舘大学体育・スポーツ科学学会
(掲載日:2012-10-09)
タグ:救急救命
カテゴリ 医学
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こころと体に効く漢方学
三浦 於菟
東邦大学附属大森病院・東洋医学科教授の三浦氏が、漢方学の基本と実際を紹介した本。第1章「漢方外来へようこそ」では便秘、下痢、風邪、更年期障害、花粉症など症状別に患者との問診のやりとりを再現し漢方の処方例を挙げ、第2章「東洋医学の生命観」ではその考え方を、第3章「Q&Aあなたの悩みに漢方学が答えます」ではさまざまな患者の悩みと、東洋医学的なアドバイス方法を記している。
現代はストレスの多い時代と言われているが、こころの問題がからだに影響を及ぼしていることは多くの人が実感しているだろう。漢方を始めとする東洋医学では、年齢や生活習慣、季節、住環境などの要因から、こころの問題を含めてひとりひとりの体質・症状に合わせた治療を施し、症状を起こさない、つまり「未病」のうちに「養生」して健康を維持する手助けをしてくれる。
からだの不調はあるけど、病院に行くほどではない。しかし、気になる。漠然とした不安やつらさを持っている人には、まず手にとってほしい本である。
2005年5月25日刊
(長谷川 智憲)
出版元:新潮社
(掲載日:2012-10-09)
タグ:東洋医学 漢方
カテゴリ 身体
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患者術
鱸 伸子
月刊スポーツメディスン74号の特集記事に登場していただいた鱸氏が書いた患者に向けたコーチングの本。皮膚粘膜、眼、外陰部、血管等に急性炎症を繰り返す慢性疾患「ベーチェット病」の患者としてコーチングを受けた経験を持つ同氏が、コーチとして、そして「元患者」としての立場からその活用法を解説している。副題は『賢い患者になるための会話テクニック』。
コーチングは、聞くことを通して相手の目標やその達成手段をその人自身の言葉に引き出すスキルで、近年ビジネスの世界で新しい概念として導入されている。医療の世界でもスタッフ間のコミュニケーションを円滑にすることなどを目的に取り入れられているが、鱸氏は患者自身にもコーチングを活かせると主張する。本書は鱸氏の体験をもとに構成されており、体験を綴った第5章「ずっと病気と付き合わなくてはならなくなったら<例えば、私の場合>」を始め、患者自身が実感を持って読める内容である。
2005年8月30日刊
(長谷川 智憲)
出版元:枻出版社
(掲載日:2012-10-09)
タグ:コーチング 患者
カテゴリ 指導
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医師が実践する保存療法SPAT
鹿島田 忠史
誠快醫院院長、鹿島田医師が開発した短時間骨盤矯正法SPATをまとめた本。SPATは橋本敬三医師(1897~1993)の筋骨格系のバランス回復法を中心とした健康法・医療哲学「操体法」を近代西洋医学、東洋医学、代替療法などの区分をせずに治療に取り入れ発展させたものである(詳しくは月刊スポーツメディスン72号を参照)。
本書は、第1章「SPATとは」に始まり、第2章「SPATの実際」、第3章「SPATの適応」、第4章「SPATを取り入れた治療の実際」、第5章「セルフSPAT―患者が自分でできる骨盤自己矯正法」と続き、第6章「健康のキーワード『息・食・動・想+環』」で締めくくられる。SPATを構成する「動診」「SPATバランス法」「SPAT骨盤矯正法」を中心に解説している。
鹿島田医師は『感覚』が最先端のセンサーであると捉えているが、常にからだの感覚を大事にし、その感覚に基づいた行動をする必要があると言えるだろう。本書はDVDも付いている。さまざまな治療に先立ってSPATを実践し、その後の治療を受け入れやすい準備をしてみてはいかがだろうか。
2005年6月28日刊
(長谷川 智憲)
出版元:ダイナゲイト
(掲載日:2012-10-10)
タグ:SPAT
カテゴリ その他
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38歳から始めるストレッチゴルフ
森永スポーツ&フィットネスリサーチセンター 和田 洋明 内田 智美
副題は『飛距離アップから腰の痛み軽減まで』。
ミドルエイジを対象に、スキルアップではなくゴルフにおける肉体的なパフォーマンスの向上に主眼を置いた本である。傷害予防につながるからだづくりを「ストレッチング」「筋力トレーニング」「正しい生活習慣」の3つの観点でまとめている。
Chapter1ではラウンド前・中・後にできるストレッチングをシチュエーション別に、Chapter2では自宅でできるストレッチングを部位別に、Chapter3では正しい食習慣のコツ、サプリメントの活用法などを取り上げ、Chapter4には飛距離アップや腰痛予防につながるトレーニング、ウイダー・トレーニングラボが提案するゴルファーのためのトレーニングプログラムを紹介している。
