スポーツ選手のためのリハビリテーション研究会
代表挨拶


 2022年、当研究会は40周年を迎えました。それを機に2023年度からは組織の若返りとともに、私が代表を務めさせて頂くことになりました。
 40年以上の歴史を持つ「スポーツ選手のためのリハビリテーション研究会」の意義は、スポーツに関わる人で様々な背景を持つ先駆者たちが、当会の発足前から志を共にした有志として集まり、勉強会を開き、現場で実践し、結果を出し、その成果を共有できる場としての存在を示してきたことにあると思います。スポーツ現場や臨床でスポーツ傷害に苦悩している対象者を目の前にして、我々に求められていることは何か、我々が何をしなければならないか、何をすべきかを個々のレベルで考えていては遅々として進まなかった過去の時代において、当会の存在はその名のごとくスポーツ選手のためのリハビリテーションを真摯に考える場であり、我々はその意思を受けつつこの会を引き継いでまいりました。
 当研究会の事業は、会員の方々がスポーツ選手のために何ができるのかを悩みながら成功や失敗を繰り返してきた実績を整理し、発表し、情報共有できる場として運営してきたはずでした。スポーツ選手をサポートしている多くの職種の人たちや団体がそれぞれの立場で独自に活動し、それらを見聞きして自己研鑽している人は多いと思います。しかしながら、情報過多のこの世の中で、何が事実であるかを見極め、何が最適な対応となっているのかを適切に判断して、目の前にいる対象者に、本当に対応できているのでしょうか。当研究会は、発足当初からその疑問に対して会員と考えていく会でありました。残念ながら、良くも悪しくも情報化の進む速度が速すぎて、我々も決められた会の事業を何とかこなすことに労力を割かれ、結果として会員の皆様にとっては魅力ある会としての存在認識が薄れてきているという感は否めません。
 スポーツ医学・医療の領域では、研究の質と量がますます高まりつつある時代になってきましたが、一例一例を大事にしてきたのが当会の存在価値であるはずと思っております。様々なスポーツ選手やスポーツ愛好家たちに還元されるような情報をみなさまに提供できるように今後も会員の皆様からのお力添えをお願いしたく存じます。
 当会の新たな一歩が正常に踏み出せるよう役員一同、熱意を持って活動させていただきますので、今後とも、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

スポーツ選手のためのリハビリテーション研究会代表
伊藤浩充