どのスポーツにも言えることであるが、スキルの支えるのはその人の身体能力である。この本は、生涯スポーツとしてゴルフを楽しむうえで欠くことのできない内容と言える。
2005年3月10日刊
(長谷川 智憲)
出版元:森永製菓健康事業部
(掲載日:2012-10-10)
タグ:ゴルフ ストレッチング 健康 トレーニング
カテゴリ 運動実践
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武道の心で日常を生きる
宇城 憲治
沖縄古伝空手心道流実践塾・身体脳開発メソッド実践スクール「UK実践塾」を主宰し、由村電器常務取締役、東軽電工代表取締役、加賀コンポーネント代表取締役等を歴任し最先端の技術開発に携わった経験を持つ宇城氏が、自身の経験から日常に生きる武道の心を説いている。
一貫していることは「頭で考えるのではなく身体で覚える」ということ。宇城氏はそれを「身体脳」と表し、随所に武道でのからだの使い方を紹介、ちょっとした違いが与える変化について解説している。また、「知識では器は大きくなりません。偉そうにする人は器が小さい。小さい人ほど器を大きく見せようとします」と言い、自己主張だけでなく哲学を自分の中に持つこと、文化を通して哲学を学ぶことの重要性を指摘する。 本書は、日本の文化である武道をわかりやすく、かつ今に活かせる形で示している。日々の生活を振り返る意味でも、ぜひ読んでほしい本である。
2005年4月20日刊
(長谷川 智憲)
出版元:サンマーク出版
(掲載日:2012-10-10)
タグ:武道
カテゴリ 身体
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フィーメールアスリートバイブル
鳥居 俊
女性アスリートの診療やサポートに携わってきた早稲田大学スポーツ科学学術院の鳥居先生を始め、13人の執筆陣が書いた本。
日本のスポーツにおいて、指導者は以前として男性が多く、女性の身体をきちんと理解した女性の指導者はいまだに多くはないという現状もある。この本では、女性アスリートやその指導者、女子アスリートをサポートするすべての人に読めるような内容として、外科系、内科系、婦人科系などの医学面、精神医学を含めた心理面、体力科学面、栄養学面、さらに社会的側面、ジェンダー問題と幅広い分野を網羅している。
副題は『スポーツをする女性の健康のために』。鳥居氏が前文で「増加する女性アスリートのスポーツ医科学、社会的問題をきちんとまとめておくことは重要である」と記しているように、サポートする側も女性が置かれる環境、抱える問題を認識しておく必要がある。
2005年11月25日刊
(長谷川 智憲)
出版元:ナップ
(掲載日:2012-10-10)
タグ:女性
カテゴリ スポーツ医科学
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高齢者の機能アップ運動マニュアル
Elizabeth Best-Martini Kim A.Botenhagen-DiGenova 小室 史恵
Elizabeth Best-Martini、Kim A. Botenhagen-DiGenovaが著した「Exercise For Frail Elders」の日本語版。虚弱高齢者および特別なニーズを持つ人のためのエクササイズプログラムの計画・実施方法が紹介されている。副題は『疾病・障害のある高齢者にも安全なエクササイズ』。
計画をテーマとした第1部では、参加者、エクササイズプログラム、フィットネスリーダーについて、実施をテーマとした第2部では、初めにウォームアップを、心血管系持久力のためのエアロビックエクササイズ、筋力と筋持久力を鍛えるレジスタンスエクササイズ、クールダウン、エクササイズプログラムの作成についてそれぞれ解説している。
とくに第2部は高齢者がモデルとなった写真でエクササイズが示され、詳しく書かれた安全に行うためのヒントは参考になる点も多い。
Elizabeth Best-Martini、Kim A.Botenhagen-DiGenova著、小室史恵監訳
2005年8月8月刊
(長谷川 智憲)
出版元:ナップ
(掲載日:2012-10-10)
タグ:運動指導 高齢者 トレーニング
カテゴリ スポーツ医科学
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中高年・疾病予防(健康づくり)のための運動の実際
愛知医科大学運動療育センター 丹羽 滋郎 野口 昌良
中高齢者の生活習慣病、各種疾病予防に視点を置き、運動の実際について疾患別に疾患の概要、目的、評価、方法、期待できる効果、注意すべき点を紹介しているのが本書である。循環器疾患、代謝系疾患、運動器疾患、運動器系疾患、小児科疾患、産婦人科系、その他として関節リウマチを取り上げている。監修を担当しているのは、月刊スポーツメディスン76号の特集「機能向上エクササイズ」に登場していただいた丹羽先生。
本書では、健康づくりのキーワードとして(1)己を知る(自分の健康状態を知る)、(2)自分の目標は何か(目標のためにどんな体力が必要か)、(3)適正な運動処方(目標に適した運動強度、量、時間)、(4)継続性(健康づくりは一朝一夕では成し得ない)の4点を挙げ、十分な動機づけをしたうえで障害の発生を予防しながら指導していくことが不可欠であると指摘する。
付録として愛知医科大学運動療育センターで実際に行っているメディカルチェックの各項目の説明、結果表も掲載されており、健康づくりの実際の現場で役立つ内容となっている。
愛知医科大学運動療育センター編集、丹羽滋郎、野口昌良監修
2005年10月10日刊
(長谷川 智憲)
出版元:全日本病院出版会
(掲載日:2012-10-10)
タグ:運動処方 トレーニング 高齢者 メディカルチェック
カテゴリ スポーツ医科学
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寝たきりにならないための転倒骨折予防術
林 泰史
月刊スポーツメディスン69号の特集『骨を鍛える』に登場いただいた東京都老人医療センターの林院長が監修した本。第1章「転ばぬ先の知識と生活」では骨折危険度チェックシートを始め転倒の要因と予防法を、第2章「骨もからだも元気になる食生活」では骨を強くする食材やレシピを、第3章「骨折予防ワーク」では誰でも簡単にできる骨を鍛えるためのエクササイズがそれぞれ解説されている。
高齢者の骨粗鬆症は増え続け、寝たきりになる原因として70歳以上で3位、90歳以上の女性では1位が骨折となっている。林院長は「生涯骨元気のススメ」の項にて、「『骨抜き』では命が成り立たない」と述べ、骨を丈夫にするポイントとして(1)不摂生をしないでよく歩く、(2)乳製品、小魚、大豆加工品と野菜をよく摂る、(3)日光にほどよく当たるの3点を挙げる。骨折→動けない→気力が失せる→寝たきりの悪循環にならないよう、骨を意識した食事・運動を取り入れていきたいものだ。
2005年7月1日刊
(長谷川 智憲)
出版元:家の光協会
(掲載日:2012-10-10)
タグ:高齢者 転倒予防
カテゴリ スポーツ医科学
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関節痛
順天堂大学医学部
順天堂のやさしい医学(全12冊)の第9巻となる本書は、順天堂大学が開催している「都民公開講座」の内容に新しい研究等を加えてまとめたものである。
副題は『つきあい方と治療法』。黒澤尚氏(順天堂大学医学部整形外科学教授)の「膝の痛みとつき合う」、橋本博史氏(順天堂越谷病院院長)の「関節リウマチとつき合う」、星野雄一氏(自治医科大学整形外科学教授)の「腰痛とつき合う」、武藤芳照氏(東京大学大学院教育学研究科教授、東京厚生年金病院整形外科客員部長)の「関節痛と水中運動」とともに、公開講座で行われた質疑応答が収められている。
4氏が共通して指摘しているのは、日常生活に適度な運動を取り入れることによって関節痛を軽減、改善できるということで、具体的な運動方法も示されている。運動により痛みが悪化することも考えられるが、いつ、どんな運動を行えばよいかについても本書では随所に解説している。関節痛とうまくつき合い、かつ健康的な生活を送るうえで参考にしてほしい一冊である。
2005年6月5日刊
(長谷川 智憲)
出版元:学生社
(掲載日:2012-10-10)
タグ:関節痛 トレーニング 水中運動
カテゴリ スポーツ医科学
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シェパード老年学 加齢・身体活動・健康
Shephard,Roy J. 柴田 博 新開 省二 青柳 幸利
加齢学、老年医学を専門としているトロント大学教授のシェパード博士によって上梓された『Aging, Physical Activity, and Health』の日本語版。人口学、老年社会学、経済学などを含め学際的に広い領域をカバーしている。
本書は3部で構成されている。第1部では高齢者を定義し、生物学的年齢と寿命の個人間における差において性、遺伝、経済的影響および身体活動がどう寄与しているかを考察、第2部では高齢者の定期的な身体活動と健康の相互作用を検討している。また、第3部では高齢化社会の経済的および社会的影響についてまとめている。
「生体機能が低下することに対する魔法の解決策は与えられていない。たとえ身体的に活発な個人であっても老化はしつづけるであろう」とシェパード博士は序文で触れているが、「定期的な身体活動あるいは適度なトレーニングにより、生理的な作業能力を10~20年遅らせることができる」とも言う。本書は高齢者の身体活動にも重点が置かれている。運動指導やリハビリ等の関係者には目を通してほしい内容である。
ロイJ.シェパード著、柴田博・新開省二・青柳幸利監訳
2005年8月10日刊
(長谷川 智憲)
出版元:大修館書店
(掲載日:2012-10-10)
タグ:老年学 加齢 トレーニング 健康
カテゴリ 医学
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坐のはなし
森 義明
「歩く」ことについては健康への関心の高さから多くの研究がされているが、それと比較すると「坐る」ことについての研究は少ない。著者の森氏は、膝障害における正座の有効性の有無について明らかにするという医学的な分野から「坐る」ことに着目しているが、本書は坐りの文化について言及、現在の日本人の「坐る」ことの意義についてまとめている。
副題は『坐りからみた日本の生活文化』。「坐る」を“尻(坐骨結節)で上体を支える”ことと捉え、「坐の習慣」「坐の変遷」「国々、宗教と坐り」「『坐』の種類」「坐りと身体」「坐具」「『坐』の分類」の各項目で考察されている。
坐りにはざまざまな型があり、それぞれ休息、礼儀、構えなどの異なる目的がある。現在では移動中でも坐っていることが多い。環境によって変化する坐り方が身体にどのような影響を与えているのか。「坐る」ことにももっと目を向ける必要がありそうだ。
2005年6月20日刊
(長谷川 智憲)
出版元:相模書房
(掲載日:2012-10-10)
タグ:日本文化 坐る
カテゴリ 身体
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温泉教授の湯治力
松田 忠徳
日々の生活や運動後、疲労やストレスを感じたときに行きたいなと思うのが温泉である。誰に教わったわけでもないが、温泉の魅力は不思議と日本人のこころを引きつける。この本は、温泉教授として、またモンゴル研究家としても著名な松田氏が伝統的な「湯治」について紹介している。副題は『日本人が育んできた驚異の健康法』。
第1章「湯治は日本人の『ヴァカンス』だ!」は、江戸時代から現在までの湯治にまつわる歴史とトピックについて、第2章「湯治の本質は『ホンモノの温泉』にあり」は温泉定義や効能について、第3章「現代版・湯治指南――宿の選び方、湯治場での過ごし方」には湯治の実践的な要点が記されている(松田氏が薦める全国の温泉宿145選も収録)。
湯治は、お湯につかることを目的に温泉場に滞在し時を過ごすことであるが、現在は観光旅行の一環として温泉地を訪れることが主流となっている。その一方で、がんなどの難病を治すことを目的に湯治客として温泉場に長期滞在する人も増えている。健康づくりの一手段として、運動や食事による日常生活の改善に加え、湯治もうまく活用したいものだ。この本を読むと、「温泉に行きたい」という思いが一層強くなる。
2005年12月20日刊
(長谷川 智憲)
出版元:祥伝社
(掲載日:2012-10-10)
タグ:温泉
カテゴリ その他
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変形性膝関節症の運動・生活ガイド 第3版
杉岡 洋一 黒澤 尚 武藤 芳照 伊藤 晴夫
副題は『運動療法と日常生活動作の手引き』。第3版には黒澤尚・順天堂大学教授が編者に加わり、97年に出版された第1版、99年に出版された第2版の内容を骨格としながら、最新の研究成果で得られた科学的根拠に基づく運動療法プログラムや健康情報への対応の仕方などをQ&A形式で解説している。
「日常生活の中で治していけますか」という問いについては、関節軟骨が磨り減っていくという原因を直接治す根本的治療法がまだないこと、変形性膝関節症が高血圧症や糖尿病などの生活習慣病の1つであることに触れ、「自分でやれることは自分でやっていく」という心構えが必要であるとしている。そのやれること、注意点を示しているのが本書であり、痛みの出ない階段昇降や杖の選び方・使い方、日常様式の工夫など日常生活にすぐに活かせる事柄も取り上げている。
変形性膝関節症は適切な運動によって改善や進行を予防することにもつながるが、それぞれの人に適した方法で運動を行わなければ逆に症状を悪化させることにもなる。やれることをやる前に、まず本書を一読しておくとよいだろう。
杉岡洋一監修、黒澤尚、武藤芳照、伊藤晴夫編集
2005年11月1日刊
(長谷川 智憲)
出版元:日本医事新報社
(掲載日:2012-10-10)
タグ:変形性膝関節症
カテゴリ 医学
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百歳まで歩く
田中 尚喜
スポーツメディスンNo. 78特集にも登場いただいた東京厚生年金病院理学療法士の田中氏が、中高年以降から筋力を維持するためのトレーニングを紹介している本。
第1章にて筋肉について解説し、第2章より「年代別筋力向上トレーニングプログラム」「筋肉別筋力回復トレーニング」「腰痛・膝痛の再発予防トレーニング」「姿勢、歩き方を見直して『筋肉づくり』」と実践的な内容がまとめられている。トレーニング方法だけでなく、背中や膝が曲がり始めてからの運動についての考え方や補助具の使い方にも触れている。
田中氏は、整形外科を訪れる中高年世代の患者の大半が筋肉を「すじ」と表現することを紹介し、「すじ呼ばわりは、年齢とともに自分の筋肉を現役扱いしなくなる、深層心理の表れでもある」と指摘する。筋肉は身体器官や身体機能に比べて老化の影響が極めて少ない組織である。この本を通して筋肉が一生現役であることを認識し、百歳まで歩けるからだづくりをしていきたいものだ。
2006年1月10日刊
(長谷川 智憲)
出版元:幻冬舎
(掲載日:2012-10-10)
タグ:健康
カテゴリ トレーニング
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老いない体をつくる
湯浅 景元
中京大学体育学部の湯浅教授が、老いない体をつくるためのポイントをまとめている。副題は『人生後半を楽しむための簡単エクササイズ』。体力、持久力、筋力、柔軟性、敏捷性のつけ方を始め、物忘れしない脳やよく見える目、自立できる脚のつくり方について、エクササイズを紹介しながら解説している。
本書で勧められているのが、エンジョイ・エイジング。老いに対抗心を持つことがストレスを強めることもあることから、「老化から完全に解放されることがないのなら、思いきって老化を楽しんでみるのはいかがでしょうか」と提案する。
本書で取り上げられているエクササイズは、日常に無理なく取り入れることができるものばかりである。同氏の老化への捉え方は一貫して前向きであり、一読すれば健康で元気な生活を送るためのヒントが多く得られるはずである。
2005年6月10日刊
(長谷川 智憲)
出版元:平凡社
(掲載日:2012-10-10)
タグ:加齢 健康
カテゴリ 身体
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患者指導のための水と健康ハンドブック
武藤 芳照 太田 美穂 田澤 俊明 永島 正紀
日本全国における水不足は94年が記憶に新しい。そのときから飲料水としての水が注目され、今ではお金を出して購入することが当たり前の時代になった。その種類も多用で、消費者の水への関心は高い。「人のからだは水に満ちています」から始まる本書は、「水と健康医学研究会」での特別講演や一般研究発表を骨組みとし、同研究会のメンバーを中心に「水」についてアプローチしている。副題は『科学的な飲水から水中運動まで』。
ヒトと水との関係を基礎に、「正しい水の飲み方は?」「水の心理的効果は?」など患者が抱くであろう45の質問を取り上げ、医科学的な知見から人体にとっての水の意義について解説、健康増進、疾病の治療、予防、リハビリテーション、水に関わる外傷・疾病・事故、さらには入浴に至るまでわかりやすくまとめている。
本書は、私たちのからだと水が大きく関わっていることを改めて考えさせられる内容である。また、私たちの健康を水を通して考えることは、環境としての水への理解にもつながるだろう。
2006年3月30日刊
(長谷川 智憲)
出版元:日本医事新報社
(掲載日:2012-10-10)
タグ:水 水中運動 水分補給
カテゴリ スポーツ医科学
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サプリメントエビデンスブック
久保 明
2002年から04年までに医学専門雑誌に発表された主要なサプリメント文献を中心に編集した本。副題に『成分・疾患からみる研究論文』とあるように、15項目の成分編と10項目の疾患編から構成されている。この本では95の文献が紹介され、専門学会等が診療の質を高めるためにつくった「勧告案」、特定のテーマについて最近数年間の代表的な研究・論文を解釈した「レビュー」に加え、研究当初に立てられた仮説が確認されたもの・2つの因子、因子とイベント等に関係が認められたものを「ポジティブ」、いずれも確認されなかったものを「ネガティブ」、仮説の一部が確認され一部が否定されたものを「ポジティブ/ネガティブ」、どちらとも言えない結果になったものを「中間」と分類し、それぞれ研究対象、研究規模、研究方法、比較対照薬などを表にまとめ、要約と結論が示されている。
医療や運動指導の現場でサプリメントが話題になることは多いだろう。質問に答える1つの根拠として活用できる本である。
2006年3月25日刊
(長谷川 智憲)
出版元:じほう
(掲載日:2012-10-10)
タグ:サプリメント エビデンス
カテゴリ 食
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健康社会学への誘い
桝本 妙子
30年近くにわたり保健師として、また保健師の教育に従事している桝本氏の博士学位論文を加筆・修正したのが本書である。健康について社会学的に考えて行動することを「健康社会学」と定義し、健康社会学を保健師の地区活動に応用すると何ができるかを考察、理論、実態分析、実践提示を関連させて論じている。副題は『地域看護の視点から』。
本書の特徴は、1979年にアーロン・アントノフスキーが発表した「健康生成論」に着目している点である。第4章「健康生成論からみた地域住民の健康実態」では、同氏が開発した「調和の感覚尺度」(Sense of Coherence:SOC)を用い、都市部と都市部近郊の住民の健康実態を紹介している。ここではWHO憲章に基づく身体的・精神的・社会的健康、QOLとの比較検討もされており、健康生成論の有用性が示されている。少子高齢化に伴う健康問題において、「人間の生きる力そのものを強める発想、つまり『創る健康』が重要な考え方になってくる」と桝本氏は指摘するが、本書を通して「健康とは何か?」を再考させられる。
2006年3月20日刊
(長谷川 智憲)
出版元:世界思想社
(掲載日:2012-10-10)
タグ:健康
カテゴリ その他
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身体の仕組みがよくわかる からだマップ
Trevor Weston 伊藤 隆造 前島 徹
題名にあるように、身体の仕組みがよくわかる一冊である。「体の構造」「骨格系と皮膚」「筋系」「神経系」「内分泌系」「呼吸系」「心臓・血管系」「リンパ系」「消化系」「排泄系」「生殖系」の全11Chapterで構成され、巻末には用語集が収められている。
本書は医学的に十分でありながら簡潔さを保ちつつ、複雑なテーマをわかりやすい図解(カラー)とともに解説している。また、通常の解剖学の教科書では見られない話題、たとえば免疫反応、生化学的なホメオスタシス(恒常性の維持)、協調運動のような過程を統合して理解できるような内容も含まれている。
序文にて著者は「もし解剖学の知識があれば、健康に対して重要な洞察力が生まれます。(中略)医療に積極的にかかわっていく上でも重要です」と綴る。人体解剖学を勉強するテキストとしてはもちろんのこと、子どもへの教育における教材、人体の構造、病気の徴候の原因など疑問を抱えたときの参考書としても用いることができる。(H)
Trevor Weston他著、伊藤隆造、前島徹訳
2006年2月20日刊
(長谷川 智憲)
出版元:医道の日本社
(掲載日:2012-10-10)
タグ:解剖
カテゴリ 医学
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生老病死を支える
方波見 康雄
北海道空知郡奈井江町の開業医である方波見(かたばみ)医師が書いた本。40年にわたって地域医療に尽力してきた経験を織り交ぜながら、奈井江町による開業医診療所と町立病院の連携による開放型共同利用や自身の老いについての考え方、病気体験などを綴っている。副題は『地域ケアの新しい試み』。
方波見医院では、82歳で亡くなったある患者が残した「子どもを嫌うな/自分も来た道じゃ/老人をきらうな/自分も行く道じゃ」という書を外来待合室に掲げている。本書では、この言葉を紹介したうえで「わたしたちは、世代別に分断された人生を生きていて、うかつにも自分とは違う人生の段階(ライフステージ)を見知らぬふりをして暮らしているのである」と記し、忘れがちな人生の継続性と全体における自分自身の位置づけについて再考を促す。
一読するだけで、方波見医師の患者本位の姿勢とその熱意がひしひしと伝わってくる。“このような医師に診てもらいたい”と思わずにはいられなくなる。
2006年1月20日刊
(長谷川 智憲)
出版元:岩波書店
(掲載日:2012-10-10)
タグ:医療 地域医療
カテゴリ その他
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こころだって、からだです
加藤 忠史
「精神保健」「精神医学」に相当する内容のポイントを絞り、うつ病、双極性障害(躁うつ病)、統合失調症、性同一性障害、ADHD(注意欠陥多動障害)、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、摂食障害など症例を交えて解説している。
本書では“こころの病気”という言葉が便宜上使われているが、「こころが病気になってるんじゃない。どんな臓器も病気になる。脳に病気が起きると、こころの具合が悪く感じられる」と筆者は述べ、「病気は身体がなるものである」と明記している。こころの病気となると「がんばれ」の一言で終わってしまいがちである。からだの病気として精神疾患を認識する必要があると言える。
筆者の私見や、まだ多くの研究によって確認されていない新しい研究成果などが取り上げられているコラムは示唆に富んでおり、13章「こころの悩み」を「解決すべき方法」に変える方法、にある専門家が用いるPOS(Problem Oriented System)での治療計画の立て方は、抱える悩みを整理するうえで参考になるだろう。
2006年1月20日刊
(長谷川 智憲)
出版元:日本評論社
(掲載日:2012-10-10)
タグ:メンタル 心 悩み 身体
カテゴリ 医学
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身体の文化史
小倉 孝誠
近代フランスの文学と文化史を専門とする著者の『<女らしさ>はどう作られたのか』(法蔵館、1999)に次ぐ身体に関する著作が本書である。副題は『病・官能・感覚』。
「女性の身体とジェンダー」「身体感覚と文化」「病はどのように語られてきたか」の3部構成からなるこの本の特徴は、文学への身体論的アプローチを試みているという点である。主に近代フランスにおける身体とそれにまつわる欲望や快楽、感覚、病について、文学作品、回想録、医学書、衛生学関係の著作、歴史書、礼儀作法書などを基に考察している。日本の文学作品についても随所に出てくる。
文学において身体は常に取り上げられる要素であり、さまざまな作品を通じてその時代の身体の捉えられ方を知ることができる。病のくだりで「健康という、本来は私生活上の配慮であったものが、現代ではさまざまな行政と政治のメカニズムによって引き受けられるようになった」とあるが、そこに至る背景を読み解くうえでも参考になる。
2006年4月10日刊
(長谷川 智憲)
出版元:中央公論新社
(掲載日:2012-10-11)
タグ:身体 フランス 感覚 文化史
カテゴリ 身体
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好きになる睡眠医学
内田 直
講談社サイエンティフィックが編集する「好きになるシリーズ」の最新刊。早稲田大学スポーツ科学学術院教授で日本睡眠学会睡眠医療認定医師でもある内田氏が、眠りについてさまざまな視点からわかりやすく解説している。
副題は『眠りのしくみと睡眠障害』。第1部「睡眠のメカニズム」では夜間の睡眠の質や時間帯、昼間起きている際の行動が夜間の睡眠にどう影響しているかなど基礎的な知識を、第2部「睡眠の臨床」では、現在知られている睡眠障害の原因やメカニズム、治療法を取り上げている。
本書に紹介されている「国民生活の時間・2000 NHK放送文化研究所・編」によると、1960年当時8時間13分だった日本人の平均睡眠時間は、2000年には7時間23分と50分も短くなっている。必ずしも長く眠ればよいという話ではないが、健康づくりに休養が欠かせないことを考えると、運動、食事と合わせて睡眠にも気を配る必要がある。本書は、眠りの質を高め、睡眠障害を予防・改善したい人におすすめである。(H)
2006年6月1日刊
(長谷川 智憲)
出版元:講談社
(掲載日:2012-10-11)
タグ:睡眠
カテゴリ 医学
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神戸スポーツはじめ物語
高木 應光
4つの兵庫県立高校に勤務し、各校でラグビー部監督・顧問を歴任した著者が定年退職を機にまとめた本。当時の神戸におけるスポーツの「はじめ」を歴史的にアプローチし、ゴルフ、テニス、バスケットボール、ラグビーなどの競技を通して日本と諸外国との関係を描き出している。
「スポーツ」は明治初期に日本へ入ってきたとされ、その後、日清・日露戦争を経て「体育」に変容した。当時の神戸ではスポーツ本来の形が存在していたとされ、それは自分たちで会費、会員制を用いることによってクラブを運営する取り組みであり、その教育理念も「アスレティシズム」(スポーツによる人格の育成)の影響を受けていた。
日本においてスポーツ=体育と認識されがちであるが、本書は両者の異なる点を再考することができる。
2006年4月17日刊
(長谷川 智憲)
出版元:神戸新聞総合出版センター
(掲載日:2012-10-11)
タグ:歴史 神戸
カテゴリ その他
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遺伝子が解く! 万世一系のひみつ
竹内 久美子
動物行動学を専門とする竹内氏が素朴な疑問に答える週刊文春の連載をまとめた本。読者が寄せた55の質問とその回答を収めている。
最初に取り上げられている43歳男性の“(前略)男にとって女性のくびれは、いったいどんな意味を持っているのでしょうか”という質問では、「くびれたウエストは、妊娠していない(あるいはした経験がない)ことの証」という説をきっぱりと否定、くびれている女性が受胎しやすいこと、男性にとってくびれている女性が圧倒的に人気があることを示した研究を挙げ、「そもそも人間の女は、脂肪を如何に体にめりはりつけて蓄えるかを魅力にする動物なのです」と説く。38歳女性の飼い主とペットが似ているのがなぜかとの疑問には、人間が似たもの同士で惹かれる現象(アソータティブ・メーキング)を引き合いに出し「ペットとの間にも出てしまったということ」と回答。顔写真からペットの飼い主を当てるクイズが収められているが、正解を見ると思わず納得してしまう。
遺伝子がいかに私たちのからだに作用しているか、読めば読むほど実感できる。
2006年5月15日刊
(長谷川 智憲)
出版元:文藝春秋
(掲載日:2012-10-11)
タグ:遺伝子
カテゴリ 身体
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はり100本
竹村 文近
「指一本でも楽になってもらうために全力をつくせ」。師事していた関卓郎氏のこの教えを実践している鍼灸師の竹村氏の著書。鍼灸の効用、実際の治療の流れをから、これまで鍼を刺してきた人々の話、恩師の言葉、鍼灸師のあり方まで多岐にわたって綴っている。副題は『鍼灸で甦る身体』。
竹村氏は、現代人は鍼応えがないと言い、そのからだを「鬱の身体」と表現する。本来、適度な抵抗があるはずの身体が「まるで豆腐に鍼を刺すように、ぷすぷすと何の手応えもなく鍼が通ってしまう。あるいは、逆に、生ゴムのようにネチネチとした、きわめて不快な必要以上の抵抗感がある」とのこと。腰痛や肩こり、胃もたれ、女性の生理不順など、治療に訪れる人が持つこれらの症状は、いずれも身体の鬱が原因と指摘する。
その鬱を取り除く最も効果的な手段の1つが鍼灸であり、本書には各界の著名人を含めた治療の実例も紹介されている。著者のからだへの深い洞察には驚かされるばかりで、ぜひ読んでほしい一冊である。
2006年5月16日刊
(長谷川 智憲)
出版元:新潮社
(掲載日:2012-10-11)
タグ:鍼灸
カテゴリ 東洋医学
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人体 失敗の進化史
遠藤 秀紀
獣医学博士、獣医師である遠藤氏は、遺体を文化の礎として保存すべく「遺体科学」を提唱、遺体を知の宝庫と捉え、これまでも数々の著書を出版している。本書では、これまで解剖に携わった数々の動物の遺体から得た知識を基に、人間の身体について考察している。
人間の進化としてはよく二足歩行が取り上げられる。手に自由を与えたことにより脳を発達さえ、言語をも獲得したわけだが、「新しい身体は祖先を設計変更することでしか、生まれてこない。それが地球上で進化を繰り返していく生物たちの、逃れられない運命なのだ」と遠藤氏は記す。先祖となる生き物の身体の設計図が原点になっているからこそ、異なる進化をたどった鳥類や魚類などの身体の設計図を知ることは、ヒトがなぜ今のように進化したのかを知るうえで多くの情報をもたらしてくれるわけである。
では、私たちヒトとは、地球の生き物として、一体何をしでかした存在なのか。本書でも自問しているこの問いに対して、遠藤氏はヒトを前代未聞の改造品と位置づけ、“行き詰った失敗作”と結論づける。そこに至る経緯については本書を一読いただきたいが、読み進めると「そうなのかもしれない」と思わず感じてしまう。
2006年6月20日刊
(長谷川 智憲)
出版元:光文社
(掲載日:2012-10-11)
タグ:進化 身体
カテゴリ 身体
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フェルデンクライス・メソッド WALKING
ジェームズ・アマディオ
フェルデンクライス・メソッドの療法士として14年の経験を持ち、日本、ヨーロッパ、アメリカで療法士育成にあたるとともにプロスポーツ選手のトレーナーとしても活動するアマディオ氏が、寝た状態、立位・歩行、トレッドミルでのレッスンを紹介している。
副題は「簡単な動きをとおした神経回路(ニューロ・ネット)のチューニング」。著者が開発したトレッドミルのレッスンは陸上競技選手を始めとするプロスポーツ選手を対象とした内容で、寝た状態、立位・歩行のレッスンはトレッドミルがなく、手技療法を受けられない人のためのプログラムである。本書写真のモデルであり、実際にフェルデンクライス・メソッドを取り入れているJリーガーの丸山良明選手は「ちょっとした運動で、眠っている神経や筋肉を刺激してやることで、楽に当たり前のことができるようになる。だから、必然的にケガも少なくなるということだと思います」とその効果を語る。DVDつき。(H)
2006年7月30日刊
(長谷川 智憲)
出版元:スキージャーナル
(掲載日:2012-10-11)
タグ:フェルデンクライス
カテゴリ ボディーワーク
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